あらすじは意外と見られている?
「あらすじ」をなめていた私に突きつけられた評価シートの一文
注意※これはあくまでも七年前の経験であり、近年の状況やレーベルによって「あらすじ」がどのように扱われているのかを断じるものではありません。
自分にとって処女作とも呼べる小説「選ばれなかった世界」を書き上げたのがいまから七年ほど前。
当時はまだ印刷→郵送が投稿の主流だったので、締切間近ということもあり大急ぎでプリンターを稼働させた私。
そのときになってようやく、応募要項の中に「あらすじ」という言葉を見つけました。
「あらすじって、"あの"あらすじだよね?」
イメージしたのは小説の裏表紙に記されている文章。
ストーリーの簡単な概略とともに最後には「どうなる○○!」や「少年少女の運命は?」といった煽り文句で締められている覚えがありました。
「書籍化されたときの煽り文句まで応募者が考えるの?」
タイトルは自分で考えるのだから、裏表紙も作者が考えるのだと思ったのです。
しかしながら、念のためと思い「あらすじの書き方」でネット検索。
するとあらすじを添付する意味とともに「物語の概要を最初から最後まできちんと書くこと」という一文を見つけました。
「なんだ、それくらいなら…」
と安堵し、時間を惜しんで早速Wordを開くも、書き始めてすぐ指が止まりました。
「最初から最後まで……えと……なに書いたっけ?どんな内容だっけ?」
自分ひとりで考え、半年以上かかって書き上げた小説です。
ストーリーだってキャラの名前だって自分だけが知っています。
あらすじを書くなんて簡単。簡単なはずなのです。
それなのに。
「どうしよ……。あらすじが書けない」
プロットがないまま勢いと思いつきだけで書き上げた小説は自分の手綱を外れて大暴走。
なんとなくのストーリは分かっていても、細かい部分となるとうろ覚え。
話の筋を冷静に追おうにも締切前で頭の中はパニック状態。
とにかく時間がない。
時間を惜しむようにあらすじ"らしきもの"を書き、て応募要項とともに印刷してレターパックで送付しました。
それから数か月後。
結果が発表され、人生初の評価シートをもらいました。
指摘された内容は的確で、ぐぅの音も出ません。
しかしながら二次通過というまずまずの成績を出せたことに満足していたのですが、評価シートのある一文にハッとしました。
『あらすじが不十分。なぜユイのことを書かなかったのか?』
作中に登場する「ユイ」というキャラをあらすじで一切触れていなかったのです。
失念していたと言えばそれまでですが、あらすじ自体を軽んじていたのも事実。
あらすじなんて選考に際しての補助資料だろうから、多少の不備不足があったとしても本編を読めばわかるはず!
という驕った認識を真っ向から否定されたような気がしました。
たかがあらすじ。されどあらすじ。
「あらすじって、意外と見られている」
次ページより歴代のあらすじを時系列で掲載しています。