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八話 装具店

 夕方、ハンターギルド前まで来ると依頼を終えたハンター達が続々とギルドへ入って行くのが見える。


「こっちの方にある事は聞いて来たんだけど何処が良いんだろうね」

「あの辺のハンターに聞きゃいいんじゃねぇ?」


 俺が聞いてくるわとレオがギルド入り口辺りにいるハンターに装具店の話を聞きに言った。


「なぁ」

「ああ?なんだよ……って……」


 一瞬鬱陶しいガキだなと思い、適当に流してやろうと、思ったハンターだったが朝っぱらから喧嘩してたガキだと思いすぐに態度を変え話を聞く事にする


「ああ、どうした?」

「この辺に装具店があるって聞いて来たんだけど、何処の装具店が良いのかわからなくてさ」

「ああ、そんな事か……」


 朝は自分も調子に乗って少しヤジを飛ばしていたので何の話かドキドキしながら話を聞いていたハンターは内心ホッとしていた。


「このギルドの先の角を右に曲がってそのまま真っ直ぐ進めばすぐにハンターとか傭兵とかまあ戦う事を仕事にした様な奴が道具揃える商店街みたいなのがあるよ」

「へぇ、でどの店が良いんだ」

「最近出来たスーパーウォリアーズって店が流行ってるな」


 値段もそこそこ安いしなと店の場所も一緒に教えてくれた。


「あぁそうだ」

「え? まだなんかあんのか……」


 やっべーやっぱヤジ飛ばしてたのバレてたのか、とハンターが一瞬ドキッとなるが


「ありがとな、おっさん」


 お礼を言われただけで済んでホッと胸を撫で下ろし、お礼を言われただけじゃねぇ! 俺はおっさんじゃねぇ! と心の中で叫び、まだ二十六だ! と後ろからレオに言っていた。

 レオはギン達の所へ歩きながら気にした様子も無く後ろのおっさんに手を振っいた。


 ギンとフウも話を聞いていたらしく誰もが今流行りの店はスーパーウォリアーズだ、と言っていたらしい。

 取り敢えずその店を見てみようという話になりギルドを少し通り過ぎて角を右に曲がる、すぐに商店街らしきものが目に入ってきた。


 歩いてみると武器専門店だったり防具専門店だったりと色々な店がある、傷の治療に使う薬などを置いている薬局などもある。


「ハンターって沢山いるんだなぁ」

「そうだねー」

「まあ薬草の採集だったりとか鉱物取って来たりだとか戦わなくても金は稼げるからな、多分いろんな奴がやるんだろ」


 色々な店に入って行ったり出てきたりとハンターだけではないだろうが、商店街はどうやら賑わっている様だ。


 一際賑わっている店を見つける、看板にはスーパーウォリアーズと書いてある、ここがどうやら今流行りのお店のようである、この商店街の中では一番大きな店だ。


「あそこがそうじゃねぇのか」

「そうだねー沢山人いるし」


 取り敢えず見てみるかと中に入って行く、中に入ると沢山の商品が陳列されている、武器もダガーから大剣他には杖や弓また銃もハンドガンやライフルショットガンなど多種多様な物が並び防具も膝当てやショルダーパッドや膝当て臑当やガントレットなど色々な物が商品棚に置かれている傷薬の類まである。


「おぉ、すげぇな何でもあるぞ」

「凄いねぇ、ホント何でもあるよ」


 ギンは商品棚の触れる類の物を手に取り見ながら、店の中を見て回る、ナイフの類を置いているコーナでナイフを一本手に取ってみる。


「……ふーん」


 刃に親指をそっと当て刃の感触を確かめる、どうにも余り切れそうな感じでは無かった、確かに値段は安いがこれは、安かろう悪かろうってヤツだなと思う安物買いの銭失いとも言ったか。


 しかし、目利きが効かない成り立てハンターや取り敢えず安物でもいいから一通り道具を揃えたい連中にならなんだかんだで売れるのだろう。


 この世界でも貧富の差は激しい、お金が無い中で一発逆転を目指してハンターになり散っていく者などざらである。


 店の中を色々とみてまわっていると何やら言い合いの様な声が聞こえる、子供と言っても自分達と同じ歳の頃の少女が装具店の人と言い合いをしているのを見かける。


「なんだぁ?」

「首突っ込むなよ面倒くさいから」


 そう言って他の場所も見て回り一通り見て、ギンがやっぱりダメだな、値段は確かに安いかもしれないがこれならすぐに壊れたり修理しなきゃいけなくなる、ここでの買い物は辞めといた方が良いなと言って店を出る事にした。


