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第24話 授業初日


聖域暦 157年9月



6時の学園の鐘で目が覚めた。


腕時計をしているのは私だけだが、どこの都市にも時計台があって、時刻を告げる音が鳴るのは共通のようだ。


体内時計が正確だと言われたので、本来は腕時計はいらないのだが、習慣で付けている。


ここカセレスには住民はいないため、学園でのみ3時間ごとに鐘が鳴る。


スーツケースから化粧バッグを取り出し、予備の歯ブラシと歯磨き粉で歯を磨く。

歯ブラシを屋敷に置いて来てしまったが、小さめヘッドを3本、すきま用を3本予備として持っている。

歯磨き粉を同じく3個。



電気シェーバーと太陽光発電パネルを買ってこちらの世界に来たが、ロキになってから、ひげが生えてこないので、倉庫に入ったままだ。


靴下を履いてから、白のワイシャツ着てズボンを穿く。

今日はブルーのネクタイを付けるか…。


朝食は食堂で取る予定だった。

廊下に出て、隣の部屋のドアをノックする。


「スシ、起きてる?」


昨日、スサーナから『スシ』という愛称で呼ぶように言われたのだ。


「はい。今いきます」


扉から出て来たのは、既製服の素直なスシ。


「おはようロキ」


同級生という事なので、『さま』は禁止になった。



「朝食は何時まで使えるのかな?」


「はい、2の鐘(9時)が鳴るまで利用できます」



食堂へ入ると、調理室のカウンター前まで1列で並ぶ通路が作られていた。

パンと木椀に入ったスープが既に木製トレーに乗せられていて、それを受け取って、次々とテーブル席に押し出されていく、ところてん方式だ。



パン1個とスープだから、すぐに食べ終わって、トレーを持ってそのまま出口付近で係の者に返却して終わり。


「う~、これだと部屋で食べた方がいいかな…」


「はい、私も明日は部屋食を希望します」



寮に戻り、早速、仮執務室で朝食の改善案を書いた。

配膳を各寮の談話室まで一定量運んでおいて、各自で取る方式はどうか。

2の鐘(9時)の授業開始後に回収する。過不足には関知しない。



さて、私達カセレス組は、どこの授業、どこの教室に参加しても良いのだが、今日はミアハダス村の会場に行く。


他の村では、1年から3年までの各20名が集合してHRが行われ、村全体の連絡事項が伝えられる。


今日は私が指示をした家族構成の報告書の提出を求められるだろう。


それと、納税義務を果たしていない者はこれから学園の入学許可が下りない事も伝達されるはずだ。


紙と鉛筆も支給される。



私達はミアハダス村の者ではないので、最も後ろの席にスシと並んで座った。


村の者は全員1年生のはずだが、年齢のばらつきが大きく、オッサンが混じっている。


時計台の2の鐘が鳴り、教室に生徒が揃ったころ、アルフォンス校長がやって来た。

やはり教師が派遣されていないのだろう。校長ひとりだ。



「ミアハダス村の生徒諸君、おはよう。」


「おはようございます」


「村長に話してあったのだが『担任教師が間に合わない』と先ほど連絡が入った。したがって当分の間、補助教師が交代でこの教室を担当する事になった。」



愚痴を交えながら、淡々と施設や規則を説明していく校長。

午前中は座学、昼からは基礎体力と武術だそうだ。


この教室の隣は、メンリオ村、トルヒリ村、プラセン市、バダホース村、メリダ村の教室になっている。


家族構成の申告書を回収して50分が経過した頃、校長は持参した砂時計を見て、1限目を終えた。


ここから後は、各学年ごとに受講を希望している教室に向かうことになる。


「さて、次は木工教室に行こうかな。スシ」


「はい」


楽しそうに手を繋ごうとするスシ。


「えっ、いいのかな…」


「いいじゃない、2人しかいないんだよ。カセレス村は」


(おいおい、いつのまにカセレスは村になったんだよ!)


スシに手をぐいぐい引っ張られて歩く私に、1年生のオッサンの怖い目線が刺さる…。



木工教室に入ると、既にメンリオの教師がいた。


ぞろぞろと生徒達が席に付くが、みんな新2年生で知らない顔の方が多いのだろう。

大抵は2人組か3人組だ。


「では授業を始める。私がメンリオ村のアロンソ。製材所を営んでいる」


さまざまな木材サンプルを見せながら、木の種類や特徴などを説明していく先生。


木の種類と特性、硬さ、用途について説明を始めたのだった。



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