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一九話 乞われているようだった
4月になり、僕は三年生に、妙中さんは二年生になった。
僕も所属する特進クラスは成績と希望の進路を加味され二クラスに再編されたため、担任の先生も変わった。まずは二者面談が実施されることとなり、一週間毎日少しずつ時間を取って新しい担任の先生がクラス全員と話をするとのことだ。
三日目に順番が来て、僕は用意された教室に入る。僕と先生の二人きりだ。
「改めまして。文蔵君の高校生活最後の一年の担任を受け持つ秋津按です。よろしくね」
落ち着いた感じの女性の先生だ。僕も挨拶を返す。
前年度の担任から引き継いだ情報の確認、改めて進路の希望に変更や新たな決定は無いかと
いったことを恙なく話した。
「最後に」、と前置きして、秋津先生はこう言った。
「なにかしら悩みや困ったこと、相談したいことがあったら何でも言ってくださいね。先生、出来る限りみんなの力になりますから」
「そうですか」
「……。さしあたって今、文蔵君には特に困っていることなどはありませんか?」
先生は身を乗り出して、「なんでも言っていいですよ」と言う。
「良いのですか」
先生は両手を内側に向けてひらひらさせて「さあ、さあ」と言っている。
乞われているようだった。