 商店街をもう少し見て回ろうと言う事で今は商店街の道を歩いている、他の店にも客はいるが少ない馴染みの顧客が付いている店は良いのだろうが、何軒かの店はシャッターが閉まっている。


「あのお店にお客さん取られて潰れちゃったのかなー」

「どうなんだろうな」


 更に歩くと一件の店の前で男の子となにやらガラの悪い男達が、言い合いをしている。


「とっととここ、出て行ってくんないかな」

「いやだ、ここは俺の家だ!」

「もうお前の家じゃねえんだよ!」

「でていかねー!」


 聞き分けのねーガキだなと言ってガラの悪い男達の一人が男の子の頰を殴り飛ばす、殴り飛ばされた男の子はそれでも立ち上がりガラの悪い男達を睨みつける。


「おぉ、ありゃダメだろ」

「レオやりすぎないでよ?」

「あぁ、分かってるよ」


 レオが何で子供相手に五人もおっさんがいるのかねぇと言いながら、横から男の子と、ガラの悪い男達の間に入って行く


「おいおいおい、こりゃぁダメだろ、なぁ? 大のおっさん共が雁首そろえて、子供囲んで何面白い事やっちゃってんの」

「何だてめーは! 関係ない奴はすっこんでろ!」

「あぁ? そりゃねぇだろ、仲間はずれにすんなよなぁ、俺も混ぜてくれよ」


 ドゴっと音と共にガラの悪い男達の一人の腹にレオの拳がめり込んだ、男の体が軽く宙に浮き、そのまま吐瀉物を撒き散らしてたおれる。


「やることなす事汚ねぇヤロォだなぁ、お前もそう思うだろ?」


 と次の男の顔面を殴る、ゴキっと鈍い音がして


「オゴぉ」


 ボタボタボタ鼻血を流して、前歯がポロポロと落ちる


「ボタボタポロポロ忙しい奴だなぁ」

「なんなんだてめーは、一体何の関係があんだよ」

「あ? 関係ねぇよ、俺がムカついたからぶん殴るんだよ、文句ある奴はほら、来いよ」


 手の平を上にしてクイクイっと手招きする、どうした? 早く来いとレオが言うと残り三人の男が一斉にレオに殴り掛かる、右手で殴って来た男の攻撃を半身になり右側に移動して躱し躱し様に左の上段蹴りを顔面にお見舞いする、続いて次の男には右の後ろ回し蹴りが胴体に直撃して男を吹き飛ばす、三人目はやられた仲間を見てたじろぎ、どうするか迷っている。


「さっきまでの威勢はどぉした?」

「なんなんだてめーは……」

「さっきからそればっかりだなぁ!」


 ゴッと真っ直ぐ右ストレートで一撃、真後ろにぶっ倒れた、するとさっき歯が折れて口から血が流れている男が起き上がった。


「俺はひに……ほんなほほひへ……」

「何言ってるかわかんねぇよ」


 全部聞く前にもう一発ぶん殴り倒した。

 かなり手加減したのですぐにガラの悪い男達は起きあがり逃げて行った。

 男の子は呆然としていた、レオの圧倒的な強さに見惚れていた。


「すげー兄ちゃんすげー!」

「まぁな、でもこんなの大した事じゃねぇよ」

「でもすげーよ、カッコいいよ!」

「それより、お前なんでこんな奴らに囲まれる様な事になってんだ?」


 男の子に話を聞いたが男の子自身もよく分かっていないらしい、いつの頃からか頻繁に現れる様になり嫌がらせや因縁を付けて行く様になったらしい。

 男の子がさっきのレオの真似をして蹴りやパンチといった動きを真似している。


「どうするの? やっつけちゃったらまた来るんじゃないの?」

「面倒だな、どういう連中が来てんのかもわからねーし」

「でもよぉ、あのままこの、男の子がやられんのは黙って見てらんねぇだろ?」

「まーな、けどどうするか……」


 すると少女と言ってもギン達と同じ位の歳の頃で髪は薄い赤みがかった茶色でショートカットにしている作業服を着た少女が四人の前まで来て、男の子がほっぺたに痣を作っているのを見てギン達三人を睨みつけ、持っていたスパナを突き付けてくる。


