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第六十話 トラップ錬成

 8月5日 誤字の修正をしました。

 昨日行った〈オリジナルスキル〉獲得による興奮か、ただ単に『試したいだけ』なのかは分かりませんが、皆さんより早く目覚めてしまいました。


「──子供っぽさって、意外と無くなりませんね」


 自分自身の行動に、呆れを感じています。まるで遠足前の小学生のように思えてしまいます。

 たぶんそれだけ、自身の成果の結晶である"オリジナルスキル"に心を燃やされているのでしょう。


 皆さんが目覚めるのを待って、町にくり出し買い物・情報収集を行い、荒野に旅立ちました。


 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□


「さて、この荒野を真っ直ぐ来たに進むと、プレイヤーが狩り場の拠点があります。

 その拠点を出て『東』に3日で"沼地"に、さらに2日歩くと『竜域』と思われる"岩石地帯"になります」


 ボクは先頭を歩いています。理由ですか? モンスターを早期発見して〈オリジナルスキル〉を使いたいからです!

 建前としては『スカウト的な能力はボクが一番高い』からです。(能力的なことは本当です!)


「マオが──子供みたいだ」


 シアは呆れたように言っていますが、その顔は『お姉さん』っぽいです。


「まあ、外見でいけば私の次に、幼いけど……」


 シアとミイがそんな話をしているとは露知らず、陽気にモンスターを探しています。


 町から出て半日ほど歩くと、草木は少なくなってきました。普通の土より赤みの帯びた色に近付いてきます。道無き道をモンスターを探しながら歩くのですが──


「全然モンスターが出ないですね」


 町を出てから、モンスターの姿を全く見ないことが残念で仕方ありません。もしかすると……。


「この状況は、他のプレイヤーたちが『レベル上げ』を行っているのが、原因ではないでしょうか?」


 ハルの意見に賛成です。

 たしかあの時にサキから聞いた情報には、「この町の周囲って、モンスターのポップが非常に少ないの──。普通なら、他の場所に行くのだけど、ここ周辺のモンスターは"スキルレベルが上がりやすい"のよ────」とのことでした。

 恐らく効率的に言うなら、2~3倍近いのではないでしょうか?

 ガックリと肩を落として、目標の拠点に向かいます。



 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□


 道中何もありませんでした。ええ、本当に異常なくらいモンスターと出会いませんでした!!


 その間ボクがしていたのは、周囲の警戒と石拾いです。この石は、トラップ錬成に使うものなので、アイテムボックスの中に『石を10×99』『岩を9×99』『岩石を5×99』を準備しました。


 トラップ錬成を使用することになるのは、拠点で休み東に歩いて2日目のことでした。



「ミイ! 目の前にいるモンスターは、何ですか?」


 町を出てから初めての戦闘です。目の前にいるのは『二足歩行の茶色い体毛の猪』です。

 彼は腰巻きだけのオークとは違い、布袋に穴を開けた服とは言えないものを着て、さらにその手には槍を持っています。


「マオ! コイツら、『デザートオーク』らしいよ?」


 荒野対応型のモンスターなのでしょう。ミイの〈鷹の目〉をすり抜け、ボクにも気付かせないその周囲に溶け込む体毛の色(・ ・ ・ ・)は、流石と言えます!!


「数は1匹です! ここは、ボクが殺ります!」


 シアとキキからの反論はなく、皆さんから離れたボクは、デザートオークと対峙します。


『ブモォォォォォ!!!!』


 槍をボクに向けて構えると、全速力?で突貫してきます。

 予想よりは速いのですが、マーダーベアと戦い続けたボクには、少しばかり遅いです。余裕をもって右に回避し、その足元の地面に手をつけ(・ ・ ・ ・)キーワードを言います。


「──『トラップ錬成』!!」


 ザクッ!!


 デザートオークの左足は、地面から突き出した石の棘(・ ・ ・)が何本も刺さっています。

 足から血を出し地面に固定され、バランスを崩したデザートオークに、さらなる追い討ちを仕掛けます!


「──『トラップ錬成』、!!」


 グサッ!!


 ズブっズブっと太さ10cmの石の円錐が、その丸々としたお腹に吸い込まれていきます。数は、10本──。


 オーバーキルなのは分かっていますが、初めてのエリアでの初戦闘です。安全性を優先した方が、良いとの判断です。あくまでは建前としては──ですが。

 本音は「どれくらいの威力があるか、知りたかった」からです。


 断末魔を上げ、事切れたその体に手を翳すと、徐々に頭の方から光の粒子になって消えていくデザートオーク。

 ボクは「殺り過ぎました!!」と心の中で叫び、彼女たちは"ポカ~ン"っとしています。


 ドロップアイテムは以下の通りです。


 デザートオークの毛皮×1


 デザートオークの槍×1


 意外なことに、槍の方は素材アイテムでした。確認し終えたボクは、皆さんの方を向き話しかけます。


「──さて、モンスターを倒したので、先に進みましょうか!」


 意識して明るく、皆さんに声をかけます。


「──えっと……今の何?」


 キキは4人の中で一番早く立ち直り、ボクが行ったことを聞いてきます。


「──アレですか? 〈オリジナルスキル〉です。このスキルって使うと分かるのですが、"ハイリスク&ハイリターン"だと思います」


「そうなのですか?」


 ハルの疑問に、ボクは答えます。


「はい。先程使った『トラップ錬成』ですが、利点は"高速発動"だと思います。実際に直ぐ発動しましたので──」


「それでは、"ハイリスク"は何なのですか?」


 ボクは『デザートオークの槍』を鑑定したときのことを話します。


「欠点は"素材の消費量が多い"ことですね。即時発動が『可能になった』っと言っても、〈罠士〉に変わりはないので必要なんです!」


「どのくらい増えたのですか?」


 ハルの言葉にマオは少し考えをます。


「だいたい──2倍くらいですかね? しかも、素材は使い捨てなのが問題です」


 ボクはこのじゃじゃ馬なスキルと、どう付き合っていこうか考えています。

 トラップ錬成の詳細は次回します。


 只今、アルファポリス様のWebコンテンツ大賞に、応募させていただいております。

 応援していただけると、嬉しいです!

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