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第八十一話 大型モンスターには、乗って当然でしょう!

 12月12日 誤字の修正をしました。

 ミイの意味深な「まあ、2~3体と契約できたし──」という言葉の意味を確認するまもなく、「く~」っとお腹が鳴ってきたので、ハル特製のお弁当を食べます。

 弁当箱を開けると、中に封じ込められていた匂いが周囲に拡がります。ゲーム内で毎日食べていますが、リアルと遜色のない味・匂いに何度満足させられたことでしょうか!


「むぐむぐ……ハルの作ったお弁当、美味しいよね♪」


 口の中に食べ物を入れたままで、ハルのお手製弁当を笑顔で食べています。口に食べ物を入れたままで、話さないでください。

 お行儀が悪いですから。


「──ごくん。ミイ、食べながら話すのはマナー違反ですよ!

 折角、ハルが作ってくれたお弁当に対しても失礼ですし」


 ボクがそう言うとミイは頷き、お弁当の残りを食べました。食べ終わると、2人で手を合わせ「ごちそうさま」をします。

 食べ終わった後に出るはずのゴミは、粒子の粒となり空気中に溶けていきました。毎度の事ながら、ゲームであると突き付けられているように感じます。


 リュオとハクガに2匹は、暴君竜帝(ティルグルス)の肉を美味しそうに食べています。1度、「焼くだけなら、問題なく出来るかもしれません」と思い試してみたのですが、見事に焦げました!


 ──その時脳裏には、『上手く焼けませんでした!』と聞こえた気がしました。


「さて、そろそろ街に向かって、移動しましょうか」


 2匹が食べ終わったのを確認したボクは、座っていた倒木から腰を上げ、街に帰ることを提案します。


「そうだね! ねぇ、ハクガって大きいよね? 乗ることって出来ないのかな??」


 元々大きかったハクガの体躯ですが、契約とティルグルスの肉を食べた効果なのか、体格が成長しました。

 現在では、全長6m、体高3mと結構な成長を遂げました。その大きさは、『巨狼』もしくは『大狼』と言えそうな感じです。その大きな体躯なら、ボクとミイの2人くらいは問題なさそうです!


「ハクガ、ボクたちを乗せての移動は出来ますか?」


 ボクの問いかけに『ヴォウ!』と答え、元気よく尻尾を動かしています。その体躯に相応しい、大きな舌で顔を舐められました。

 満足したのか、ボクたちが乗りやすいように地面に伏せ、「早く乗れ!」と言わんばかりにその瞳を輝かせています。


「「よいしょ……」」


 2人とも同じ掛け声で、ハクガに乗ります。ボクたちの体勢が安定したのを感じ取ったハクガは、ゆっくりと立ち上がり、遅いと言ってもいい速度で歩き出しました。


「おっとと……」


 ミイは案の定、バランスを崩して、落ちそうになりました。

 ボクですか? ボクは、乗馬を幼い頃──小学生になる前くらいに、1度経験しているので問題なしです!


「うぅ──難しいよ」


 そういうミイのために、ハクガに立ち止まってもらい、新規スキルで何か出ていないか見てみます。

 ありました! 発生しているだろうと思っていましたが、そのままなネームで〈騎乗〉スキルが習得可能欄に出ていました。


「ミイ、新しいスキルで〈騎乗〉が加わっていると思います。それを習得すれば、安定するのではないでしょうか?」


 ボクの言葉を聞いたミイは、即座に習得しました。スキル習得後は、バランスを崩すことなく、ご満悦のようで笑顔でした。

 体が慣れるにつれて、ハクガは速度を少しづつ上げていたようで、現在の速度は車くらい──だいたい50~60kmくらいでしょうか?

 詳しいところは分かりませんが、乗り合い馬車の数倍は速そうな感じです!


「早い、速い!!」


 ただ、〈騎乗〉スキルを持っていても、あまり速度が上がりすぎると、切り返しのときなどにかかる負荷が大きくなっていきているのを、体感になりますが感じました。

 これは、騎乗用の鞍などを作製した方が「"安定感"を大きく得られる」と思いました。あとは見た目的にも、裸体よりは鞍を着けている方が格好いい姿に映ると考えます。


 過ぎ去る風景を見ながら、頭の片隅では作製する鞍の素材、製法を考えます。まあ、出発してから20分ほどで、森を出てしまったので短時間で着きそうです。



 ──備考と言うのか、追記と言うべきなのか……このときのボクたちの姿が見られていたらしく、『巨狼を駆る狼使いの少女』と噂されていたのは、ご愛嬌でしょうか?

 噂自体はすぐに鎮火して、『魔王様の、巨狼を配下に加える!!』と納得したくない題名の掲示板が立ったのは、"ありふれた光景"と諦めるべきなのでしょうか?


 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■


 ハクガとの出会いから数日たち、イベントも間近に迫りました!


「お手!」


 ミイの手の上に、ハクガの右前足が乗りました。


「おかわり!」


 今度は、左前足がポフっと乗せられます。


「伏せ!」


 ハクガの巨躯が地面にペタッとくっつきます。

 ミイが何をしているのかと言うと、リーダーウォークなどの──基本的には、"犬"の調教を少し前から行っています。ユウキたちも加わったことがあります。


 ──ちなみに、ハクガの中にある階位(優先順位)は以下の通りだと判明しました。


 ボク>ミイ>ハル>シア=キキ>>>>越えられない壁>レインさん=キルステさん>>ハクガ=サキ=リオ>>>>>>絶望と言う場の壁>>>>>>ユウキ=コカ君


 ──と言った感じでしょうか? はっきりと分からないのは、基本的にハクガは『ユウキとコカ君以外には、意外と従順』なのが理由であり原因です。

 あの時は、笑いました! ユウキが「お手!」と言った瞬間に、ハクガの右前足が消え去り、ユウキの顔を打ち抜いていました!!

 コカ君の場合は、顔に右前足をボスっと乗せられました。衝撃が意外と多くて、コカ君がのたうち回ったのは、不要な話でしょう。


「出来ました!!」


 ここ数日、ハクガ専用の鞍を作製していました。先ほど上げた階位表に、キルステさんの名前があったのは、鞍を作るために協力をお願いしたからです。

 作製に使った革は、『キュロプスの皮』という1つ目のモンスターのドロップアイテムを使用しています。

 体長は3mくらいと小さいくらいで、ハクガの敵ではなかったのですが、馬鹿みたいに多い体力に苦戦し、長期戦を余儀なくされました。


 元来、キュロプスの皮は黒いらしいですがキルステさんの加工により、ハクガの毛色に負けないくらい白化しています。

 万能型のボクでは、特化型のキルステさんのように現時点では(・ ・ ・ ・ ・)高レベルの素材の特殊加工が出来ません。


 何か、裏ワザのようなものでもあれば別なのですが……。


 時間をかければ加工が出来るのが、唯一の救いだと思いますが、今回の鞍作りで現れた『万能型の欠点』──とは言いがたいですが、高レベルの素材を処理出来るまで時間がかかりそうなことでしょうか。


 早速、ハクガの巨躯に鞍を取り付けます。取り付けられたハクガは、嫌がるような素振りは見せないので安心します。

 この鞍に関しては、2人乗りを想定して大きめに、丈夫に作ってあります。きちんと(あぶみ)も付いています。足を引っ掻ける輪ですね。

 準備が整ったら早速、試乗に出掛けましょう!

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