表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/61

第27話 学園の潜入者2

土日は午前10時、12時、午後は15時、17時の計4回予約投稿の予定です。


ここエボラが抗争に備えているなら、武器の商売を問題にするつもりはない。

だが、学園への不正な潜入の理由にはならない。

そこにどんな理由があるのか。


次の日、長女の嫁ぎ先であるベージャに行くことにした。



町を出たすぐに検問所のような施設があり、そこで石ころを受け取った。

通行証だという石ころの片面を削り、紋章らしきものが書かれていた。


ベージャ市内に入る時に、指示された通りにそれを渡すと通行料銀貨1枚が免除になった。


ベージャは聖域連合プラセン市同様の都市と呼べる規模の町であった。

一回り大きな城への登り道から振り返ると、一目見て、都市の大きさが分かる。

エボラ町はこの都市を真似て整備しているのだろう。


ただエボラとの大きな違いは、都市の南方に広がる農場の大きさだ。

ここは農業都市のようだ。


城は都市の中心ではなく、敵対する西側のグランドラ側に建っている。

過去から何度となく紛争はあったそうだ。

都度、城は増築され、大きくなっていき現在のような要塞風になったのだろう。



その城から馬車が出て来た。

市内の見回りを姫がしているそうだ。


今でも『姫』と愛称で呼ばれているが、この女性こそが嫁いできたエボラの長女だ。

城にほど近い高台の高級宿に泊まり、夕暮れの市内を上空からドローンで観察した。

所々に治安維持の兵が巡回しているようすが見える。


ここでもサラが情報を集めて回ってくれている。


話によると、嫁いできたエボラのベアトリス姫は、質素な生活を好み、都市内で経済が回るカセレス連合のようなものを単独で目指しているらしい。


子供が出来ないのが目下の課題だそうだが、極めて聡明な人物との評価だ。


一方の縁談を断られたグランドラの息子は、海洋都市リスボンに憧れ、リスボンの学校に留学していたそうだ。


だが、グランドラは海には近いが、港がない内陸の商業都市だ。

そのため『バカ息子』というひどい評価が、ここベージャでは定着している。



私とサラが夕食のために食堂に下りた頃、お城から使いが来たとざわざわし始めた。


宿の主人と共に官服を着た使者が私達の所に来て、跪いて右手を胸の位置に


「失礼ながら、マクダネル様とお見受け致します。グティエレス卿がお城にて歓待致したいと申しております。何卒、我が主の願いをお聞き届け頂けないでしょうか?」


見つかった以上は仕方ない。

サラに頷くと


「分かりました」



「では、こちらへ」


玄関に横付けされた馬車に乗り込むと、ゆっくりと坂道を登って、城の中に入っていった。




お城のゲートと言っても、市内側は開口幅が大きく、兵器出入り口みたいな感じだった。

中に入ると、増築を繰り返してきた外側とは違って、広い通路が確保されていた。

また、市内側に最も近い所には別邸というべき堅牢な建物があった。


この時代、破壊力の高い攻城兵器は無く、主に火を使う兵器が多いため、別邸も石作りである。


入口に並ぶ兵達の中央にいるのが、平凡と噂される領主の息子と、姫と呼ばれている妃なのだろう。


サラに続いて私が馬車を降りると、中央のふたりが話し始めた。


「ようこそお越しくださいました。私はベージャの領主家グティエレスと申します」


「私は妻のベアトリスと申します。マクダネル様、サラ様、まずは中にお入り下さい」



迎賓館を兼ねているのかと思うほどに広い会場で、中央奥に細長いテーブルとキャンドル、そこそこ豪華な食器が並んでいた。


テーブル席について


「それにしても、どうして私がマクダネルと分かったのですか?」


グティエレス卿がベアトリスに向いて頷いた。


「実はわたくし、バダホース村の者に成りすまして学園に通っていたのです。申し訳ありません」




お読み頂き、ありがとうございます。

『この作品を読んでみよう』とか、『面白そう』とか思われた方、

是非、ブックマーク登録や、いいねボタンをお願いします。

励みになります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