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第38話 武器の製造


聖域暦 157年12月



カンタブリア山脈の石炭と鉄鉱石は、レオン州の金鉱山に近く、ビルバオ市の妨害を受ける事も想定していたが、彼らはまだ黒い石と赤い石には関心が無いようだ。



この2か月間で運んで来た石炭と鉄鉱石は倉庫にたっぷりと蓄えてある。


石炭を利用して溶鋼炉で鉄の生産をするなら、1500~1600℃という高温にすることで鉄は完全に溶けるが、炭素も大量に溶けて含有量3~4%の銑鉄ができる。


この鉄は青銅や銅のように鋳造できるため鋳造鉄工業が発展するだろう。

学園で製造する武器は、基本的に鋳造の剣や槍にするつもりだ。


他都市が真似をできるのは、この銑鉄の製造。


このような流れになってほしいからこそ、石炭輸送を行ってから鉄の生産に入るのだ。

欺くなら、まず味方から…。



学園での製鉄の授業は、前述の石炭を使った少量の鉄の生産を行う。

飽くまでも、鉄の作り方を学園で教える事が目的だからね。

鉄工の授業では、矢じり、短剣、長剣、槍など、生徒が自身のために作っている。



執務室で構想を練って、初代様に連合軍構想の起案書を提出した。

役員はいないし、実質的には上級神が決裁するのだろう事は理解している。

連合軍構想が承認されたあと、装備品が必要となる。



現段階で銃は要らない。

貨幣交換機と同様に、マクダネル氏が図面や現品を見て、具現化させるのだろう。

その前段階として、上級神の決裁が必要なのだ。





リスボンの船に乗り込んだマリアから手紙が届いた。


アルベルト家の2男カルロスからは、自分はエボラに戻り、陸の生活をするからエボラに来ないかと誘われ、今はエボラ領に滞在して、宿屋で料理人をしているそうだ。


カルロスはエボラ領の重要な会議があるとの事で、屋敷に戻りここ2日間は食事を取りに来ていないとの報告であった。



だが、マリアの手紙に遅れること2日、エボラ領主から聖域連合に加盟したいから来てほしいと手紙が届いた。



エボラへは、連合加入に関する必要書類を持参すると回答した。

一方、ベージャに対しては、貨幣交換機を貸与する事になったため、城内に『銀行』の開業を許可頂きたい旨の手紙を書いた。



私は屋敷に戻りサラと合流してエボラに向かった。


午後からの出発になったため、バダホース村の宿で部屋を確保し、村の集会所へ。


宿の主人の話では、新しく決まった村長が現状の問題について、村民と話し合っているらしい。


集会所の入口を警備していた村民が、私達に気がついたようだ。


「マクダネル様とサラ様が来て下さったぞー!」



代表者が集まる集会所には、農家の代表、放牧の主要メンバー、養豚、商店、輸送などの業者別に固まって座っていた。



「私が新しく村長になりましたルイスです」


「そうか…それでは村長に聞くが」


「聖域が出来たおり『自分達も守ってほしい』と願い出て、利益が出るようになったら税を納めると、初代様に約束したあと以降全く納税に来ないのはなぜです?」



「あ、あれは、当時の村長が税を持ち逃げしたからでございます」


「それは知っています。あれから10年間、利益は出ていないと申し上げるおつもりですか?」


「そ、それは…」


「おい!それはおかしいぞ。俺たち商人は税を納めてるぞ」


「俺たち農家も同じだ!先住民の畜産家だけが免税って話は嘘なのか?」



「あなた達もなぜ、マクダネル邸に聞きに来なかったのですか?学園に行かせている子供達もいたでしょう?手紙のひとつも書けば、簡単に確かめられたでしょう?」



サラはルイスに


「そもそも10年前とは言え、持ち逃げしたのはあなたのおじい様ではありませんか!あなたには村長の資格はありません!」


「くそ!村長なんてこっちから願い下げだ!」


そうタンカを切って集会所を出ていくルイス。



会場がざわざわとし始めた。


「いいですか、誰かが村長を引き受けたいと申し出て来て、それなら任せます。といって任せたから税の持ち逃げが発生したのです。村をどうしたいのか、どのような未来がほしいのか、自分達で運営する気がないなら、この村は連合から外します!もう一度しっかり話し合いなさい!」



「それと、村に家を持たぬ者、ゲルで生活する者には村長の資格はありません!」



サラはプンプンに怒っていた。

自分達の事なのに、どうして人任せにできるのかと…。



この夜、こっそりとルイスは姿を消していた。


それを追う者が居た。

サラである。




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