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第六十三話 可愛そうなのは、エリアボス?

 9月16日 誤字の修正をしました。

 ボクの指示通り、最大威力のチャージショットの準備を、ミイは行っています。チャージ光は充填率が上昇する毎に、より強く、より明るくなっていきます。


「グルアァァァァ!!!!」


 ビーストモードを発動させ、レックス(仮)の足下にキキは潜り込みます。いくら防御力がアニマルモードより高くても、身長差が5倍近く違うので、かすっただけでも致命傷になりかねません。


 ドガアァァァァァン!!


 レックス(仮)の振り下ろした尻尾が、大地に叩きつけられて大量の砂煙を巻き上げます。

 AGLを強化されたキキは、危なげ無くかわします。そして器用にもその熊の手で、渡した瓶『融解液(ドロドロ)』を挟み込んでいます。


 カシャカシャン!!


 その手から離された瓶は、レックス(仮)の尻尾の付け根にぶつかり、割れることにより液体を撒き散らします!


『グギャァァァァァ!!!!』


 風に乗って、尻尾の付け根から焦げ臭いニオイが漂ってきます。

 瓶の当たった場所からは、黒に近い煙が出ています。


「──効果は、あったようですね」


 ドロドロが産み出した現実に若干引きながらも、その効果を確認します。焼け爛れる痛みに、レックス(仮)は暴れ回ります。


「(──あっ、踏みますね(・ ・ ・ ・ ・))」


 ボクがそう思ったときには、『カチッ』と音が鳴った気がします。


 ズンッ!


 レックス(仮)の足元が割れ、片足が2mくらいの穴にはまり、その大きな顎を大地に叩きつけます。顎の部分の地面を盛り上げたので、ダメージがあるといいのですか──。


「──あの、今の落とし穴は、お姉様の仕業ですか?」


「え? はい。何もしないのは性に合わないようなので──」


 少しの間、意識が飛んだらしく、動きがなかったです。意識がハッキリとして、なんとか起き上がろうとするレックス(仮)に向かって、チャージが完了した"矢"が放たれます。


 ドパン!!


 今回は『特別製の矢(メイベル)』だからでしょうか?

 とても弓の弦が奏でた音には思えません。


 ドシュッッッッッ!!!!


 矢はその巨体の、胸に吸い込まれていきました。大地に横たわるその巨体が、ビクンっと浮き上がった気がしました。


「──お姉様……先ほどの一撃で、レックス(仮)の3本あるHPバーの内、1本の半分が消し飛んだ(・ ・ ・ ・ ・)気がするのですが?」


「奇遇ですね。ボクの目にもそう見えました」


 ちらりと横にいるミイを見ると、『キラキラ』っとした目で興奮しています。

 ボクは、『魔導弓+竜滅の矢(メイベル)が最強コンボ』なのでは? と思いました。

 ミイの攻撃で怯み、動きが止まったレックス(仮)にシアが駆け寄っていきます。走る勢いを殺さないように、大きく跳び上がったシアは、双斧を大上段に構えます。


「うおおぉぉぉぉ!!!! 『重双烈覇』!!!!」


 ダアアァァァァァァン!!


 シアがアーツを使い、双斧を巨大化させたら──物凄いパワーで振り下ろし、レックス(仮)の太い尻尾を1振りでぶつ斬り(・ ・ ・ ・)にしました。


 ハルと話している間に、ドンドン事態は進んでいきます。


「今度はシアが 、とても太い尻尾を斬り飛ばしたのですが──。

 あれって、下手をすれば『お姉様くらい』の太さがないですか?」


「──ボクの身長より、太いですよね────」


 目の前では、レックス(仮)が袋叩きに合っています。その大本の原因を作ったのはボクですが、はっきり言って「これ、ボクの出番ないよね!?」と心の中で叫んでしまいそうです。


 ──ちなみに、シアが斬り飛ばした尻尾のダメージは、25%くらいHPを削りました。(ドロドロ乙です!)


 片足の自由を(落とし穴で)奪われたレックス(仮)は、3人の攻撃さらされ続け、ドンドンHPが削られていきます。

 その中で最高のダメージが、ミイの放った『魔導弓+竜滅の矢(メイベル)(フルチャージ)』がウィークポイントの目に決まったときで、1本の80%を消し飛ばしました!!


 レックス(仮)(彼?)の命が終わったのは、開戦から1時間後でした。時間がかかった理由は、ミイに指示したからです。

 ハルのスキルの1つ、〈食材完全看破〉で各部位の位置を割り出してもらい、ミイに『普通の矢+フルチャージ』で調べた部位に射ち込んでもらいました。


 ──一番美味しい部位は、『尻尾の付け根』 らしいです。なんでも、良く振り回し、地面に叩きつけたりするから──らしいです。





「──なんとか、被害は出なかったですね……」


 ちょっと気分的に盛り上がれない部分があるのは、『断末魔』を上げることなく死んだレックス(仮)が、理由の1つでもあります。

 4人を見回すと、それぞれが自由に座り込んで休憩しています。


「(ボクの薬が"役立った"ならいいのですが──)」


 ミイから回収した【竜滅の矢(メイベル)】の残数は7本。

 1本目はHPのバーの半分を、2・3本目が80%ずつ削っています。止めはもちろん、メイベルで決めています。

 その為、【融解液(ドロドロ)】が役立ったのかは──分かりにくいです。


 ボクはちらりと4人を見つめ、軽く頭を振ると小走りで向かいました。



 ──マオの日記帳───────────


 今回は、荒野のエリアボスと言われる、仮称:レックス(正式名称:ティルグルス)と戦いました。

 このエリアボスは、数多くのパーティを壊滅させた"荒野の暴君"と呼ばれた存在でしたが、運悪く? ボクたちと遭遇したのです!


 ティルグルス出現前から、周辺のモンスターに襲われ、ようやく終わりが見えたときに、遥か彼方から突進(そんな生易しいモノじゃないですが)してきました。

 巨体というか、巨躯どちらがいいのかは分かりませんが、そんな超重量級が襲ってくるのは恐怖以外の何者でもありません。


 ティルグルスは開幕直後に『火炎放射』のように強力な火炎を吹いてきました。

 偶然にも、少し前に寄った町にある『オリジナル神殿』に寄り、"固有能力(ユニークスキル)"を獲得していなかったら、その時点で全滅だったことでしょう。


 ………

 ……

 …


 以上の事により、首尾良く倒せましたが──こんな幸運はほとんど起きないと思います。

 ─────────────────────

 コメントがあります。

 ………

 コメントがあります。

 ……

 コメントがあります。

 …


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