第16話 荷物の整理
平日は17時と19時の2回予約投稿の予定です。
倉庫に置いたままの地球からの荷物を少し片付けておこう。
屋敷の空き部屋が減ったせいなのだが、引っ越し荷物を片付けるのは本当に大変な作業だ。
そこで、屋敷から出て、男衆5人に手伝ってもらう事にした。
まずは家具類の代表、書棚。
家内は洋ダンスや和ダンスに金を掛けたが、私は書棚に金を掛けた。
机は、パソコンデスクの大型の物だが、いまの執務机の方が正直、高級だ。
完全に負けているので、倉庫に置いておこう。
そして衣装ケース。縦型3段の物が2つ。
プラスチック製なので、中が見える。
トレーニングウェアや短パンなど、部屋着が入っている。
次々と3階の自室に運んでもらった。
そして、段ボールだ。書棚と書いた段ボールが4つ。
買取価格が付かなかった百科事典や古い雑誌類もある。
文具と書いた段ボールが1つ。
リサクルショップの倉庫にあった荷物も、現状、そのまま置いておく。
それ以外は全て、この世界に来る前に買い足した物だ。
カップ麺カレー味とノーマル味を各1ケース。
インターネットで宣伝していたドローン2セット。
高輝度ライト2セット。
ソーラーパネル充電器。
USBケーブル各種。
瞬着ノーマルタイプ各種10個、ゼリータイプ各種10個。
バンドエイド各種。
ゴキブリ用殺虫スプレー1個。
生き物、生ものは転送されないとの事だったので、病原菌などの心配はしていない。
しまった~。
DVDはあるが再生装置が無い…と言ってもディスプレイが無いから一緒か…。
「あっ!」
思い出したのが、リサクルショップの在庫管理に使っていたP社製ノートPC。
ソーラーパネルを設置すれば使えるかも…どっちみちネットには接続しないのでOSサポートは関係は無い。
とりあえず、文具の段ボールを開けて、A4サイズのノートPCとコピー用紙を取り出す。
A4用紙は、3分の1ほど使った物だが、A4サイズはもう1箱予備がある。
(プリンターは無い)
各首長の名前を思い出し、『通達:住民登録制度、及び、郵便制度実施の件』とタイトルを書き、聖域暦157年6月と日付を書く。
すぐ下に『ロキ・マクダネル』と署名。
『首件、各都市の住民リストの作成をお願いします。これにより学園の受け入れと、緊急食糧の備蓄を行います。また、首長との間に、手紙の配達と回収を行う『郵便』という事業を開始することに致しました。マクダネル家にて人員を確保し、各都市を巡回する予定ですが、詳細日程などは試験運用のあと通知いたします。』
こんなもんかな…。
サラに確認をしてもらったが、『変わっているが、問題はない』との返事だった。
特に使用された紙が余りにも綺麗で、この世の物とは思えないとの感想。
封筒も残り物だが、サラが持っていた先代の蜜蝋を使って封をした。
男達が郵便事業開始の手紙を、各首長のところへ配達に行ったころ、サラは屋敷で個別に面接をしていた。
サンタクルス村が襲撃された時の状況について、そろそろ冷静に、当時を振り返り、話ができるようになっただろうか…という私の疑問を受けての事だ。
単身女性からの話では、突然、南方から村に入って来た者達がいたそうだ。
馬車に乗っていた司祭を名乗る男は、コルドバへの移住を勧めに来たという。
村を守る男達から、若い女性は一旦北側に逃げるか、身を隠すように言われ、彼女達は北側の山の麓にある坑道に逃げた。
コルトバは自治の無いバダホース村の東南東、メリダ村から見て南東の位置にある。
そんなコルドバへの移住を勧めに来たという。
残りの4組に話を聞いたのだが、司祭たちの狙いは若い男女だったらしく、彼らのような中年や子供は相手にしていないように感じたという。
『山に山菜取りや、食糧を調達しに』と言って、村を脱出した彼ら。
坑道に少し食糧などが置いてあることを知る者達は、結果的に坑道で合流することになり、そこからカセレスに向けての逃避行がはじまった。
とりあえず、聖域の森の手前にキャンプをする以外に、居場所がなかった。
そして、手持ちの食糧は少なく、獲物は森に豊富にいる。
動物の鳴き声で、それが分かる狩人3人がじっとしている事はできなかったらしい。
困った顔をする私を見て、サラはいつものように笑顔で『大丈夫ですよ』と言ってくれた。
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