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第九十六話 オーガ? にモンスターかプレイヤーかを問いたいマオ

 GWの後半戦?


 GWが生活からなくなったのは、何年前からなのでしょうか?



 5月5日 誤字の修正をしました。

 悠々と歩いてくるオーガ(仮)を見ていると、何となく問いたくなりました。



『貴方、モンスターですか??』と。



「おう、嬢ちゃん。

 何か哲学的な事を考えとんな?」



 いきなり声をかけられました。



「貴方は、モンスターですよね??」



 普通に聞きたかった事が口から出ました。


 それに対するオーガ? の返事はある意味当然の答えでした。


「──お前さんは、自分が『半獣か半人か』と問われて答えられんのかい?」


「──確かに、答えを持っていないですね」


 ボクは『ハーフ』なので、『人』なのか『狐人』なのかを正確に答える事は出来ません。


 まあ、問いが『人類か魔物か?』であれば『人類』と答えますが……


 ボクが目の前のオーガ? と話し合っていると、オークを全滅させたみんなが駆け寄ってきました。


「獣臭い息を、お姉様に吐きかけないでください」


 包丁を構えるハルに続くように、それぞれが武器を構えました。


「──変態さんは『撃滅だ!』って、ママが言っていたよ!」


 中々物騒なお母様だ事で……



 ────ああ、家も似たようなモノかもしれません。



 ミイの言葉に考えさせられるのは、我が家の家訓です。



 家訓:敵に容赦は無用!!



 家訓:変質者には肉体的、社会的に抹殺を!!




 取り敢えず2つだけ上げましたが、似たような家訓がまだまだ続きます。


 目の前の方は"半裸"なので"変質者"に当たりますが、よく考えるとオークは半裸ではなく『全裸』だったので上ではないでしょうか?


 それとも、オークは"狩られる"運命にあり、オーガ? は"討伐"の対象であると判断されているからでしょうか?



 ──あれ? クエストで『オークの討伐』がありましたよね?



「──ヤるって言うんなら、さっさとヤろうや!」


 ボクが考え事で一杯になっている間に、話は"戦闘開始"まで進んでいました。


「失礼──最後に、貴方はオーガで、全員が話せると考えていいのでしょうか?」


 これだけは確認しないといけません。


 ユウキたちとレインさんのギルメンから、オーガ? が喋ると聞いた事がないからです。


 ボクも多少は情報を集めていますが、オーガと話したという情報はなかったです。



 ──その情報源のほとんどがレインさんのギルドですけど……




 そんなボク思いとは裏腹に、彼は答えました。


「ワイは、オーガ族の【カンサイキショウ】サイキ・フオウや!」


「カンサイキショウ……浣腸気性??」


「ちゃうわぁ!! 【漢祭鬼将】や!!」


 現れたウィンドウに出ている文字を見て、『ああ、将軍的な立場のオーガって事ですね』と理解できました。


 もっとも、ウィンドウを見せる事が出来るなら、最初から見せて欲しいですけど……




 ──それよりも、ボクの言い間違いで左右と後ろ……正確には真後ろと左右の斜め後ろを護っている3人に色々とツッコミたいです。


 キキだけ理解が及ばず、頭の上に『?』を浮かべているのはどういう事なのでしょうか?



 ──それよりもミイ……貴女は『耳年増』だったのですか!?




 何処とは言い難い『後ろ』を護る3人にちょっと引きます。


 このゲームは【R18】ではなく【全年齢対象】なので、アレな小説のような事態にはならないと思いますが……


 サイキさんとやら、青い顔で"逃げ腰"にならないでください!


 ボクの言い間違いが"真実"になってしまいます!!





 色々と問答があった気がしますが、ボクたちは10mほど離れて対峙しています。


「ほいっしゃぁ~~!!」


 オーガ・サイキさんが雄叫びと共に気合いをいれます。


 肌の色が徐々に黒みを帯び、眼の周りには真紅に輝きだしました。


 腕や胸周りが一回り大きく膨らんだように見えます。



「キキは遊撃を、シアは防衛に専念、ミイは行動の妨害を重視してください!」


「おう!」


「了解!」


「は~い」


「お姉様は、そこから動かないでください!」



 どうやらサイキさんは彼女たちの『絶対排除対象』になってしまったようです──アーメン。


 ハルの雰囲気から、ボクがこの戦いに参加する事はできそうもないので、ポーチからイスを取り出します。


 見た目がちょっと豪華過ぎるのが難ですが、みんなの選んでくれたモノなので文句は言いませんが……


 肘掛けには燃える焔の、背もたれの両端にはドラゴンを模した意匠が施され、深紅で輝きを帯びている布が張られています。


 ビロードいうヤツなのでしょうか?


 腰深く座ると足が下に着かなくなるのが残念ですが、座り心地は抜群に良いのがクセになりそうです。


 尻尾を触った感触が少しゴワゴワしている気がしていたので、ちょうど良い機会かもしれません。


 ポーチから出した櫛で丁寧にブラッシングをします。


「~~♪~~♪♪」


 のんびりとした時間が最近なかったので、ゆっくりと念入りに櫛を通して艶を生み出すように気を付けます。


 まあ、ボクはのんびりしていますが、みんなの出す『バキィ、メキィ、スコォォォン、ちゅど~ん』といった音が聞こえてきます。


 優雅な雰囲気と、物騒な音のアンバランスさを無視するように毛繕いに集中します。


 おっと、枝毛を発見したのでチョキチョキとカットです。


 艶増しに特製オイルを塗って完成です!



