正義の味方は自己犠牲を覚悟する
その日の生放送は日本だけでなく世界にも衝撃を与えた
正義の味方として活動することのリスクをまざまざと見せつけられた結果、
それぞれの国で国防能力者としての立場を捨てる人が続出した
もちろん奴らの非人道的な行為に憤慨して奴らを討伐するために日本にやってくる能力者もいたし、
逆探知によって場所の特定には成功していたが、
人質の命が最優先ということでどうしても慎重にならざるをえなかった
むしろ国々の本音としては人質が殺されることで、
奴らを殲滅する大義名分が手に入るので救出作戦に乗り気ではなかった
そんな様々な思惑が交錯する中、当事者の彼は
複雑な感情の渦に呑まれていた
奴らに対する怒り、妹を巻き込んだ自分に対する自責の念
それらの感情がごちゃまぜになって自分がどうするべきかわからなくなっていた
そして次の日
その日は臨時休校となった高校の校庭にて
俺は奴らと対峙していた
敵の人数は3人
こっちが無抵抗だと思って全員があくどい笑みを浮かべていた
正直普通に戦えば勝てると思う
しかし勝ってしまえば妹が危険に晒される
国として要求を吞むことがない以上、作戦の成功によってでしか妹を救うことができない
でももしその作戦が失敗すれば妹は・・・・・
そう考えると、ここで無抵抗に殺されるほうが良いのかと思うようになってしまった
そして戦いという名の処刑が始まる
3人が能力を発動して、俺に襲い掛かる
それを前に自己犠牲を覚悟した
そんな俺の前に
休んでいたはずのクラスメイトが現れた