二二話 「わたしも初めてだよ。ワンホールのケーキを食事代わりにするのは」
「二点目とはなんでしょうか」
「あ、うん。あのね、わたしたち今日どんな約束してたっけ」
彼女は何故か目鼻をティッシュで拭っている。
「予定の確認ですか。昼食をご一緒してしばらくの歓談ののち、散歩を兼ねて先日お約束した二人同時プレイ可能のシューティングゲームをプレイ出来るところへ行こう、と。そのように」
「そうだよね。今まだ11時だよね。これからお昼食べようとしてるのに、こんなボリュームのあるお菓子が現れてしまってわたしたちどうしたらいいのかしら……」
なるほど。
「そちらを購入したお店で、持ち歩きの時間を訊かれ保冷剤を頂きましたが、つまり、長持ちしない食品だということでしょうか」
妙中さんはぱちぱちと拍手で僕を褒め称えた。誇らしい。
因みに僕は持ち歩きの時間を、彼女に手渡す時間までしか計算していなかったのだ。
「――食べるしかないね」
「昼食の代替ということでしょうか」
「わたしも初めてだよ。ワンホールのケーキを食事代わりにするのは」
言いながらも妙中さんは少し目が輝いている。
幸い、この駅前から少し歩けば夏場はバーベキューなども出来る自然公園があり、ベンチやテーブルが使えるはずだということだ。
「百円ショップで、ケーキ用のナイフあるかなあ。あと、紙皿とフォーク? 飲み物も要るね」
まずは近くの店に寄って、必要なものを買うことにした。
「いいから、ここはわたしが出すから、ね?」
そう言って妙中さんはカゴを持ってレジまで行ってしまった。足取りは軽い。