「グォォォォォォォォォォォ!!!!」



 ボクが尻尾のお手入れを終わった瞬間に(とき)、大きな雄叫びが(たぶん断末魔でしょう)聞こえました。


 音源と思わしき場所でひれ伏す大きな影、オーガのサイキさんが沈んでいます。


 死固多魔(しこたま)(当て字)殴られていたのは理解していましたが、あの姿(・ ・ ・)を見た限り、死屍累々と言わんばかりです。


 正直な感想を言うなら『普通の姿で出てきた方が、マシな死に方を出来た』思ってしまうくらい、酷い有り様ですね……


 もう何と言うか『"半殺し"と"生殺し"の境をミリ単位で加減している感じ』が、彼女たちの怒りの強さを感じさせる気がします。



 ──身体のちょうど半分が『丸焦げ』で、残りが『炭化』しているのは少々引いてしまいそうです。



「(ん? 今、口が動きませんでしたか??)」


 ボス級のモンスターは倒してから消えるまでに少し(・ ・)時間がありますが、これはちょっと長い気がします。



 ──ああ。生殺しですか……



 ボスが消えるまでに『時間』が設けられているのは、討伐記念のスクショを撮る為だとユウキが言っていました。


 何でも【ボス、ヤったどー】という掲示板に投稿するプレイヤーが多いらしいです。(ボクは利用した事はありませんが)




 ──ふむ。いい機会と思うので、動画を投稿してみますか。



 戦闘中の動画って、装備作成に役立つんですよ!


 もちろん、動画(メモリー)についてはみんなに説明し、理解していただいていますよ?


「────────た、たのむ。

 ひと──おも────いに、────ヤって───くれぃ」


 ピクリピクリと身体を震わせるサイキさん。


 ほったらかしは気の毒なので、ここは"リーサルウェポン"の試し撃ちをさせていただきましょう!


 サイキさんのお望み通り、サクッと(もしくはザクッと?)トドメを決めてもらいます。



「キキ、超特殊武器【天より大地を(パイル)穿つ裁きの矢(バンカー)】を準備してください。

 シアは設置の手伝いを、ミイは照準を合わせてください」


 3人の元気な声が木霊し、準備を始めます。


 この超特殊武器ですが"重量"がものすごくあり、アバター単体の能力──所謂『基礎ステータス』を重点的に上げていないと持ち上げる事も不可能な重さがあり、キキしか持ち上げられません。


 4m×4mで高さが3mある4つの脚(という名の支柱)がその巨体を支え、各脚の先からは鉤付きの固定具が地面に打ち込まれて照準のブレをなくす仕様です。



「今回のイベントは色々と収穫があって嬉しいですね♪」



 今までにも"小さなイベント"はありましたが、イベントと言ってもエリア解放といったものがメインで、大侵攻(今回)みたいに大きくはなかったですから……


 使うようなレベルのモンスターが"周囲"にいなかったのは秘密です。


「お姉様、1000mmで準備が整いました」


 現場で細かな指示を出していたハルが、準備完了を知らせてくれましたがその口から出た数字は最大サイズでした。


「元よりオーバーキルでしたが、周回遅れにしそうですね……」


 モンスターに与える一撃より、大地に刻み付けられる"痕"の方が大きい気がしますが、その事を言っても無視されそうですね。


 原因は間違いなく"サイキさんの姿"ですから。


「妖精さ~ん、カメラ、お願いねぇ~~♪」


 ミイが『精霊さん』と言っているヤツですが、4つのプロペラを持つアレ(・ ・)です。


 そう、ドローンを模した魔導偵察機【妖精さん】です。


 命名はミイで、ドローンの動力はファンタジーお馴染みの『雷属性を帯びた魔石』を使用しています。



 話が逸れましたが、ドローン(妖精さん)が上空からサイキさんの顔をアップで捉え、その涙顔を映しています。


「────ふん。終わり……」


 ドシィンっと重く鈍い音と共にボクの目の前に透明な板が立てられました。


 強化クリスタルで作られた板の強度は"強化ガラス"程度と脆いですが、エンチャントを加えることで強度不足を補っています。



「お姉様、どうぞトリガーをお引きください」



 出来る秘書風に決めるハルですが、その顔に"黒さ"がある事に気付いてしまいました。


 ボクの前に置かれている『戦闘機の操縦幹』の持ち手を思わせるレバーに手を添え、トリガーを引きます。


 半ば諦めの感情があったのは否定しませんし、できません。


「イグニッション」


 トリガーを引いた瞬間に発生した爆音は、地面に落ちた打ち上げ花火レベルの大音量と振動を伝えてきました。


 パイルバンカーの動作終了と共に現れたウィンドウには『クールタイム:240時間』と出ていました。


 リアル時間だとクレームものでしょうが、ゲーム時間表示なのでリアル時間でいうと"5時間後"くらいですね。



「片付けを済ませたら、奥地に向かいましょうか」



 3人が片付けに奔走している間に、ミイと話しながら動画を掲示板に投稿しました。


 動画の反響が思ったより酷かったのは"いつも通り"なのかもしれません。

 彼女たちの戦闘シーンがないのは仕様です。


 魔導偵察機【妖精さん】の姿は意外にもメカメカしく、可愛らしさは少しだけです。


 誤字・脱字がありましたら、ご報告をお願いします。

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