「私の弟に手を出したな! ぶっ飛ばしてやる!」

『…………。』


 三人はそろって言葉を失ってしまった、こんなあからさまな勘違い、マジであるんだなと思っていると。


「……姉ちゃん、その格好良いと思ってる超ダサいポーズとりあえず辞めてくれよ……」

「え……ダサい!? えっえー! ダサいって私のポーズが? ダサくないから! それにあんたを助けるために真剣に構えたんだから!」

「いやダサいよ……真剣にダサいよ、てか真剣なら真剣な程ダサいよ……てかダサいダサくないの前にこの人達じゃないよ……この兄ちゃん達は俺を助けてくれたんだよ」


 その瞬間、謝るまでの速度は早かった、しかし恐ろしい程に洗練された流れる様な動きで、弟と向かい合っていた所からギン達へ向き直り頭を下げる、ただそれだけの動作の軌跡が後から追う様に付いてきていた。

 そして弟にはダサいって言い過ぎだから、何回ダサイって言うのよ! てかそもそもダサくないから! と頭を小突いて、紛らわしいのよそうならそうと早く言いなさいよねと言っていた。


「とりあえず家に入ってよ、なんにもないけど」


 そう言われて、ギン達三人は少女の家に入る、少女の名前はマリー・ゴールドハンマー、弟はテリーという名前で家の入り口の上には看板にゴールドハンマー装具店とあった、マリーから話を聞くとどうやらこの街の裏にはならず者の集団、ヤクザや暴力団やマフィアの様な集団がいるらしい、構成員は元ハンターや腕に自信のある喧嘩師または、軍人崩れ等色々ではある、そういった連中からマリーの父親がお金を借りてしまったらしく、その取り立てにさっきの様な連中が嫌がらせをしにきているらしい。


「でもお父さんは? お金を借りたお父さんはどうしたの?」

「お父さんは、病気で死んじゃったの……」


 マリーの祖父の祖父の代から続いていた装具店だったが父親は病気で死んでしまったらしい、もっと前に母親は早くに亡くなり、お爺さんと父親が必死に二人を育ててくれたらしい、しかし、数年前にお爺さんを亡くし、父親は最近病気で亡くなり父親が生活費として借金したお金も払えなくなってしまった。


「悪い……変な事聞いたな……」

「いや……いいの……」

「生活は大丈夫なの?」


 フウがそう聞くと、お店自体は今はヤクザの連中が来るから開けられないが、マリーも小さな頃から爺さんと父親の仕事を間近で見て手伝って育ってきた為、爺さんや父親に腕は及ばないがそこそこの武器や防具を作る事は出来るらしく、今はスーパーウォリアーズにそういった装具を卸して賃金を貰っている、ギリギリの稼ぎはなんとかあるらしい。


「スーパーウォリアーズの店主さんが凄く良い人でお父さんが倒れた時もお金を援助してくれたり、生活を助けてくれたりしたの」

「へーやっぱ儲かってる店は違うな、懐が広くなるんだな」

「なぁどんな武器とか作るんだ? 見せてくれよ」


 そういうと、私はまだそこまで凄いのは作れないよと照れながら見せてくれた、見せてくれたのは一般的な片手剣だった確かに名工が作る様な物とかには及ばないのかもしれない、しかし凄く作りは丁寧で刃も綺麗に研がれている、ギンがそっと刃に触れて、思う。


(こんな、良い刃物はあの店には無いと思ったけどな)


 刃物以外には作らないのか? とギンが聞いてみるとマリーは複雑に金属を重ねたガントレットを持ってきた、触って見る、重厚で重いが手首の関節部などの動きは良い、ぶつかる感じが少なく、阻害感もそこまで感じない、正直に三人はスーパーウォリアーズで見た商品よりも良い物を作ると思った。


