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第九十三話 マオ、予想の斜め上の効果に絶句する

 予定より1日遅れですが、更新しました。


 今回はチート成分が少ない? かも……



 4月7日 誤字の修正を行いました。

 東門に到着したボクたちは、アイテムの最終点検を行いました。


 準備をヤリ過ぎても問題ないですよね?


 ボクはポーチからある種の入った小袋を取り出し、帯に結び付けました。


 中に入っているのは、ジャングルで暇潰しで育てていた植物の種で、ちょっとばかり改良してあります。(魔王・改造)



「────こんなところですね」



 装備を含めた確認を終わらせ、ハクガの背中に飛び乗ります。


 鞍は着けていますが、体毛と同じ色に変わっているので見分けがつきにくくなっています。


 ボクの外套もハクガと同じ色なので某映画の"も◯◯け姫"の様です。


 違いは『赤いお面』がない事ですね。



「ねぇねぇ、マオ」



 服装について考えていると、ミイから呼び掛けられました。


「どうしました?」


 ミイの方を振り向くと、地面に転がっている物体(キキ)が視界に映りました。


「────動けない……ぞ」


 ウネウネと脈打つように蠢きながらボクを見上げてくるキキ。


 彼女の身体に巻き付いているモノは、ボクが作った武器の効果が発動した結果でしょうが……


「────キキ、何をしているのですか?」


 自身を縛り付ける紐と戦いながら、地面を転がっています。


 キキを縛り付ける紐は"非殺傷武器"の【縛るんです】で、自動で対象を捕縛したり、自縛を防ぐ機能を付けた便利道具だった記憶です。


 キキの不器用さを考え、最大限の保険を付けたのですが、その働き(効果)は何故か無効化されているのが不思議です。


 性能の確認で試した時には、何の問題もなかったのに……



 ──いえ、言い訳はダメですね。意識しない様に目を逸らしていましたが、このまま放置してはイケないです!



 大きな欠伸をしているハクガから飛び下り、キキの側に歩いていのですが現在の状況──縛られているキキの姿は異常なレベルで"エロい"です。


 その原因は数日前に、キキの装備(防具)を作るときに相談を受けた事にあります。



『最近、動きに違和感が出てきた』──と。



 違和感の原因は単純で、生身の肉体(リアル)の"成長"です。


 VRは使用する上で『生体スキャンを行う』必要があるのは周知の事実で、アバターには"切り離せない"不文律があり、それは『肉体と精神は密接に関係する』という事です。


 "身体が成長すれば、精神も成長する"ので、リアルの成長に合わせて生体スキャンをしなくてはいけないのです!



 ──ここまで言えば分かるでしょうが、以前のキキの体型は『ぷにゅぃ、スッ、とん』でしたが、現在は『プルん、きゅい、ピチッ』に成長し(なっ)ています。



 正直な話、キキを縛っている紐が"良い仕事"をし過ぎている気がします。


 作製者としては意外な効果を喜ぶべきなのか、嘆くべきなのか判断に苦しみます。


 この姿を見ていると、着せている"服"も問題ですね。



 ──悩みました。



 物理で突貫するキキの防具は、重すぎれば『動きを阻害』してしまい、軽いと『防御力が低く』なってしまうので……


 最終候補として残ったのは、速度に特化した【忍服】と攻防が平均的で若干速さに補正がある【格闘服(チャイナドレス)】の2つで大変悩みました。


 キキに『どういった服がいいのか』を確認しながらデザインを決め、最終的には【冒険家(トレージャー)服】に決まりました。


 どんな経緯で決まったのか、何故か記憶していません。


 経緯は横に置いても、ボクの中で冒険家服はどうしても"かっこよさ"と"勇ましさ"のイメージが強く、凛々しさを中心にした"可愛さ"を添えて仕上げるのは大変でした。


 最大の難関が『成長したキキの体型』だったのですから。


 どんなに頑張っても可愛さより『ちょいエロ』が出てしまうのですから……


 その苦労を嘲笑(あざわら)うかのようにボクの新アイテム【縛るんです】は"エロさ"を強調しています。


 派手にイヤらしいのなら直ぐに対処するべきですが、それが絶妙なバランスで強調しているので逆に動きにくいです。



「────マオ?」



 ──はっ!


 ミイが言葉をかけてくるまでの間、ボクはボーッとしていたのかもしれません。


「失礼。キキが『安全装置を無効化』した件について、考えていました……」


 酷い言い訳に聞こえてしまいますが、バカ正直に真実を語ることはボクには出来ません!!


 ただ、ボクが遠回しに避けていた"事実"をシアは口にします。


「──にしても、キキの姿は『エロく』ないか?」


 ズギャーンと効果音が響きそうなくらい驚くキキと、手を顔に当て頭を振るハル。


 キキはボクに『そうなのか?』と目で問いかけ、ハルはシアを半眼で睨んでいます。


 ここで問題なのが、キキの質問に『どう』答えるかですね。


 悩んでいると何を思ったのか、ミイはシアに"ある事実"を言いました。



「でも、シアお姉さんより、大人っぽくなったよね~キキは」



 グサッ!


 見えない()がシアの胸を貫く幻影が見えました。


 それは両手剣をさらに大きくした姿に見えます。


 フラ……っと揺れる様子からシアが精神的に大きなダメージを受けた事が分かります。


 ある意味で自業自得なので、反省していただきたいところです。


 ハルはニコニコ笑顔で一撃必殺(鋭い一言)を放つミイの事を『ミイ、何て恐ろしい娘!!』と、少女マンガ風の表情で驚いています。


 まあ、1つ言える事はミイの一言は計算したモノではなく、本音で言っている事が問題でしょうか?


