「純黒のリゼリア~魔女ハ兄ヲ溺愛ス~」あらすじ(ジャンプ小説新人賞 一次通過)
2015年 ジャンプ小説新人賞Spring応募 一次通過
人とは違う力を持つ『魔女』を処刑する『魔女狩り』から八年。
兄アレクススに命を救われた魔女リゼリアは、兄の上客である伯爵令嬢エリザベスからの依頼で不老不死をもたらすという『奇石』を探していた。
国境の街イレイユに向かう汽車の中で奇石の運び屋に接触したリゼリアは、朱眼で覗きこんだ相手の「妹」になるという自らの魔法を使い、あるケースを奪いとることに成功する。
しかしケースの中に入っていたのは、石ではなく人間の少年だった。
奇石の取引が行われる二日後までイレイユに滞在することにしたリゼリアと仲間のメルル。ケースに閉じ込められていた少年ロキは、奇石について知っている様子だが朱眼をかけても詳しいことは話さない。
翌朝、朝市へ出掛けた三人は奇石を狙う男たちに遭遇するが、リゼリアとメルルは慣れた様子で相手を撒く。
「すべては兄のため」。そんなリゼリアの想いに疑問をもつロキに、リゼリアは自分の代わりに殺されたアレクススの実妹マリーへの償いのためだと明かす。
一方アレクススは、奇石は「石」のことではなく、特定の力を持つ魔女のことだと明かした上でエリザベスを誘拐する。
行方をくらましたメルルを探して教会は訪れたリゼリアとロキは、アレクススと対峙する。
アレクススの目的は、人形に宿っているマリーの魂を、奇石と呼ばれる魔女ロキの転移の力でエリザベスの肉体に移すことだった。リゼリアは自分の体を差し出そうとするが、ロキに叱られる。ロキは幼いころ生き別れた実兄だったのだ。
ロキの転移の力で形勢は逆転し、リゼリアはアレクススに力を使い事件を収束させる。
すべてが解決したふたりは、隣国に渡り、共に生きていくことを決意する。