大変なことになったんだが?
西暦2222年の元旦、俺は初詣を終えて帰宅途中だった。
町ではあるが都会とは言えない片田舎の町ではあるが、それでも詣でる人の数は、そこそこ多い。
境内では鮨詰めとは行かないが、それでも混み合っていた。
待ち合わせた友人と共に参拝し、軽く出店を冷やかした後、皆と別れて帰宅している訳だ。
そんな帰り道だから、前後にも人は居る。
いや、居たハズなんだ。
「な、なんだ!」と、思わずな。
いきなり前の人が消えたんだが?
っか、除夜の鐘を撞き、礼拝した後に屋台を回った後だ。
つまり、深夜と言うことなんだが・・・
真昼の山裾らしき場所へ、俺は居た。
いや、訳が分からないんだが?
昔からのアニメ、漫画、小説などで定番である異世界転移か?
などと思いつつ、後ろを振り返る。
あ、なんか空間が歪んだような穴があり、その先には俺が歩いていた道が見えた。
あちらは夜みたいだな。
そして、俺の後ろを歩いていた人達の姿も見える。
見えるのだが・・・明らかに不自然だ。
身動ぎ1つしないんだが?
っか、片足が地面に着く前に止まってる?
まるで、時が止まったように・・・いや、止まってるのか?
この現象、考えられるとしたらアレだ。
ダンジョンってヤツだよな。
いや、ダンジョンの本当の意味は牢獄などの収監系地下施設らしい。
だが昔からゲームやアニメなどでは、迷宮・・・ラビリンスか?をダンジョンと呼んでいる。
由来は知らんがな。
なので、迷宮のことをダンジョンと呼ぶらしい。
そのダンジョンなんだがな。
今から150年ほど前から、ダンジョンへ繋がる穴が現れ始めたんだと。
まぁ、授業で習った限りでは、だが・・・
そしてダンジョン発現原因なのだがな、今も不明なんだよなぁ。
素粒子加速器での実験時に発生した爆発事故が原因とか、時空干渉実験を行っていた某国の事故が原因だとか、色々と説はあるらしい。
まぁ、自然現象だろうと言うのが、現在の一般説だ。
この穴なんだがな、物理的な穴ではない。
空間が歪んだように、突如、何もない場所へ穴が空くと言う代物なんだ。
そして、誰でもが穴を視認できたり、その穴を潜れる訳ではない。
統計では数千人に1人が認識できるかどうかなのだとか。
別空間の迷宮へ行けるため、便宜上、ダンジョンと呼ばれるが、必ずしも迷宮へ繋がる訳ではない。
フィールド型っうヤツもあり、その場合は草原や森、海辺などなど、別世界へ繋がった感じなのだとか。
まぁ、いまだに知的生命体との接触はないらしいがな。
そしてダンジョンには、固定型と追尾型が存在し、複数人が認識できるのは固定型だ、追尾型は穴を認識できる者にしか見えないんだとか。
ほんとうかぁ?
まぁ、この追尾型なんだが、認識者を追尾して移動するらしく、何処からでもダンジョンへ入れるらしい。
ってもな、追尾型は都市伝説の類と言われている。
そう聞いていたんだが・・・これ、明らかに、追尾型ダンジョンだよな?
この追尾型ダンジョンが発現したら、国へ報告することが義務付けられている。
まぁ、誰も申告していないのだが・・・
何故か?
それは税金の問題だ。
発現者には、固定資産税と同じようにダンジョン税が掛けられる。
これは老若男女ことごとくにだ。
しかも年に250万円と言う高額な税金がな。
払えるかっ!
つまり・・・
「ヤバいっ!
絶対にバレたらダメなヤツだ!」
俺が歩いていた場所は暗くなっており、さらに路地に面した所だった。
ゆえに、俺の姿が消えても違和感は無いだろう。
だが、ダンジョンから出ると、逆方向へ瞬時に体勢を変えて歩き始める不審者となる。
絶対に、してはダメなヤツだ。
こうなると、時間を置いてから、辺りを伺い出るのが良いのだが・・・外、時間が止まってんだよなぁ。
出るに出られない。
帰れないじゃないかぁ!
この穴の出口が変えられたらなぁ。
そんな都合のいい話しはないか、ふう。
家の玄関、三和土に繋がってくれたら・・・そんなん思ってたら、穴の外へ映っていた景色が切り替わった。
はぁ?
いや、そのな・・・家の玄関内だよな?
え?
出る場所を変えられるの?
マジで?
はぁ、兎に角、今日はさ。
ドッと疲れたから、寝るわ。
おやすみ。




