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惜しみない愛を、君に  作者: 塔守
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三二話 「言葉遣いが変なやつくらい許してやってくれよ」

 一月始まりのダイアリーは既に使い込まれた感じが出てきている。


 僕は前半部の適当なところを開く。


 まずは大きく黒い文字で「メモは後から誰が読んでも分かるように書くこと!!!!」と書かれているのが目に入る。筆圧も強く、感情が乗っているのが分かった。


 これは何に対して言われているのかと一ページめくってみる。


 2月11日のページに「うち氏 電車内で文蔵氏相手に討死」と、癖の強い字で書いてあった。


 その日のことを思い出すが僕は誰にもそんな物騒なことはしていないはずだ。


 少し考えた。


 2月14日が、僕がチョコレートを食べて嘔吐してしまった日だ。


 その数日前。祝日で、映画を見に行って、テストの日程などの話をした日。


 その日の妙中さんは14日の予定を決めた後、突然口調が変わって話の前後が繋がらない状態になった。きっと、あそこで「交代」したのだ。


 そしてそのまま電車は降車駅に着いたのでそこで別れた。


 会話を上手く繋げなかったことを「討死」と比喩しているのではないかという結論に達した。


「うち氏」が分からなかったが、おそらく人称代名詞だろうと思う、と目の前の十六夜さんに伝えたら、「お前さ『俺氏』とかいうムカつく言い方知らない? それのヴァリエーションでさ――まあいいや。ジブンを除いてあいつらの中に人格破綻者こそ居ないけど、変なやつはいるからさ。言葉遣いが変なやつくらい許してやってくれよ」と言われた。


 他のページでも、妙中さんは人格間でメモのやり取りをしていて、その様子はさながら――話に聞いたことしかないが――交換日記のようだった。




 ――2月1日(月) →みなぎちゃん 文蔵さんOKしてくださいました! これで晴れてみなぎちゃんと文蔵さんは彼氏彼女の関係ですよ! 文蔵さんからメールが来ているはずですので、返信をお願いします。 詩織


 ――2月2日(火) →詩織ちゃん ありがとう! すぐメール返すね! 自分で返事聞けなかったのは残念だったけど…… みなぎ




 僕らの始まりの日が書いてあった。海凪さんは黒、詩織さんは赤を使うらしい。そしてそのページには蛍光ペンで派手に囲われた「妙中海凪には、ついに、すてきな彼氏が出来ました! みんなありがとう!」というメッセージが記載されており、そこには寄せ書きのように様々な筆跡で「おめでとう!」だとか「私も頑張ります!」だとか、クラッカーを鳴らしたウサギが「協力するぜ!」と言っているイラストだとかの色とりどりのメッセージが添えられていた。

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