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ありえない生産職~あんたが生産職なワケがない!!~  作者: 四宮 皇季
第三章 バカほど可愛いと言いますが……
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第三十九話 マオの戦闘

 無双にはちょっと遠いかも……


 7月25日 誤字の修正をしました。

 ロックゴーレムの片腕を破壊することで、その大きな手に捕らわれたプレイヤー救出をしたマオとリュオですが、相手はロックゴーレムです。

 この岩山というフィールドでは、ロックゴーレムに優位性があります。


「そう簡単に倒せるわけが──ないですよね」


 マオの視線の先では、ロックゴーレムの周囲の岩が「カタカタ……」と動き、空中に浮かび上がり欠けた腕を修復してしまいました。

 それを見たマオの表情には、呆れが浮かぶものの、焦りは窺えません。


「リュオ、振り落とされないで下さいね!」


 マオは今まで以上の速度で、ロックゴーレムに駆け寄ります。

 すり抜け様に、リュオの生み出した岩石をぶつけています。


 ガン!!


「もう一発、いきますよ!」


 マオは背後からの一撃を喰らわせ、時に回避しながら攻撃を加え続けています。一撃離脱の高速戦闘で戦っています。


「アーツ『粉砕』!!」


 ガガン!! ビシィィ!!


 ポケットからハンマーを取り出し、アーツと共に振りかぶります。ロックゴーレムの腕に無数の細かい罅が入りました。


『──────』


 堪えた様子もなく、マオを叩き潰そうと、拳を握り殴りかかってきます。マオはヒョイヒョイと回避し、ピョンピョンとステップを踏んでいます。


「『粉砕』!!」


 岩の拳を回避しながら、時々叫び声があがり「ビシィィ!!」と音が聞こえてきます。

 シアたちはこの光景を見ているだけで、戦闘に加わっていません。より正確に言うなら『加われない』でしょうが……。


「──ねぇ、マオのあの動き(・ ・ ・ ・)、シアは出来る?」


 マオの戦闘風景を見ていたミイが、シアに尋ねます。

 マオの移動速度は、シアの戦闘時の速度と比べても、劣っていない……いえ速いくらいなのでしょう。


「ムリだ……。意地を張っても、出来るとは言えん!」


 シアの手は、きつく握り締められています。あまりにもぎゅっと握り過ぎているのでしょう。手は白くなっています。


「ですが、お姉様はあの動きをしています。お忘れでないですか? お姉様は〈補助系スキル〉を持っていません」


 ハルの言葉は真実で、マオの所持スキルは〈魔法才能〉を除き、全てが〈生産系スキル〉になります。

 マオの動きの素早さは、『プレイヤースキル任せの見切り』と〈魔法才能〉のスキルによる魔力運用です。


「お姉様のお話の中に『システムサポート』についてで、細かい動きの阻害がある……そのようなニュアンスがありました。

 もしかすると──スキルの自由度を、サポートが奪っている可能性はないでしょうか?」


 ハルは、マオの講義より仮説を導き出しました。その仮説が正しいかは、マオのみが知っているのでしょう。


 三人が話をしている間も、マオとロックゴーレムの闘いは続いています。戦闘自体はマオの優位ですが、相手には自動修復があります。

 それをクリアしないことには、マオに勝機はありません。


「──流石に、堅いですね。惚れ惚れするくらい堅牢です。

 こうなったら『アレ』を試してみましょうか……」


 そう言うや、マオは手にしていたハンマーをしまいます。

 ポケットから取り出したのは、五寸(15cm)程の鉄杭と片手用の金槌でした。


 左手に鉄杭を持ち、右手には金槌──左を前の半身体勢になります。ペロッと唇を舐めています。


「郊外で隠れ家を作る為に取った、新スキル〈石切士〉がどこまで戦闘に使えるか、試してみましょうか……」


 そう言うとマオは先程、アーツ『粉砕』で罅を入れた部分に鉄杭の先を当て、金槌を振り下ろします。


「アーツ『天音断ち』!!」


 カアァァァァァァン!!


 罅に当てた鉄杭を金槌で叩くと、澄んだ金属音が響き渡り、鉄杭は罅を大きく広げます。

 ズゥゥゥン! っと大地に重い音が響き、鈍い振動を伝えます。


「問題なく、使えるようですね。なら、コレでちょっとずつでも削ってやります!!」


 マオはロックゴーレムの腕・足・体と、近い部分から鉄杭を穿ち、その岩の体に罅を増やしていきます。

 鉄杭で穿つ傍ら、リュオに大岩を生み出してもらい、それをぶつける──そんな行動を幾度と繰り返し、全体に満遍なく罅を入れます。


『───────』


 ずうぅん!!


 ロックゴーレムが両手を振り上げ、正面に向かって振り下ろします。

 その振動は、飛び上がっていたマオには無効でしたが、膝立で様子を窺っていた三人(+一人)はバランスを崩し、倒れ込みました。

 マオが着地して、止めを刺そうと見上げたとき、ある異変が目の前で起きました!


「──冗談ですよね? この状況で、何体もの増援はキツいですけど……」


 マオの表情は引きつっています。ロックゴーレムとの闘いの終演が見えてきたと思ったら、援軍の登場です。

 ササッと両者を見つめると、行動に明らかな『差』が見てとれました。


「ロックゴーレムとゴーレムでは、ゴーレムの方が行動パターンが『単調かつ遅い』ですね──。

 なら先に、ロックゴーレムを片付けましょう」


 そう判断したマオは、ロックゴーレムに駆け寄ります。

 それに気付き、拳でマオを殴りに来ます。拳はマオをすり抜け、地面を凹ませただけでした。

 三人は目を瞑っています。余程のゲーマーでない限りは、同様の行動を取ってしまうでしょう。


「──そんな大振りの攻撃が、当たるはずがないでしょう……」


 マオのその声は、ロックゴーレムの頭から聞こえてきました。

 マオはスッと鉄杭を頭に当て、金槌を振りかぶりました。


「コレで……終わりです。 アーツ『凶砕震』!!」


 カアァァァァァァン!!


 澄んだ音が響き渡ると共に、ロックゴーレムの体に入っていた罅は、鉄杭から生まれた振動により全身に伝播し、崩壊を促します。

 マオの脳裏に聞き慣れた声が、響き渡ります。


【ロックゴーレムを撃破しました。マオは500CPを入手しました】


 全てを聞くまでもなく、マオはポケットからピッケルを取り出し、先程使っていたアーツ『凶砕震』を両手持ちで繰り出しています。

 ロックゴーレムと戦闘開始から40分、15分かからずゴーレム10体を倒しました。

 マオは入手したドロップの確認を後回しにして、三人の下に歩いて行きます。

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