第三十八話 講座のあとは、実戦です!!
7月5日 誤字の修正をしました。
7月6日 誤字の修正をしました。
7月25日 誤字の修正をしました。
マオが手頃な大きさで、平面のある岩の上に〈調合初級セット〉を広げます。
並べ終えると、三人に近くに来るように言っています。
「あまり時間をかかると、日没までに街に着かないかも知れないので、軽くいきます」
その言葉の通り、日は西に傾きかけています。時間は15:00くらいでしょうか?
「次は〈魔法スキル〉になりますが、ミイは魔法には『何が必要』か分かりますか?」
ミイは過去にマオから教わったことを、必死に思い出そうとしています。
十数秒後、ミイは手を叩き合わせ、答えました。
「思い出した! 確か、〈○○魔法〉と〈魔法才能〉で、よかったよね?」
そう言い笑っているミイの頭を、マオは優しく撫でます。
撫でられているミイの顔は、目尻が下がり、口はだらしなく歪んでいます。そんなミイより印象的なのは、指をくわえたハルでしょう。
「正解です。この二つのスキルの関係は、簡単に言うと『電球と電源』になります。
無論、『電源』に当たるのは〈魔法才能〉です。『電球』の方は〈○○魔法〉になります」
マオは「魔法の種類だけ、色があります」そう言い、話を締め括りました。
「ただ、申し訳ないですが『魔法関係』は無知なので、これと言った説明は出来ないです」
マオのスキル構成は、生産系で占められています。
「〈生産スキル〉は〈魔法スキル〉関係になります。アーツでMPを消費するので、分かりやすいと思います」
マオは一つ咳払いをすると、次の説明を始めました。
「最後の説明は〈魔法才能〉についてです。
このスキルは、公式の説明以上に奥深いモノです!」
右手を握り締め、元気よく力説しています。
「この世界のルールとして、『万物に宿る』と公式に謳われています。それが真実だと、現在感じています」
もしかすると、『フルコントロール(補正なし)』の状態が関係しているのでしょうか?
「ミイも宿で休んでいる時に、システム補正を『小』にして〈魔法才能〉が発動している様子を、感じ取って下さい。
ミイなら恐らく、〈精霊魔法〉の強化に役立つと思います」
マオがそう話をまとめようとしたとき、大きな悲鳴が聞こえてきました。
「ア~アァァァァァァァ!!」
どうやら、岩山の中腹辺りから、叫び声が聞こえてきたようです。
「強いモンスターに、遭遇したのでしょうか?
ちょうどいいので、〈魔法才能〉の使い方を実戦で見せましょう!」
マオはそう言うと、三人に付いてくるように指示しています。
着いた先に居たのは、ロックゴーレムでした。
「ロックゴーレム──動きが遅いので、説明に使う相手として申し分ないですね!
三人は下がって──『キュルルルルオ』ん? どうしましたかリュオ?」
マオの従魔であるリュオは、主人であるマオを見つめ、喉を鳴らしています。リュオを受け取り、その瞳を覗き込むと聞き慣れた声が聞こえてきました。
【従魔:リュオに戦闘の意志が宿りました。それに伴い、種の特殊能力が目覚めました】
マオはその言葉を聞くと、リュオのステータスを開きました。
─────────────────
リュオ
特殊能力:岩石生成……自身に宿る『土の魔力』で、セーフティーゾーン以外なら何処でも岩石を生み出せる。
〈身体能力上昇・微〉
〈魔力増強・微〉
〈超常進化〉
────────────────────
マオはその内容を読むと、目を閉じリュオの口先に額をくっ付けます。リュオの方も目を閉じています。
「リュオ──共に戦いましょう!」
『キュルオ!!』
マオの言葉に答えるように、リュオが元気よく一鳴きすると、マオの背後で「ドン!」と音が鳴り、岩石が現れました。
「があああ!!」
この間10秒に満たないですが、ロックゴーレムに掴まれた人物は叫び声を上げました。
「シア、ボクがロックゴーレムの腕を破壊したら、掴まれている人物を保護し、コレで治療しておいてください」
マオはそう言うと、ポケットからポーション・改を取りだし渡します。
「飲ませないようにしてください」と言い、リュオを頭に乗せ駆け出します。
「せい!」
マオはロックゴーレムの腕をめがけ、投げます。1mくらいある大岩を、目的のポイントに寸分違わず当てられるのは、マオのリアルスペック+称号によるものでしょう。
「せい! せい!」
マオはロックゴーレムの周囲を駆け回り、リュオに生成させた大岩を腕や手に何度もぶつけます。
何度目でしょうか……大岩の与えるダメージに耐えられず、腕には大きな罅が入っています。
「コレで……砕けなさい!!」
バカァァァン!!
とうとう大岩のダメージに耐えられなくなり、腕は砕け散りました。シアはマオの指示通り、落下してくる人物を受けとめました。
それを横目で確認しているようです。
「リュオ、攻撃優先で行きます。
大岩を右手を開けた瞬間に生成出来ますか?」
『キュオ!!』
元気な返事が返ってきました。此処からは、マオのターンです。




