閉会式
ブロロロロブロロロロ音がして、ききぃと止まって戸が開く。バタン、チラ、ザザザザザ。「良かった、間に合った!」と叫んでドシドシ歩き、後ろの方でぎゅぎゅぎゅぎゅうと座る。みな見ている。濡れた彼を見ている。しばらくして何事もなく式は再開された。ひゅるひゅるひゅる、はらはら。つーつーつー。すらすらすら、ていんていん、とこ、ぱらぱらぱらぱら。
「あぁ!」
再度彼に視線が集まる。司会者が、顔を曲げて「静かにしてください」と言うものの、舌を出してそれを噛んで、「えぃーー」ふざけた音を奏でている。警備員などいるはずもないので司会者が降壇し、彼のところまで行く。「すみませんちょっとこっちに来ていただけますか」と背中を押して出口へ向かう。直前、助手に視線を預けると、助手はうなずき、進行を続けた。
何の閉会式かというと、屋内で行われた、村のレクリエーション大会の閉会式で、彼はその祭りのことを知らなかったのだ。