二五話 ――私のこと――愛してる?
2WAY弾。3WAY弾。
扇状弾。全方位弾。
自機を狙う弾、自機の位置に関係無く敵機の正面に吐き出される弾。
画面内にある自機以外の動く物体はほぼ敵だ。世界そのものが己の命を刈り取りに来ていると言ってもいい。
殺伐とした世界であるし、一般に女の子が好む世界ではないだろう。
だから、昨日の妙中さんの反応もそれ程おかしくはなかったのかもしれない。
僕は帰宅後、いつものように宿題や予習、家の手伝いを済ませて、部屋でお気に入りの作品をプレイしていた。元々は父の持ち物だ。90年代中ごろに発売されたハードで、途中押入れにしまわれていた時期もあったが、二十年以上動き続けている。ハードの弱点として、データがちょっとしたことですぐに消えてしまうのだが、どうせ僕の記録しているデータなど、殆どはハイスコアだけなので気にしない。
98年の作品、『レイディアントシルバーガン』。その最終戦。敵である光の巨人の心臓部には、
物語の核でもある『石のような物体』が脈打っている。画面を埋め尽くす双四角錐形の敵弾が、
上端から下端まで垂直に雨のように降り注ぐ。
光の巨人が墜ち、続くラストシーンでは自機は射撃能力を失い、制限時間いっぱいまで敵弾をひたすら避け続けていかねばならない。
これはアガペーかな、と思う。
家庭用ヴァージョンではここに意味深長なナレーションが重なり、タイムが0になった瞬間、『石のような物体』は光を放ち爆発する。最後に聞こえるナレーションは、
――私のこと――愛してる?
ずっと、気にはなっていた。
ただ、自分から言うものではないだろうと思っていたので口にしなかった。
僕が何か言うのは、乞われた時と、明らかに相手が困っている時と、自分が如何ともし難くなった時だけだからだ。
そして今は、流石に困っている。




