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悪役としての矜持
高校生である俺が言うのもなんだが、高校生というのは単純だ
他人から指摘されて落ち込んだと思えば、
別の人からのフォローによってあっさり立ち直る
さっきまで死にそうな目をしていた彼は今は怒りの炎えを灯して
目の前の敵をぶっ飛ばしていた
こうして戦いを終えたとき、彼の電話に着信が入る
彼の妹を誘拐したあのクソ野郎からだった
俺はスピーカーモードにしてもらい電話に出てもらう
案の定彼の行動を非難する内容だった
だから俺は問答無用で黙らせた
「先程からから聞くに堪えない
この悪役もどきが!!」
突然の暴言に言葉を詰まらせた奴にこう続ける
「悪役とは!!
自ら野心を抱きつつ、誇り高く正義の味方と戦う存在である!!
光があるからこそ影は存在できる!!
すなわち悪役とは時に正義の味方の引き立て役となる存在!!
決して一般人を傷つけることなく誇り高く戦う、それが悪役!!
故に身内とはいえ一般人を傷つけ汚した貴様はただの獣畜生である!!
そんな貴様は真の悪役たる俺が制裁を下す!!」
そしていつもの姿に変え改めて名乗る
「我が名は宇佐見 幻!!
恐怖に震えて待つがいい!!」