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ありえない生産職~あんたが生産職なワケがない!!~  作者: 四宮 皇季
第三章 バカほど可愛いと言いますが……
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第四十話 介抱と解放……言葉は似ているが意味が違う

 7月9日 誤字の修正をしました。


 7月25日誤字の修正をしました。

 ロックゴーレムとゴーレムの集団を、掃討したマオは服に付いた砂埃を払いながら、ゆっくりと三人に近寄っていきます。

 一時間に満たない時間ですが、その戦闘に見入っていた三人は、日が沈みかけていることに気付いてないようです。

 マオは夕日を眺めると、一つ溜め息をつき周辺にある『セーフティーエリア』について、考えています。


「もうすぐ暗くなります。近くにある『セーフティーエリア』で夜を明かしましょうか」


 マオはそう言い、茜色に染まる太陽を背に歩き出しました。

 そのマオに少し遅れるも、彼女たちは追いかけます。助けられたプレイヤーは、何故か引きずられています。

 鬱蒼と生い茂る森の中も、夕日により紅く染め上げられています。


 ──────────────────────


「さて……この方はどうしましょうか?」


 セーフティーエリアで拠点作りを終えたマオは、助けたプレイヤーを見ながら、どうするかを考えます。

 そのプレイヤーは、ある状態異常にかかっています。


『気絶』


 リアルワールドで起きる症状で、最もキツイ状態異常になります。


「気絶状態は治せないの?」


 ミイは不思議に思い、マオに確認します。


「ユウキから聞いた話では、『気絶』は八割以上の体力から六割以上を一気に失うことにより、発生するそうです。

 対処方法は、『体力の回復』になります。──ですので、コレの出番です!」


 マオがポケットから取り出したのは、ポーション・改Ⅱです。

 依然、ガンツに使用したモノよりグレートアップしているようです。



【ポーション・改Ⅱ】 ポーション・改をさらに濃縮し効能が数倍になった一品。味は筆舌に尽くし難い。 HP90%回復 気絶回復(飲んだ時のみ) ランクC レア ★★★★



 アイテムにはこんな説明が付いています。『味は筆舌に尽くし難い』これはどう見ても──しかも、飲めば気絶回復すると言うことは……。


「ル~~~ル~~」


 マオは上機嫌に、ポーションの蓋を開けて、飲ませます。


「△*%+$*¥◎◇○■▽」


 暴れだしそうなプレイヤーを、シアに押さえていただき、最後の一滴まで飲ませています。しかし、体格のよいプレイヤーの『胸の上』に乗っているのはどうなのでしょうか?

 ポーション・改Ⅱを飲まされたプレイヤーは、ビクン!ビクン!と身体を跳ねさせると、静かになりました。


「う~ん、量がたりなかったのでしょうか?」


 そんなことを言うマオは、可愛らしく首を傾げています。

 第三者から見ると、ちょっときわ……エロく映りそうです。

 そんな状態で、ポケットから新たなポーションを取り出します。そして、取り出したポーションを見たミイは苦い顔をしています。


「飲もう~お薬を飲もう~~♪ 楽し~く飲もう~♪」


 心の底から楽しそうなマオを、ハルは止めることを出来ないようです。手が出たり、引っ込んだりしています。

 ゆっくりと唇に近付いていくポーションの口から、ハルの視線は離れないようです。


「グビッとな!」


 音程のズレた歌が終わると同時に、ズボっと音がしそうなほど勢いよく、ポーションを突っ込みます。


 先程より激しい跳ね上がりに、マオの小柄な身体は浮き上がり、ポン♪と鳴りそうな落ち方をしています。プレイヤーの身体は跳ね上がる度に、マオの身体も浮き上がります。

 プレイヤーが落ち着いた(堕ちた?)のを確認したマオは、一つ頷きその場を離れます。


「あんなにポンポン跳ね上げられては、敵いませんね。ちょっと……お尻が痛いです」


「その割に楽しそうだよね──?」


 半眼でミイが見つめてきます。

 実際に、ポンポン跳ね上がるのは楽しかったので、鼻の頭を掻くだけで反論をしていません。


 ──────────────────


 介抱?実験?したプレイヤーが目覚めたのは、マオが二本目のポーションを飲ませてから、一時間後のことでした。


「────ここは?」


 いち早く気付いたのは、見張っていたシアでした。


「おっ──気付いたか? お前は、岩山に来ていたのを覚えているか?」


 シアの言葉に、軽く頭を振り額に手を置いて、焦点の定まらない瞳でシアを見つめました。

 そっと冷たい水の入ったコップを差し出すシアに、不器用ながらも礼を言うと、一気に飲みます。


「オレは──岩山に来て……!! そう言えば……ロックゴーレムがいなかったか!? オレはアイツと闘っていたんだ!!」


 シアはこの時、目の前の人物が『オレ』と言っていたので、男性プレイヤーだと勘違いしてしまいました。

 この間違いに気付くのは、マオが装備を見て突っ込むまで、勘違いしたままでした。


「ロックゴーレムに関しては、私たちのリーダーが(・ ・ ・ ・ ・)倒した。安心してくれ」


 そう言い、無理やり起きるのを押し止めました。

 マオが倒したのは事実ですが、その姿を見て信じてくれるかは、シアには分かりませんでした。


「そうだったのか……悪い、迷惑をかけただろう──」


「謝ったりや、感謝の言葉は本人にしてやってくれ。私たちはリーダーが行った救出劇には、係わってないのだから……」


 本当のことでシアを含めた三人は、目の前の人物を巻き込まれないように逃げるのが精一杯でした。


「シア!もしかして、目覚めましたか?」


 背後から聞こえて来た声は、マオの声でした。


「私たちのリーダーで、君の命の恩人だ」


「ボクは、マオです。お気付きになってよかったです」


 この時、そのプレイヤーは何故か『逆らってはいけない』そう直感したのか、身体は強張りました。

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