感謝を込めて、贈り物・・・大騒ぎです。
「な、なるほど。
アチラ側からコチラ側へ転移せずに物を持てば、重さを気にせずに動かせるみたいですね。
部屋のリフォームには最適ですねぇ。
ハハハハハハっ」
思わず、乾いた笑いがね。
「あ、そうだ。
チェストの上へ、ちょっとした贈り物を置いておきましたから貰って頂けたらと」
そう告げると、ヒルデガルデさんがチェストの方を確認する。
プラスチック製の安物オルゴールだ。
簡単な装飾とキラキラ星っう安易なミュージック設定だしな。
所詮は百均製だから仕方ないよな。
まぁ、安物だけどさ、高校生の俺が送れる物なんて高がしれてるわな。
「いつの間に・・・そうか、アチラへ帰れば、コチラは時が止まっているのじゃったのう。
しかし、これは何で出来ておるのじゃ?
小さいのに、結構凝った造形じゃのぅ」
そう言いながらオルゴールを手に取る。
「その箱の横に出ている棒を回して貰えますか」
「こうかえ?」
ヒルデガルデさんが、俺の指示通りに棒を回す。
それによりゼンマイが巻かれ、棒から手を放すとゼンマイが戻り始めた。
まぁ、量産品の子供のオモチャみたいなオルゴールだ。
音質も良く無いが、キラキラ星と分かるていどの音が流れている。
そんなチープな品なんだがな。
「な、な、な、なぁっ!
なんじぁっ!
これはぁ!
こんなに小さいのに、音が鳴っておるぞぇ!
中に妖でも潜んでおるのかやっ!」
あ、オルゴールないんだ、この世界。
「単なる機械仕掛けのオルゴール・・・じゃ無く、音がでる道具ですね。
てか、子供のオモチャみたいな物でして」
「これが、子供のオモチャじゃとぉ!
あり得んわっ!
はっ!
もしや、ソナタらの世界には、コレより優れた品が有るとでも言うのかやっ!」
まぁ、そうなるわな。
実際に有るし。
「そうですね。
例えば、これなんかでしょうか?」って、スマフォを見せる。
「なんじゃ?
その板は?」
まぁ、そうなるわな。
「アチラの世界で普及している通信機器でして・・・あっ」
えーっと、通信機器って、通じない?
「通信機器?
なんじゃ?それは???」
あー、だろうね。
「えーっと、離れた場所と話ができる道具のことですね」
「はぁ?
離れた場所と話し?
声を大きくするのかぇ?」
その発想は無かったわい。
「そうではなくてですね」
俺は通信についての説明を。
意外と手間取った、予想外です。
「まぁ、説明したように通信を行う機械を使えば、遠く離れていても話せる訳です。
ただ、アチラの世界が時間停止中だから、通信を使う機能は使えません。
でもですねぇ」ってから、カシャ、っとな。
「な、なんぞぇ!?
今の音は!」
あ、シャッター音に反応した。
これも予想外です。
てか、説明めんどい。
今、通信について、根掘り葉掘り聞かれたとこだ。
そうだなぁ。
幼児の「なんで?」に応えて疲弊する、アレを思い描いていただければ分かるだろうか?
「あー、音よりですねぇ、コチラを見てください。
ヒルデガルデさんですよ」って、強制的に、今、撮った写真を見せる。
目の前に突き付けた画面を見たヒルデガルデさんがな。
「なんじゃ?
鏡かや?」だと。
わーい。
そのリアクションは、思っても見なかったぞ、っと!
普通、絵とか言うんじゃね?
「む?
動かぬな。
まさか、絵かえ?」
あ、ソチラのバージョンもあるのね。
「もしや、写し絵の魔術か!
じゃが、魔術を発動した気配はなかったハズじゃ。
それに、発動時間が早過ぎる。
しかも、絵の質が良過ぎじゃてのぅ。
はて?」
あー
この世界には、写真みたいな技術があるのかな?
ローテクなのか、ハイテクなのか、ハッキリせいやぁっ!
「それは、この機械が持つ機能の1つなんですよ。
ちょっと待って下さいね」
そう告げて、今度は動画を撮る。
部屋を軽く流すように撮ってから、ヒルデガルデさんへな。
「なんじゃぁぁぁっ!
絵が動いておるぞぇ!」
うん、良いリアクションいただきましたぁっ!




