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第5話 マクダネル

毎日17時と19時の2回予約投稿の予定です。






翌朝、サラさんに起こされて、いきなり浴室に連れて行かれた。

時差の解消が目的か?とも思ったのだが


「シャワーのあと、身体の自己チェックをお願いします」


確かに、現役時代に戻ったかのように、露出した自らの肉体は、若くて筋肉質になっていたが、身長は少し低くなった感じがした。


浴室のとなり、洗い場に鏡が有って、その中の私は白髪が少なくなり、40代の頃の姿になっていた。


シャワーを浴びながら、水滴の感触、湯気による熱気、すべて正常に知覚できていた。

手足を動かして、筋肉や関節にも違和感はない。


ようやく、自分が自分である感覚を取り戻した二日後には、小型トラックがやって来て、トランクルームの荷物をすべて倉庫に運び込んでもらった。



作業員が

「転居先の住所と地図を受け取ったんですがナビには家がなくって、トンネルの先にこの屋敷が見えて一安心しました」


と言っていた。


その地図をチラッと見せてもらったのだが、『旧北陸線のトンネル』とか書いてあった。


そうなのか?



体内の組成変換が始まってから1週間後には、15歳と言われても違和感のない肉体になっていた。

しかも、メガネが要らなくなり顔全体が、あの外国人占い師に似た顔になっていた。


関節から来るにぶい痛みもなくなり、私が占い師と呼んでいた人物に関する話をサラさんから聞く事ができた。



驚くべきことに、占い師はマクダネルという名前の、この世界の下級神だった。

だが時を経て、上級神は間接的な役割だけでなく、『秩序の維持』や『発展の促進』という直接の関与が必要な時期が来たと判断し、人間を管理者の一員として採用する事にしたという話だった。



上級神は、進歩した文明の人間が、この世界でどのように活動をするのか見たいとおっしゃったそうだ。


そして、その人選を下級神に命じた。


つまり、興味本位の実験という事だろう。



この屋敷にマクダネルがいる場合は、屋敷2階の執務室や、その隣の役員室にいる事が多いらしい。


私はマクダネルを若くした姿をしていて、髪色と瞳だけは黒に変更され、親戚縁者で後継者であるという設定になっているそうだ。


従って、ファミリーネームはマクダネル。

ファーストネームは自分で決めてほしいとのこと。

では、ロキ・マクダネルとしよう。


ここに来た時に着ていた衣服や靴は処分され、用意されていたクローゼット内の衣服に着替える。伸縮性のある生地は、この世界にはまだ貴重品らしい。


今現在は170㎝程度に小さくなっているが、18歳くらいになれば元の177㎝程度になるそうだ。


サイズの問題はさておき、倉庫に運ばれたサラリーマン時代の靴は、経時劣化により凝固剤が抜け、ボロボロと靴底が崩れる物が大半であった。


合成ゴムという文明の利器も、案外にもろいものだ。



学園に編入するのは、この剣と魔法の世界で生きていくための訓練の一環との事。

やはり地球とは違う別の世界。



「まさか、私に任務なんてないよね?」


「任務はありませんが…自由に活動したいのであれば、身分に見合った自衛の手段が必要でしょうし…」



サラさんは、第1の人生を全うした人で、何事にも思慮深く対応される人が選ばれるだろうと予想していたそうだ。


「私がそういう人だといいね…。」


サラさんはクスクスといたずらっぽい笑顔で笑い


「それとご主人さま、わたくしの事は『サラ』とお呼び下さい」


「いや、でもいきなり呼び捨てには…」


「『ご主人さまと従者』なのですから当たり前の事です。特に人前では誤解を与えないためにも、お願いしますね」


「ああ確かに…それがその土地の文化なら、そうしないといけないね…」


ベッドからはみ出した私の手を、やさしくベッドの中に押し込み


「もう少しお休みください」


そう言ってくれた。


元メイドの中でも、赤系の髪をした若くて美少女の『スサーナ』が指名されるだろうというのが、メイド達の予想だったそうだ。


予想に反してサラさんを選んだことが原因なのだろうか…これほど女性から親切にされた事は過去、一度もなかった…。



お読み頂き、ありがとうございます。

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