悪役は自ら決めた使命を全うする
彼は俺が出会った能力者の中で、最も理想の正義の味方に近い存在だった
決して他人のためではなく、自らの信念に従って正義を執行していた
しかも彼の目指す犠牲者を出さないヒーローとは
まさに俺にとっての理想でもあったからだ
俺はそんな彼をより完璧な存在にしたくて、
彼の高校の近くで騒動を起こして彼と戦うことで
彼の弱点や課題点を言外に伝えていた
その甲斐もあって彼は強くなっていた
今回の誘拐事件も、彼が強くなるための試練としか捉えてなかった
大切な人のピンチに力が覚醒するのはアニメあるあるだからだ
しかしそんな俺の期待は裏切られた・・・・
あのクソ悪役気取りのゴミ野郎によって!!
俺は悪役だ
正義の味方に手を貸すのはご法度
だが今回は・・・呉越同舟だ!!
彼に襲い掛かる能力を前に俺は障壁を展開する
そして敵の攻撃を防ぎつつ俺は彼に話しかける
「何をやっている! 柊健人!!」
「・・・君は、宇佐美さん?」
「確かに君の妹はひどい目に遭っている
でもそれは100%あのクソ野郎が悪い!!
人を救ってきたお前に非はない!!
むしろあんな奴のために自己犠牲とはまったくもってくだらない!!
冷静に考えろ!!今ここで死んだところで妹が帰ってくるとは限らないんだぞ!
てめえは自分の手で妹を救いたくはないのか!」
「・・・・でも奴にこっちの状況は筒抜けだ
助けに行けば殺され・・・」
「助けに行きたいのか行きたくないのか!
今聞いてるのはそれだけだ!!」
「・・・・助けたい!!!!」
「ならまずあのゴミどもをぶっ潰せ!!!」