「ギタイセカイ」のあらすじ(電撃大賞 選外)
2016年電撃文庫大賞(短編)応募 選外
中学三年の呉野 世界こと界は、同級生の真柴やマネージャーの水澤とともにバスケの試合に臨んでいた。鼻血を出して休憩していた界の元に現れた幼なじみの椿木は、姉の史穂から荷物が届いていたことを伝える。
荷物の中身はごくふつうの卵。添えられた「わたしには、孵せない」というメモに困惑しながらも椿木の勧めで抱卵することにした界だったが、史穂が産んだ卵かも知れないと云われたことから、自分が人間ではないかもしれないと感じていた。
父親の言葉で不安は解消されるも、椿木の異様な悲鳴に驚いて駆けつけた界は、巨大な白蛇を目にする。
椿木は蛇の血を継ぐ混血で、検疫局による「人間化訓練」を受けていたものの、脱皮するときは先祖返り(退禍)してしまうのだという。界自身も、自宅を訪れた史穂の言葉で、自分が七年前に母親を襲った混血だと知ってしまう。
鳥やネズミを殺して逃げていた水澤に呼び出された界は、真柴と対峙する。
検疫局に勤める真柴は、凶暴化した水澤を処分するというのだ。激昂した界は、水澤に発砲した椿木に退禍して襲いかかってしまうが、椿木の機転で見逃される。
自宅に戻ると、史穂が産んだ卵が孵ろうとしていた。