表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/31

いざ神殿に参る!! 前振り

少し短めになります。

  男三人に挟まれるような形で、私達は召喚の儀が行われた場所を後にした。入り口外には二人の鎧を着た男が立っていた。前に王子様、横にぱっつん男子、後ろにミークという立ち位置で、小柄な私は埋もれるような形になっていると、警備をしていたと思われる鎧の男たちは、敬礼をする。


「おめでとうございます」


「これで、救われる」


 二人が口々に言おうとするのを、王子が右手を挙げて制止する。


「聖女様は来たばかりで、戸惑っている。静かにしてくれないか・・・・?」


 問うような言葉遣いとは裏腹に、逆らえない威圧を感じる。後ろから、ミークの咳払いが聞こえた。


「オズワルド王子、美麗様が怯えています。もう少し優しくお願いできませんか」


「そうだそ、力でなんでも終わらせようとするのは良くない」


 気になっていたぱっつん男子の声もとても耳心地の良い青年の声で警戒が解けそうになる。召喚されたこの場所での味方が誰かわからない。いいように使われるかもしれないけど、今の私はこの世界の事を知らなすぎるから、一人でこの場を離れる方がリスクが高い。離れるとしたら、色々理解してからでも遅くないと思う。


「ミュゼァは俺に対して何か恨みでもあるのか、いつも強くあたってくる気がする」


「オズワルド王子が自由気まま過ぎるんです」


「王子としての役目は果たしている。少しの息抜きくらいは許してくれてもいいだろ」


「お二人は相変わらず仲良しですな」


 やり取りを黙って眺めていると、同意を求めるように、ミークが私に笑いかけてきた。王子の事を否定しても良いものか。チラリとミークに視線の向けると、優しいお爺ちゃんの顔をしている。


「聖女美麗、思ったことを言っても罰さないと約束をしよう」


 オズワルドがニコニコ笑っている。裏があるような雰囲気を感じるのは私がいけないのかもしれない。


 ミュゼァが疑うような眼差しをオズワルドに向け、鎧の男達は口を開かずに、黙って様子を眺めていた。


「責任を果たしているなら、息抜きはありだと思う」


「聞いたかミュゼァ、会ってすぐの聖女ですら、俺の頑張りが通じているんだ」


「それよりも、ここはどこですか」


 聖女として召喚されて、みんなが喜んでいる、という現状しか知らなくて、場所を変えることと、国の運命が絡んでいる。鎧の男が救われると喜んでいた、ことしか知らない。


「ワシの説明不足で申し訳ありません、美麗様。今いる場所は城の地下実験施設で、これから向かうのは、神殿でございます。美麗様のお力の確認を色々したく」


 ミークがサラッと、実験施設とか言ったけど、城の地下で何をやっているのよ。


 驚いているのを察したのか、ミュゼァがミークのことを睨みつける。


「城の結界が一番強いからと、召喚した聖女を他に奪われるのを避けるための実験施設だ。他の誰が何と言おうが、僕が君のことを守るよ」


 日本に居た頃男性経験の無かった私からすると、優しく守るだなんて言われると、照れてしまう。手で顔を押さえると、オズワルドが名案だと叫んだ。


「ミークに教育係を頼もうと思っていたが、ミュゼァにしよう。断られる前に色々話が決まって俺は嬉しいよ」


「そうですな。ミュゼァ自ら守と言われるとは……これからが楽しみですな」


「後で覚えてろよ。聖女美麗、詳しいことは神殿に移動してから説明する。移動魔法で一気に行きますよ」


 ミュゼァの言葉に、オズワルドが口笛を吹きミークが私の手を取った。


「城で魔法の制限がかかる区域で平然と移動魔法が使えるのは、お前くらいだな」


 オズワルドが私の手を取り、ミュゼァを囲むように円を描いた。


「歴代最強と言われているんだ、これくらいできなきゃダメだろう」


 小さな声で呪文を唱え始めるかと思いきや、手にしていた杖を振るうと、一瞬にして場所が変わった。


 魔法の世界ってすごい。


 聖女として呼ばれたからには、私にも魔法の能力があるのかな。夢に見ていた力が私も使えるようになるなら、怖い面も無いとは言い切れない。戦いに出るのは、尻込みしちゃうけど、ワクワクしている自分もいた。


神殿に向かう話続きます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