第四十四話 初のイベントに向けて
最近の天候不良で、ここ2日体調を崩してしまいました。
皆様も体調を崩されないよう、お気をつけ下さい。
8月16日 文章がおかしいと指摘がありましたので、直しました。
ミイはマオから受け取った、魔弾銃(仮)を手に取り楽しそうに弄っています。マオはその姿を楽しそうに見ています。
良くも悪くも今のミイの姿からは、年相応の無邪気さしかありません。それより異常に映るのはマオでしょう。
少女の外見では、父性より母性を感じさせていることでしょう。
実際の所マオはミイの姿を見て、次の武器の構想を練っていました。今回渡した魔弾銃(仮)は次の武器でメインパーツとして考えているモノだからです。
「ミイには悪いですが、今回渡した魔弾銃(仮)は『試作品』です。ミイに渡す次の武器パーツに当たるので、何か異変・不都合が出たら遠慮なく教えて下さい」
マオはミイの目を見て、ハッキリと言います。いくらゲームのことでも、楽しく冒険や生産をしたい以上「手を抜くことはしたくない」からでしょう。
「お姉様、わたくしのナイフは何かあるのでしょうか?」
ハルがその質問をしたのは、ミイに渡した武器が、次の試作に当たるからでしょう。ハルの武器に関してもマオは考えています。
しかし、その為にはミイの感想が重要です。
「ハルには少し待って貰いそうですが、魔弾銃(仮)の改良型が完成したら使用していただきます。
それまでに、〈投擲者〉の称号を獲得していただきます。コレがあれば、命中率が高くなります」
称号〈投擲者〉は、忍者スタイルや手品師などのクナイや、投げナイフを使うプレイヤーが必ず獲得する称号になります。
より正確に言うなら、『使うからこそ、獲得する称号』です。
称号〈投擲者〉 ナイフ・クナイを一万回投げた者に与えられる。意外にもスキル〈射撃〉に対しても効果を発揮する。
効果:〈投擲〉〈射撃〉のスキルを装備しなくても、スキル効果を発動する。
該当スキルが無くても、問題なく修得できます。この称号のミソは『投げた』でしょう。当てなくても良いのです。まあその分、効果は低いですが。
マオはこの称号の事をユウキに聞き、βテスターが認める優良称号と聞いたので、ハルに獲得してもらう算段なのでした。
「回数がとても多いので、竜域に向かうまでに獲得して下さい。ゲーム内日数で、10日くらいでお願いします。ボクはその間で新装備を一式、作製します」
マオの頭の中には、三人の防具の構想が出来上がり、絵描けています。ですが実際に作製してみないことには、どの様な仕上がりになるのかは分からないようです。
「明日からボクは、皆さんとは別行動になります」
そう言いチラリとシアとキキの様子を伺います。
上手く、ジャンプ中にボールを受け・投げ返すことが出来ず、跳ぶ→受ける→着地→跳ぶ→投げる→着地という流れで彼女たちは訓練しています。
マオは、まだ始めたばかりなので現状で慣れて、慣れたら跳ぶ→受ける→投げる→着地の流れで訓練してもらおうと思っています。
「キキには、10日ほどシアに付き合っていただく事になるので、10日以降のキキの動き次第では、お礼として装備一式を普通より少し上位で贈ります。
もちろん仲間に加わるなら、皆さんと同じ装備を渡しますが……」
「それだけでは、お礼としては少なくないですか?」
ハルは一番重要な問題点に気付いたようで、マオに確認します。マオは嬉しそうに、頷いています。
「それについては既に、話しをユウキに通してあります。キキがボクたちのチームに入らないときは、ユウキのチームを紹介する話しになっています」
マオがそう言うのには理由があります。ユウキから聞いた、βテスターのみが知る優良スキル・称号を教えてもらったからでした。
それでも、キキ自身に選択の権利が有るのは、当然の権利だからです。マオはキキに、自分の道を選べるだけのスキルレベルを手に入れ、自由に遊んで欲しい想いからです。
「そのことは、いつ教えるの?」
ミイにはそこが気になるようです。マオはミイがそう言ってくるのを知っていたように、スラスラと答えます。
元々、質問がなくても説明はする気だったようです。
「明日の朝、訓練をする皆さんと別れる時に、キチンと話しをします。話を聞いてもらった後、どうするかを10日の間に決めていただく予定です」
そう言うとマオは、ポケットから一枚の紙を取り出しました。そこには綺麗な文字でびっしりと、四人の訓練予定が書かれています。
「──これを全部クリアするの?」
ミイは目を大きく見開き、マオの顔を覗き込みます。そんなミイに対してマオはニッコリと笑いかけています。
ミイの反応は当然のモノでしょう。何せ、1日~5日は現状のスキル訓練で、6日~9日は新武器の慣らし運転と、かなり過密なスケジュールだからです。
「──わたくしもミイと同意見です。流石に無茶苦茶ではないでしょうか?」
ハルがマオの考えに異を唱えるとなると、余程酷い内容なのでしょう。
「ユウキからの連絡では、リアルワールド初のイベントが有るとの情報があります。
グループ毎でランキングが発生するのではないか……と言っていました。現在の攻略組の進行状況では、遅くてもリアルで3日後──早ければ2日で始まるようです」
マオの説明から、ハルは何かを感じとりました。
「そのイベントでのランクイン報酬で、何か欲しいものがあるのですか?」
マオはとても良い笑顔で、ニコっと笑いました。
「βでもあったそうなのですが、一位~五位の報酬の中に『プライベートフィールド』と言うものがあったのです。広さはなんと!!この街と同等の広さらしいです!」
マオは腕を大きく広げ、とても広いとアピールします。しかし、第三者が見ると『子供が喜んでいる』風にしか見えません。
マオは二人に『秘密の隠れ家計画』をウキウキしながら話しました。
「──とボクは考えています。理解していただけたでしょうか?」
マオの計画の話しは30分にも及び、話しが終わる頃には二人とも乗り気でした。
今回の事の被害者は恐らく、キキでしょう。パーティーとは関係がないのに、巻き込まれるからです。
「──温泉か~」
「お肌ツルツルに…………」
二人の欲望は駄々漏れです。マオ自身は、秘密基地を魔改造して色々したいようです。
イベントに向けて、これから特訓の日々になります。
結論:10日後、キキはマオたちのチームに加入しました。




