第七十七話 イベント告知後の魔王様
新装備の内容で悩みました。
今回の装備も今までのように、理不尽な仕様です!
装備のイメージが伝われば、嬉しく思います!
コカ君の持ってきたその知らせは、リアルワールド内にログインしている全プレイヤーにも『警戒音』と共に報せました。
内容は以下のようになります。
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冒険者の諸君に協力を頼みたい。
"世界予言巫女連盟"より、【大侵攻】の予言があった! 斥候を送り、事態の確認を行ったが、真実であることが分かっただけに過ぎなかった。
オリジスを含む、4つの街で連合を組み、対応に当たりたい!
諸君らが参加し、多大なる功績を上げたなら、我々が所有する秘宝を恩賞として与えよう。
諸君らの参加を切に願う。
オリジス代表 ルス・オリジス
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こういう内容なのですが、敵であるモンスターの数がはっきりと分からないのでしょうか?
ボク自身が『大型イベント』というものが、どういうモノなのかは分かりません──これは、ちょっと不明瞭過ぎます。
「キルステさんは現在、何人のユーザーがプレイ出来ているか、知っていますか?」
ソファーに寝転がったまま、隣のキルステさんに聞きます。
「魔王様……知らなかったのかい?」
呆れ顔でそう言うのですが、実際に知らなくてもプレイ出来るので、そこら辺はノータッチです。
だらり~んとして聞きます。
「現時点では、日本人ユーザーがほとんどで、だいたい5000万人が最上限ね。これは、サーバー上の関係らしいわよ?
7月末か、8月初めくらいには『大型アップデート』を行い、上限が10倍くらいの5億人くらいの対応が出来るようになり、世界中でも公開される予定──だって話しよ?」
こういったことは、『廃神ユウキ』の出番でしょうね。妙なところが詳しいですから。
他に、こういったイベントについて聞いてみることにしました。
「そうね──経験則ってほどじゃないけど、『第1の街』がモンスターの数が1番多いだろうね。それでもそこで出現するのは、ほとんど初心者向けに近いレベルだと思うよ。
逆に、数が少なくて、強力な強力なモンスターが出そうなのがここ、【オリジスの町】になるだろうね。何せここには、荒野の主"暴君竜帝"がいるんだ!
──まあ、ごく1部のプレイヤーには、『物足りない』かもしれないけど……」
そういって、ボクを見つめてくるキルステさん。
ボクは顔を反らし、「分かりません」ってフリをして、出されたベリージュースに刺してあるストローに口をつけ飲みます。
──う~ん! 冷たくて美味しいです!!
まあ、正直な話をするなら、魔王軍のメンバーだけでも『門の守護は楽にこなせる』と判断しています。
理由は、この町の門が1つしかないからです。そのワケは簡単で、国の最北端にある町だからです。
たった1つの門なら、ボクを除いた4人でもお釣りが来そうです。──装備自体も『凶悪』といえるモノになっていますから。
「魔王様はどうするッスか? 自分としては、ここの防衛に加わってくれた方が楽になりそうッスけど……」
「う~ん──もう少ししたら、皆さんが来ますので……」
コンコンコン──
「失礼しやす! 魔王様、お客人がお見えになりました!!」
「──来たようですね。室内に、通してください」
タイミングが良すぎる気もしますが、ハルがいる以上──それくらいは、しそうですよねぇ……。
遠い目で天井を見上げます。
扉が開いたときに飛び込んできた黒い影。正体はもちろん、ハルでした。何と言うか、その不味い顔は女性としてどうかと思います。
兄として、ちょっと将来が不安です。
禁断症状末期の患者か! っと言うくらい、恍惚の表情を浮かべています。おそらくは、寂しかったからでしょうけど……。
「お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様~~!!」
怖いくらい連呼しながら、ボクの頭に顔を突っ込んでいます。
──って言うか、くんかくんかと匂いを嗅がないでくれませんかね!?
