第41話 エボラの防衛隊2
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思っていた通り冒険者の集まりである。剣を得意とする者17名、投擲武器、短剣が7名、弓が9名であった。
剣を得意とする者を2つに分け、第1小隊、第2小隊と名付け、投擲、短剣を第3小隊、弓が得意な者を弓隊と名付けた。
「いいかい、個人として相手に向かうのではなくて、小隊として団体で戦うんだ。だからリーダーが必要だ。頭のいい人を小隊長として選んでくれ」
そう言うと、元々『小隊長』と呼ばれていた人物が2名、手を挙げた。
一人は第1小隊に、もう1名は投擲部隊にいたので、そのまま第1小隊長、第3小隊長とし、第2小隊からの選出をカルロス殿に言う。
「ちょうど第2小隊にはネレアが居るので、彼女でいいだろう」
見ると例のビキニアーマーの中隊長だ。
「彼女は中隊長じゃないのか?」
「えっ、中隊長も要るのか…じゃあネレア!小隊長を指名してくれ!」
「はい!ではロラ!君が第2小隊の小隊長だ!」
「はい!」
第1小隊にいたロラが第2小隊の小隊長になり、ネレア中隊長を第2小隊から抜いた。
「これからは今までのような『ままごと遊び』は終わりだ。現状いつグランドラが、リスボンが攻めてくるかも知れない。従って早急に、この町を守れる防衛隊にしなければならない」
中隊長のネレアが私を睨んでいる。
「なんだネレア。『ままごと遊び』と言われてくやしいのか?」
「いくら連合の宗主だからと言って、子供のくせに分かったような事を…」
「おい!ネレア!やめないか!」
「いいのですよ、カルロス殿下。気合は良し!では模擬戦の相手をしてやろう」
そういって、前へ出てネレアに『かかって来い!』と挑発した。
ネレアは殿下にOKサインの頷きをもらい、前に出て来た。
「本気で掛かって来い!最も得意な武器で構わないぞ」
こちらは私専用のレイピア。
ネレアは大きめの青銅鍛造剣であった。
『カキン』
『キン』『カキン』
細いレイピアでは、長剣を弾くこともできないが、最初だけ剣を合わせ、以降はすばやく突きを繰り出す。
ネレアの顔面のすぐ近くを、レイピアの剣先がうなる。
『ヒュン!』
あわててバックステップで下がるネレア。
だが、次に出て来た右ひざの防具に、レイピアの剣先が刺すようにヒットすると
「ぐあー!!」
と女性とは思えないような悲鳴と共にひざを抱えて倒れ込み、脚が痙攣して動かなくなった。
青銅製の防具は、このレイピアの50万ボルトの電撃をもろに体に伝えてしまう。
それでもこれは、警棒型スタンガンS164と同等の『相手を行動不能にできる最低限の性能』なのである。
軍事と考えれば、S170の150万ボルトと同等性能でも良いだろう。
レイピアのような刺突武器でなければできない攻撃だと言える。
防衛隊とは名ばかりのわずか33名の女性ばかりの部隊。
それは領主の自己満足だけのための『喜び組』のような組織であった。
カルロス殿下には、学園で教育しているように、剣、盾、槍を最低限使えるようにする事と、弓は特に訓練が必要なため、特化した部隊でも良いが、接近戦を強いられた場合の訓練も必要だろうと進言しておいた。
まずは盾と剣などが使える近接戦闘部隊を、1分隊あたり4名で3分隊を作り、これを小隊として採用するように進言した。
これで2小隊6分隊24名、弓隊が9名でちょうど33名だ。
今の女性部隊は解散する必要は無く、城に駐在させる部隊として使えばいい。
とりあえず、20名を学園で教育できる事を伝え、契約が終わったサラとともに城をあとにした。
宿に戻り、カルロス殿下から提供された連合という組織に異を唱える自警団長3名のメモをマリアに渡した。
おそらくは、この3名のうちの1名が新村長に成り損ねたルイスをかくまっているのだろう。
「申し訳ないが、今しばらくエボラに留まり、反聖域連合の勢力把握と、逃げたルイスの行方を追ってほしい」
「承知しました。状況報告は定期的に致しますのでご安心を」
サラがマリアとハグをして別れたあと、カセレスに戻った。
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