「かなり良い出来なんじゃないか」

「おぉ、すげぇよさっきの店より良いよな」

「うん、作りも凄く丁寧だしね」

「そんなに褒めないでよ、まだまだお父さんやお爺ちゃんには遠く及ばないし、それに刃の研ぎは実はテリーがやってるんだよ」

「俺が研いだんだ! 金属研磨は俺の仕事なんだ!」


 そう言ってテリーは自信満々で胸を張っている、レオはすげぇじゃねぇか大したもんだと、褒めている。

 ギンは少し考えてから提案してみる。


「なんか素材があったら俺達の装備とか装具って作れるか? ちゃんと料金も払うから」

「あー! それ良いね、それなら少しかもしれないけど稼ぎの足しにもなるでしょ?」

「是非やらせて、仕事は丁寧にやる自信がある! お爺ちゃんやお父さんの技術に今はまだ追いついてないけど、必ず追いついて見せるから、私にやらせて!」


 テリーも俺も頑張って研磨するぞ!と意気込んでいる、なら話は決まりだなとギンが言ってレオが上手くいくと良いなとテリーの頭を軽く叩いていた、それじゃそろそろ帰るかと言ってギン達三人はマリーとテリーの家から出る。


「またねー、本当に色々ありがとう!」

「レオの兄ちゃんまたねー」

「おう、またなぁ」

「それじゃあ、また来るね」


 挨拶を済ませて三人は民宿に向かって歩き出す、商店街から出る所で人が笑いながら倒れているのを見かけた。


「なんだぁあれ?」

「やめとけ見るな、頭おかしいんだろ」

「なんか酷いね、路地の奥とかに偶に見かけるけど」

「関わり合いにならないのが一番だろ」


 そう言いながら、また民宿に向かって歩き出す。




 民宿に着くと女将さんがすぐに出て来て、どうだった良いお店は見つかったかい? と声をかけてくれた、フウがうん見つかったよと答えて話を始めていた。


 三人は先にお風呂を済ませ、食堂にいる、食事をしているとラジオからニュースが流れているのを耳にする、そこから流れて来たのは戦争の話だ。


 この世界はガイスリィと呼ばれている星である、そのガイスリィの西側の大陸、パプリオン大陸、そこにはファブリス帝国があり大陸統一を目指し領土拡大しながら侵略をしている、既に大陸北側は完全に支配されている、今は南側に向かって軍を進めているという内容がラジオから聞こえてくる、そして世界の東側にはメロー大陸という大陸がありそのメロー大陸の北側にはメロー合衆国がある、南側には今現在ギン達三人がいるブルズの街もそうだが、大小様々な国家が存在する地域なのだが、帝国の脅威から民を守る為に連合国として手を組んでいる状態である。





 食事をしながらラジオを聴いていると、女将さんがやってきた。


「いやだねえ、戦争なんてしなくても良い方法は無いもんなのかしらね」

「戦争なんて要らないのにねー」

「戦争……そんなもん無きゃ俺達の両親も生きてられたのかなぁ……」

「そんな事言ってもどうしようもねーよ、いないもんはいないんだ」

「あんた達両親いないのかい……」

「私達戦災孤児らしくて、まあでも物心つく前からお爺ちゃんに育てて貰ってて両親て言われても全く実感も無いし、寂しいとかそういうのも無いんだけどね」


 そう言うと、女将さんは少し泣いてしまっていた、フウが気にしないでと言うが、女将さんは厨房から少しオマケとおかずを追加してくれた、強く生きるんだよと、いつまでうちに泊まっても良いからねと言ってくれた。

 最後に街の中央役場から何か手紙が届いていると渡された、開いてみると、出頭願いと書いてあった。


「おそらくアレだろ、集落の件だろ」

「そうだね、間違いないよ。街に入る時の通行証の職員さんも出頭願いが出るかもって言ってたし」

「面倒くせぇなぁ、それって全員行かなきゃいけねぇのか?」

「当たり前でしょ、ほらここに書いてある、当事者全員で来てって」


 だぁー面倒くせぇなぁとレオが言っている、ギンも面倒くさそうにしている、でも仕方がないかと明日は朝一で役所に行く事になった時間が空けば依頼も受けたい三人は今日はこのまま眠る事にした。

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