その姿を見たキルステさんは、後にこう語りました。
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「猫の獣人と狐の獣人なんだけど、端から見ると『猫がネズミにじゃれついている』ようにしか思えなかったよ。
だってさ、頭の上の耳は、ピコピコピコと元気よく動いているし、尻尾は『これでもか!!』ってくらいクネクネしていたからね──」
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現在のハルの装備は、ボクとミイの装備をアダルティにした、ちょっと大人っぽい服装になっています。
上は上品か感じの薄い紫色のブラウスで、襟と袖口の縁にはフリルが付いています。
正面はその大きな胸で押し上げられて見えにくいですが、ボタンが見えないようにフリルで然り気無く隠しています。
もちろん、服の裾にも邪魔にならない程度のフリルが付いています。
その上には、ノースリーブタイプの濃紺系で胸の前がないベストを着ています。お腹の部分には、ベルトタイプの装飾が付いているので、部分的にはコルセットのように見えるかもしれません。
下の方は、ゴスロリのように白いパニエっぽいもの(第三十五話のメイド服参照)の上に、濃紺系のスカートを重ね着しています。もちろん、このパニエにも、然り気無くかつ、豪華にフリルを付けています。
さらに、その美脚を薄い紫色で薄手の靴下(どちらかと言うと、ストッキングの方が近いかも知れません)を履いています。このままでは内側が足りなそうなので、以前作ったようにガーターベルトで止め、レギンス的なものに仕上げています。
この靴下の踝付近には、少し濃い色のレースで作った花が付いています。
靴に関しては靴底を厚くして、全体を濃紺系の色でまとめています。靴の口の部分(足を入れる場所)は、足の甲の手前くらいまでで、足の甲を押さえるように、ベルトで留めています。
──さて、そんな服装から【暴君竜帝装備】だとは思えないでしょう!
実際に、竜の革から『糸を作り出す』のは大変でした!! 今まで、魔鉱石から魔鉱糸を作り出すことはしてきましたが、ボク1人では不可能でした。
キルステさんがいなかったら、このイベントで装備することも出来なかったでしょう!
ボクとミイの装備もハルとお揃いと言いましたが、正確には『ベストの型』が違います。
ハルのベストは『胸の前がないタイプ』、ボクとミイのベストは『ノースリーブタイプ』という風に、違いが出ています。
これは、単に体型の問題でもあります。大人体型のハルと、子供体型のボクとミイ──。
違いはベストの型だけではなく、服の色でも個人を分けています。
ハルは先ほど上げた『薄い紫と濃紺』、ミイは『水色と青色』、ボクは、"魔王様"の2つ名を意識した『薄い紅と漆黒の黒』と結構イメージがかけ離れています。
──装備の性能を、記したいと思います。
【暴竜洋衣セット】 服の材料に、暴君竜帝の大変丈夫な竜皮から生成した、【竜精錬糸】という錬糸から織られた布を使い、大変高級感のある煌めきを放つ逸品といえる。
このナノティルノは、柔剛性、対物・耐炎耐性が高く、オークの攻撃までなら吸収出来る。
ちなみに、縫い糸やフリルなどの装飾部もナノティルノで出来ている為、ほつれたり、千切れたりすることはない。
──なお、絶対領域が眩しい服だが、どんなに激しく動いても下着は見えない"チラリズム機能"を無駄に搭載している。
ランク A- レア ★★★★★★★ DEF+300 MDEF+250 AGL+90
セットボーナス 【美幼美姫の狂宴】 男性プレイヤーに対し、無条件の超強力な催淫性を確率発動。抵抗に失敗すると、戦闘意欲が無くなる。
【美姫乱艶】 ハル専用 その姿を見たモンスターは、汝の元に頭を垂れる。 ※超低確率で発動(0.1%)
【幼姫爛漫】 マオ・ミイ専用 その姿を見たモンスターは、汝の盾となり、剣となるであろう。 ※超低確率で発動(0.1%)
──以上になります!!