 そんな3人のやり取りを横目に、キキの救出に向かいます。



「動かないで──くださいね?」



 縛られて自由に動けず、ウネウネしているキキに注意を促します。


 偶然のボディタッチは仕方がありませんが、注意すれば回避できる接触はなるべく回避する方がいいでしょう。


 キキ自身の貞操観念というか、男女間での接触においての感覚は結構甘いので(主にハルが)注意をしているのですが、改善される気配が今のところありません……


「──なんだ? 擦れている部分が……」


 キキの口から"ヤバい"セリフが出てきました!?


 ボディタッチ云々(うんぬん)よりも、キキが変な【覚醒】をしてしまう方が大問題です!!



 ボクは腰の裏に留めてあるダガーを抜きました。


 もしもの為に作った、気まぐれの道具です!




カッティング・ダガー(斬れるんです!) 魔王式・改】


 見た目は極ありふれた短剣(ダガー)だが、通常なら物体を"斬る"事に特化しているハズだが、この【斬れるんです!】は正反対の性質を持っている。


 ──つまり、『目に見えないモノ』『物理的な実体(・ ・)を持たないモノ』を斬る事に特化しているので、刃物としてなナマクラレベルの品。


 故に"カテゴリー"は【武器】ではなく、道具の一種【魔道具】に当たる。


 プレイヤーが"通常生産"では産み出せない、バグ的な確率で発生する【特異化】が起こらない限りはダンジョンで入手する以外の道はないハズの逸品。


 ──何故か、魔王様は平然と造り上げた。(謎)


 刃渡りは10cm、先端から2cmの範囲が『道具の効果を一時的に封じる』効果で、残りが『魔力を"切り裂く"』効果が付いている。


 道具の効果を一時的に封じるには、先端を触れさせている間に限る。


 魔力を"切り裂く"事が出来るとあるが、【魔法】を切り裂こうとするのは辞めた方がいい。


 刃渡り(長さ)が足りないから。



 追記:伸びたりしないよね??

 あと私、物は"斬れません"よ?(by.ダガー)






 ──色々と突っ込みたい部分がありますが、現状の対応に使える効果なので見て見ぬフリです。


 キキを縛っている【縛るんです】のスイッチを探すのですが見当たらず、うつ伏せ状態のキキを"仰向け"にした時に見付ける事が出来ました。


 でもなんで……谷間(そんなところ)に入り込んでいるのですか?


 しかも御丁寧に『スイッチを隠すように巻き付いて』います。


 スイッチを狙って先端を向けるのですが、キキが小さく身動ぎするので上手く合わせられません!


 キキに対しては効果が薄いですが、こうなったらマヒっていただきます!!


 キキのお腹、本人の希望で剥き出しになっている"おへそ"より少し下にマヒ用のアイテムを置きます。


 他意はないですよ? ただ、おでこに置いても効果が出にくくなったキキに速効性を求めると"丹田"と呼ばれる場所に置くしか方法がないのがネックです。




【シビレリオン 魔王様バージョン】


 取り敢えず『痺れる』使い捨てアイテム。


 1個のマヒを治すには【中級・解マヒ薬】が必要。


 2個だと【上級】、3個では【劣化型万能薬(エリクシール)】が必要になるので使用には注意するように。




 ──アイテムに注意を促されている気がしますが、気にしたら負けだと思うので『ゴー』です。


「はぐぅぅ……♪」


 聞いてはイケない"声"が、耳に届いた気がします。


 ハクガが周囲に"睨み"を効かせているので、男性プレイヤーに直接見られていないのは不幸中の幸いですね。


 少しするとキキは動けなく(大人しく)なりました。


「セイっ!」


 先端がスイッチを捉え、『カチッ』と鳴ります。


 しゅるしゅる~っと肉体(カラダ)を縛っていた紐が"這うように"縮んできました。



「はぁうん♪ あ……ん」



 今までのキキは『男の子っぽい』外見でしたが、現在は『女の子』といえるまでに成長していますので意外に"性神的"な攻撃力があります。(誤字じゃないですよ?)


 下着……というと語弊がありそうですが、全裸(装備なし)状態では全身タイツ(出ているのは頭と手足)の姿になるのは周知の事実です。


 それを無効化するには下衣(インナー)を着るのですが、キキが求めのはそれよりも『肌に密着する』タイプのモノなので便宜上【下着】と呼んでいるわけです。


 まあ、要するに【スパッツ】を着ている訳です。


 超極薄、伸縮性が高く、通気性、速乾性が高い素材を探すのには苦労しました。


 しかし、忘れてはいけなかったのが『超極薄+超密着』だったことです。



 ──何が言いたいのかというと、『起伏がわかりすぎる!!』という事なんですよね……



 密着型のインナーと"ゆとり"という名の『ダブついた上衣(アウター)』との間には当然、隙間が出来ますよね?


 いや、もう──【絶対領域】のレベルじゃないです!!



「あ……♪ ん……♪」(物足りなそうな表情)



 キキを解放し終わった時には、ボクの背中は汗だくになっていました。暑くないのに……


「キキ──【縛るんです】を使う時は、注意してくださいね?」


 注意したところで、同じ事を繰り返してしまいそうに感じるのはボクのせいではないですよね?



「──ん。気を付けたい」



 予想通りというのか、全く反省した様子がないキキに不安を感じますが、最終手段はハルに"教育"していただきましょう。


 ──というか、上気した顔からは信用性皆無かもしれません。



 不毛かもしれないので、ボクは考える事を辞めました。

 キキだけでなく、マオたち(あれ? マオはほとんど変わらないかも)も日々成長しています。


 キキが淑女になれるかは、ハルの手腕にかかっています!


 誤字・脱字がありましたら、ご報告をお願い致します。

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