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第三十五話 裁縫スキルが進化したら……

 調べものに時間がかかり過ぎました。申し訳ありません。


 7月1日 誤字の修正をしました。


 7月25日 誤字の修正をしました。

 ハルは屈しました。あの『天下無双シリーズ』に……。

 その姿は正に『敗残兵』──少し厳しかったかも知れないですが、これからの可愛い服を作る邪魔をされるのはイヤなので、新しい衣装で止めを刺します。



【御主人様お仕えセット】 マオがハルを思って、一針一針心を込めて作った一品。可愛さだけでなく、上品さの中に漂うちょっとした色に目を奪われるであろう。 DEF+100 MDEF+60 ランクC レア ★★★★☆ ※セットボーナス発生中 適材適所 身体能力上昇・小 危険察知 食材感知



 今回の装備作製で10時間……その内の半分が、この装備を作っていた為です。ハッキリ言って、現行の装備品と比べても一回り近く、高性能です。

 この服を着たハルの姿ですが、予想以上でした。


 頭は白色のカチューシャに幅広の布を付け、帯にレースのフリルとネコミミを通す為の穴を開けています。

 これで遠くから見れば、ネコミミカチューシャを着けているように見えるでしょう。白は、黒く長い髪に映えます。


 体──特に胸の部分は力を入れました。リークスさんのお店で買った、最上級品のレースをふんだんに使い、胸を強調し過ぎないよう飾り付けました。

 お腹・腰回りはコルセットを参考に、胸の部分をカットした黒地のベストで腰回りを引き締めます。


 腰から下には、ミニカボチャパンツの上に膝上までのパニエ、その裾のフリルを見える長さのミニスカート。靴下は膝上でパニエに隠されないように、少し肌を見せます。むしろ魅せます?

 ブーツの方も踵が少し高いタイプで、足の甲にある一本の細いベルトで留めます。


 自画自賛になりますが、良い仕事をしました。ハルの姿を見てそう確信します。

 戸惑ったように、姿見の前で見回しているハルにボクは声をかけます。


「どうですか? お気に召さない……訳ではないようですが?」


「ですが!お姉様!!  これは短すぎます!!」


 スカートの裾を軽く摘まみ、ボクにアピールします。


「何のために『ミニカボチャパンツ』を下に履いていると思っているのですか? テニスで女性プレイヤーが使う下着──名前は知りませんが、それと同じものですよ?」


 なかなか、装備についての説明に移れないですね……。


「──なあ、もしミイと同じものを作ろうとした場合、どうなるんだ?」


 横で見ていたシアが口を挟みます。


「実物を作ってあるので、見てみますか?」


「え?」


 ボクの言葉に驚いたシアは、口を開けたまま固まりました。

 ポケットの中から取り出したのは、ビキニタイプの布切れでした。


「材料が足りなくて、性能重視で作ったらこんなのしか出来ませんでした──」


 それを出した瞬間、ソレをハルは猛スピードで掴み、ボクのポケットに捩じ込みました。


「──そんなものは、出さないで下さい!!」


 真っ赤な顔で肩を掴み、ガクガクと揺さぶってきます。頭が激しく揺らされ、気持ちが悪くなってきます。


「ハル! 止めてください!」


 ボクの顔色が悪化したのを見たハルは、手を離してくれました。


「性能はピカイチなのですけど……」


 頭を振り、ガクガクと揺らされたことで起きた、酔いを覚まします。う"う"……気持ち悪いです。ボクの体調が落ち着いたのは、それから30分後でした。



「ふぅ……やっと、落ち着きました。それでは、その服の性能を話しますので、覚えてください。

 まずは、上体装備についてですが、スキルは〈重心安定〉が付いているので、バランスが取りやすいと思います」


 ボクの説明を聞いたハルは、片足立ちになったり、軽く跳び跳ねて確認しています。フワリとスカートの裾が捲れ上がっているのに気付いていないようです。


「──確かに、リアルより体幹が安定しているように感じます」


 その言葉に頷き返し、説明を続けます。


「次はブーツです。ブーツには二つのスキルが付いています。

 一つ目が、常時発動型の〈悪路走破〉。恐らくとしか言えないのですが、慣れれば水面を走ることも不可能ではないと考えます。

 二つ目が、アーツで『大跳躍』で通常の三倍近いジャンプを行えます。──ここでは試さないで下さいね?」


 三人の視線は、ハルのブーツに集まっています。


「カチューシャが一番の自信作と言えます! 付いているスキルは〈食材看破〉です。このスキルは、食材に関して類い稀な能力を発揮します。食材の発見・知識・処理の仕方……初めて見る食材に対しても、発動すると思います」


「……スゴいな────」


「わぁ~お~──」


 ミイとシアの二人は感心しています。しかし、そのカチューシャにはまだ(・ ・)秘密があるのですが……。


「──? それだけじゃあない気がするのですが……」


「良いところに気付きましたね! それは耐性スキルです!!」


 耐性スキルとは、〈○○耐性〉と出ます。○○の部分にはいる状態に対する耐性を上げます。


「そのカチューシャには、混乱耐性・盲目耐性の二種類が付いています」


 ボクの言葉に息を飲んだのは、シアでした。実のところ、現状で一つの装備に『基本的にスキルは一つ』だからです。そうなると、『ブーツは?』となるでしょうが、『スキル一つと派生アーツ』という形です。


「今回の装備で初めて、スキルが発生しました。これまでに発生しなかったのは、『スキルレベルが低かった』からではないかと推測しいます。

 天下無双シリーズ(アレ)を作り上げた時点で、〈裁縫〉は〈中級裁縫〉に進化したので、付いた理由はそれ(・ ・)だと思います。次はミイとボクの装備を更新します」


 現時点でレベルが上がり、スキルが上位に進化した人は10人に1人……恐らく、1000人くらいと掲示板で騒がれてます。

 初期スキルのレベルが上がりやすいのは、公式サイトにも書いてあります。


「お姉様、この腕に巻いているリボンは何なのですか?」


 ハルは、自分の腕に巻かれたリボンを掲げます。

 そのリボンは肘の部分から、手首に向かい何度か交差しています。手首の甲の辺りで、大きな蝶々結びで留められ、10cmほど垂れ下がっています。


「見た目重視で作った、ガントレット代わりの腕防具です。蝶々結びの真ん中に魔石が付いて、それに触れ『収納』と念じれば、リボンの両端は一時的に収納できます」


 試しているハルに、二人が楽しそうに加わっています。


「次の防具の為に、狩に行きませんか?」


 ボクの言葉に三人は元気よく返事したので、出掛けることにしました。

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