第四十九話 マオ、やってしまう!!
生産活動パート2です。
8月3日 誤字の修正をしました。
準備期間最終日、シアとキキの装備を作製したマオは、ミイの装備の作製に移ります。ミイは魔法を使うので、魔法の威力に関わるINTを強化する方法を考えます。
「う~ん。 魔法に関わるものって──そう簡単に思い浮かばないですよね……」
マオの頭にある狐ミミは、ペタンと伏せています。しかし、しっぽはフラフラ揺れ動いているので、諦める気はないようです。
「──!? そう言えば……どこかの掲示板に、魔石の変わった利用法について書かれてなかったですかね?」
マオはシステム画面を開き、目的の掲示板を探し始めました。検索エンジンに「魔石利用法」と打ち込み、一つひとつ中身をチェックします。
幾つ目かの掲示板で、目的の利用法の記載を発見します。
『魔石の作成方法と利用法』
掲示板を確認してみると、魔石の作成方法自体βテスターが発見し、β時代からプレイヤーがよく利用するアイテムの一種だったようです。
魔石の種類は二種類で、『宝石魔石』と『鉱石魔石』があり、宝石魔石は『生産のみ』で、鉱石魔石は『採掘のみ』になります。
マオがよく利用している魔石は、二つ目の鉱石魔石になります。一番の利点が『高い効果の鉱石が手に入る』ことです。欠点が『採掘でのみの入手』であることでしょう。
マオの使用する魔鉱は全て、採掘して数を揃えています。
主に『魔石』と言われるのはモノは、『宝石魔石』になります。一番の利点は『数が揃えやすい』ことで、欠点は『高品質なモノは少ない』というものになります。
宝石自体はNPCの店でも購入できるので、数を揃えてるのは意外に楽です。作製自体が激ムズなのを無視したら──ですが。
「ロックスを倒したときに入手した、宝石があったと、思ったのですが……」
マオはアイテムボックスに並ぶ、たくさんのアイテム・素材を右端にあるスクロールバーを下に向かい、スーっと動かします。
「(毎度のことながらこの作業って、面倒くさいですよね)」
ユウキが当たり前だから──と教えなかったことの一つに、アイテムボックスの『ソート機能』があります。このことはマオ以外のメンバーは知っています。生産活動時、メンバーに手伝って貰わないマオだからこそ、現状知らないままなのです。
「! ありました! ──『トパーズ』ですか?」
マオが取り出した宝石は『トパーズ』で、一番イメージとして強い、黄色のモノです。ロックスがドロップしたアイテムは、鉱石を除くとトパーズだけで、宝石自体の数は少ないです。
トパーズの鑑定情報は次の通りです。
【トパーズ】 大地の力をその内に宿すと言われる宝石。基本的な色は黄色だが、まれにピンクなど違う色もある。
ランクなどは無く、ただ説明のみが出てきました。マオはスキル〈魔法才能〉を発動し、トパーズに向けて魔力を注ぎます。黄色が更に透明になり、綺麗に透き通ってきます。
トパーズを鑑定すると、先程はなかった一文が加わっています。掲示板通りなので、成功したのでしょう。
【トパーズの魔石】 大地の力をその内に宿すと言われる宝石。基本的な色は黄色だが、まれにピンクなど違う色もある。
魔力充填率:100% 魔力純度:低
それを確認したとき、脳裏にシステムの声が聞こえました。
【魔石の精製を確認しました。特殊職〈魔石士〉が解放されました】
「──ここまでは『掲示板通り』ですね」
〈魔石士〉の職業スキルを調べてみると、説明文的には役立ちそうには思えません。
〈魔石士〉 魔石の精製・充填などに補正あり。
たったこれだけです。こんな文面では、地雷スキルとしか思えないでしょう。掲示板の管理者も、このスキルの取得はしない方がいい!!と書いています。しかし、マオです。
「──面白そうですね。これさえあれば……試作である『魔導銃(仮)』の完成も夢ではないかも知れません!!」
ガトリングガン、ロケットランチャー、パイルバンカーなどの大きな銃器は、心をくすぐるアイテムです! マオの目には、ヤバい光が宿っています。
そこからは『トライ&エラー』です。何度でも諦めず、繰り返します。より効率のいい、充填方法を探したり、充填した魔力を『一気に解放する方法』を考え実験をします。
その中で、幾つもの宝石を『石クズ』に変えてしまいます。無論途中で足りなくなり、ユウキに『魔法武器』をエサとしてパシリに使ったりします。
「──ふぅ……長かったです。ユウキを買い出しに使うこと数十往復──。ようやく試作品が完成しました!!」
マオは嬉しさのあまり、両手を高く上げ叫んでいます。お陰でマオのお財布の中身は、実験開始前の十分の一まで減ってしまいました。ちなみに、ユウキには『〈風魔法〉のアーツ『風刃』を込めた武器』を、相場より安めの八十万Gで売って、それも資金に当てています。
ユウキも嬉しく、マオも嬉しい『WinーWin』で問題無しです!! ──たとえユウキが、地面で伸びていても──
「ボクに出来るのは、此処までですね……。あとは、ミイの意見を聞いて、改良を加えましょう!」
マオ会心の一張りの弓が完成しました。
【魔導弓一式・試】 複数の属性をその内に宿す、ある意味『規格外』。この弓は、三種類の攻撃を使い分けすることが出来る! 通常の『物理攻撃』、魔法を矢として射ちだす『魔法攻撃』、二つの中間の『物魔攻撃』を行える中遠距離の魔導弓である。
魔法を使う攻撃ながら『詠唱は要らない!』鬼畜仕様。作製者の異常さが存分に溢れる作品。 ATK+200 INT+100 ランク?? レア??
※現在使える属性は、火・水・風・土の四属性だけであり、魔力の充填は作製者以外は不可能である。
こんな武器は、現在の世界には出せませんが、マオは平常運転でニコニコしています。実際のところ、ユウキに渡した武器の一・五倍の性能です!
「(渡したときのミイの顔が、楽しみですね!)」
マオは、楽しそうに笑っています。




