第五十九話 オリジナルスキル?
9月3日 「行え!」→「そのまま、進めろ!」に変更致しました。
お昼を過ぎた時、ボクたちは最初の目標である村?に到着しました。眼前に広がるは、『村』ではなく『町』でした。
「これは確かに、"村ではない"ですよね──」
規模は第一の街の半分くらいですが、今まで移動しなかったボクたちにとっては、初めて見るものばかりです。第二・第三の街にはまだ行っていないからです。
街の入り口からでも見える、とても大きな神殿が気になります。
「ねえ、あの建物って何かな? 神殿?」
「──周囲の風景から、浮いていないか?」
ミイも同じ建物が気になったようです。そしてシアの言う通り、神殿らしき建造物は周囲にある家と比べても、毛の色が違います。
「掲示板の方でプレイヤーには"オリジナル神殿"と言われています」
「──?──」
ハルは出した画面を見ています。キキも、不思議そうに覗き込んでいます。
そんなときボクたちの背後から、声がかけられました。
「お前たちも、"オリジナル神殿"目当てで来たのか?」
声の主は、ユウキでした。鎧の方は以前とは違い高級感が溢れ、背中にはボクの作った剣をベルトで止めています。
ユウキと会ったことは変ではないのですが、目的が同じだと思われたことの方が重要です。
「──神殿目当てとは、どういう意味ですか?」
ボクの質問にユウキは、「此処は、自分だけの『オリジナルスキル』を造れるところだぞ?」と答えてくれました。
「その──オリジナルスキルとは、何のことですか?」
ユウキは頭をかき、サキと説明を代わりました。
「え~っと、マオは〈煉獄〉〈絶零〉〈天轟〉のスキルを知っている?」
「はい。魔導師連盟の発見した〈魔法スキル〉ですよね? 本人から聞きました」
「──スゴいね。
その3種の魔法は、火・水・風の上級スキルから産み出されているの」
サキは驚くも、「マオだしね──」とすぐに思い直しました。
「──と言うことは、上級スキル2つを組み合わせる……」
話の核心を突く一言に、サキは苦笑いします。
「そういうこと! 重ねて言うけど、このオリジナルスキルはプレイヤーにつき『1つだけ』なのを忘れないで!」
ボクがサキから新しい情報を聞いているとき、ミイ・シア・ハル・キキの4人はユウキたちとフレンド交換しています。
そうやって、自身の友好関係を広げていくのは良いのですが、少し寂しい気がします。
ユウキたちと別れた後は、4人にオリジナルスキルのことを話しました。
「う~ん。もう少し、考えてからにするよ──」
ミイの答えは皆さんの考えを、代弁していました。
「それではボクは、行ってきます。もう少しすると、日が落ちると思うので宿の確保をお願いします」
頷く4人に宿を任せ、ボクは目の前にある『オリジナル神殿』の門を潜りました。
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side:???
其処は、世界各地に散らばる"神の奇跡"が眠る場所。現在知られているのは、此処ただ1つ。
我が眠る『リアデス神殿』には、最近多くの旅人が訪れるようになった。
我は、十分な修練を積んだものに、新たなる道を示すのが役目。また、足を踏み入れたものが出たようだな──。
視線を向けた先には、背の小さき子がいた。他の神でも油断するであろう容姿──幼き銀狐がいた。
我はこの者に興味をもった。類い稀なる才を持つ、人型の娘を──。
『汝、何故に此処に来た? 此処は人型の限界を超える者が訪れる場所なるぞ』
「ボクはその人型の限界を超える為に、此処を訪れました」
神官長が認めた──と言うわけか……。おもしろい!
『汝、何を贄として差し出す?』
「スキル〈上級罠師〉を差し出します」
何故、そのようなスキルを 上げたのだ?
アレは恐ろしく、凶悪なモノ。
この娘の考えが分からん!?
『何を糧とする?』
我は躊躇いながらも、役目を果たすために聞く。
「スキル〈上級錬金術〉を糧と致します」
何故、錬金術なのだ!? 分からぬが、我を生みし創造神より「そのまま、進めろ!」と言われた気がした。
『良かろう。汝が選ぶ道に光があらんことを──』
………
……
…
あの小さき娘の願い、望んだ方に進むかは我には分からん──。
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神官長さまに詳しい説明を受け、ボクは"神託の間"に案内されました。たった5分の時間でしたが、たいへん貴重な体験をさせていただいたと思っています。
結果、入手したスキルはこんな感じでした。
※〈上級罠師〉+〈上級錬金術〉=〈錬謀術〉
スキル名は「これって、無しじゃないですか?」と言いたいくらいですが、内容に関してはイメージ通りです!
そんなボクの心境は、「明日の出発が待ち遠しい!!」の一言です。
ボクは軽い足取りで、ハルからのメールにある宿に向かいます。
宿に着いたボクは皆さんに部屋まで、担がれてしまいました。皆さんの興味の対象は"オリジナル神殿"でのことでした。
「────と言うわけで、神託の間は"神聖"と本能で感じさせられました。『竜域』ならぬ『神域』って奴ですね」
「私はどういたしましょうか?」
「弓を何かと混ぜるべきかな?」
「斧に豪腕か? それとも、豪腕に──」
「──〈身体強化〉を鍛える!」
各々が、これから先に行う〈オリジナルスキル〉について、思いを馳せています。ボクはこの新しい〈錬謀術〉を上手く使えるように、努力しましょう!
延々と考え事がループしている皆さんに眠るように言い、ボクも明日に備え眠ります。




