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第三十一話 亀さんは堅い

 毎日更新で一月経ちました。

 3日坊主にならず、これまで更新できたのは、お読みいただける皆様のお陰です‼


 6月25日 誤字の修正をしました。


 7月25日 誤字の修正をしました。

 ウッドゴーレムを斬り飛ばしながら、森の中を歩きます。

 シアも両手の斧を振り回し、ウッドゴーレムの腕を飛ばしたり、表皮を削り取ったりしています。


「──それにしても、マオの動きが休憩前より良くなっていないか?」


「──それは、『VRにおける動作補正』がないからです」


 ────動作補正───────────

 脳波で動かすVRゲームは、脳波感知時に起きる微細な『脳波のブレ』も感知します。そのブレはゲーム内のアバターに対し、同期の遅れを産み出します。それを防ぐ為の補正です。

 因みに補正なしでもプレイ出来ますが、実際ないと動作に馴れるまで結構大変です。

 ────────────────────


「基本的に行動補正を外す方は、いないと思います。この行動補正が働いていないと、ちょっとした雑念で動けなくなります。

 例えば──『逃げないといけないのに、身体が動かない』や、『受け止めようとして、逃げたりする』と言う行動を取ってしまうのです」


 もっとも色々な状況により、タイミングを合わせた攻撃が出来なくなったりと不都合の方が増えてしまいます。


「その割には問題無さそうだが?」


「そこはもう『ゴリ押し』ですね──。脳のスペックギリギリで行えば、トッププレイヤーのラッシュにも対応出来るのじゃあないでしょうか……」


 現在の時点でミイやシアの行動に、付いていけること自体が異常でしょうが──。

 視界の隅で、何かが『カサッ』と音を立てました。


「さて、あれがラウンドトータスでしょうか?」


「そのようです。お姉様は一人で突っ走らないように────」


 ハルが何か言ってますが、試したいことを優先します。


「シアにラウンドトータス(ヤツ)の注意を引いて欲しいのですが、出来ますか?」


「無茶じゃない範囲で、15秒ってところかな……」


 15秒……それだけ稼いでもらえば、試せるでしょう。


「ミイは集まってくる敵の排除、ハルはその補佐をしてください!」


「まかせて♪」


「──もぅ、お姉様ったら……」


 元気よく答えるミイと、膨れっ面で呟くハルが脳裏に浮かびます。


「シアが一番大変でしょうが、お願いしますね!」


 ボクはラウンドトータスに向かって、跳ぶように大地を駆け抜けます。

 このラウンドトータスは、見た目『大きいゾウガメ』が一番分かりやすいでしょう。ただ、コイツの甲羅は恐ろしく堅いそうです。

 そこでボクは、ウッドゴーレムとの戦いで〈木工〉アーツ『樹円斬』を使いました。それで、一撃必殺でした。それなら──


「──思った以上に持たん!!」


 基本的に盾士ではないシアに、ヘイト管理は不可能と言うものです。

 ボクはラウンドトータスの足を踏み台にして、飛び上がります。

 空中でアイテムボックスから、木のハンマーを取り出します。


「喰らいなさい!! アーツ『粉砕』!!」


 ガガン!!

 

 甲羅を粉砕することは叶いませんでしたが、背中に大きな罅が入りました。もう一度喰らわせば、砕けるかもしれません。


「セェェェェェェイ!!!!」


 追撃でシアの一撃が、ラウンドトータスの甲羅に入った罅に重なります。


 シャァァァァァァ!!!!


 その一撃は内臓まで届いたのか、叫び声?らしきものを上げています。この隙にアーツ『粉砕』を使う場所を確認をします。

 目に付いたポイントは2点──甲羅の天辺と横です。その丸い甲羅は橋の構造の様に、負荷を分散するのでしょう……。そうなると狙い目は甲羅の上下が重なる部分でしょう。

 ボクはそこに狙いを定めると、アーツを放ちます。


「────『粉砕』!!」


 その狙いは、ラウンドトータスが動いたことでズレてしまいました。ズレた先は『足』──後ろ足の膝部分に当たりました。

 手に伝わるのは『グキャッ』とした、感覚でした。


 シャアァァァァァァ!!!!


 先程とは違い、大きな反応を示します。


【レッグブレイク!! ラウンドトータスの足を破壊しました】


「──マオ! ヤツは足が弱点じゃないのか?」


「恐らくそうでしょう──。もしそうなら、原因はあの体格になると思います」


 シアもヤツの反応から、足を攻める方が早いと感じ取ったみたいです。そうなれば後は簡単です。

 ボクが『粉砕』でヤツの足の機能を奪い、シアが斬りつけてダメージを蓄積させます。周囲からの援軍が無くなったらミイとハルも援護に加わってラウンドトータスを追い詰めていきます。


 ラウンドトータス(ヤツ)との決着が着いたのは戦闘開始から1時間後でした。格上だからだけではなく、体力バカで堅かったことが、戦闘時間が延びた要因でしょう。


「これは予想以上に大変でしたね……」


 乱れることのない服を直しながら、ボクは戦闘の終了を皆に告げます。


「堅すぎて、斧の刃が立たなかったぞ」


「堅い亀さんですね──」


「弓じゃ役立てないよ……」


 拗ねたようなことを言う、ミイの頭を撫でながら考えます。

 今回勝てたのは、運の要素が強いことです。皆の装備に『サブウェポン』を考えないといけないでしょう。

 今回のドロップを含めて、装備の強化を考えましょう……。


「シアは他の攻撃方法として、どのような武器がいいですか?」


「難しい質問だな──戦闘スキルで〈格闘系〉があるけど、あれってスキルがないとダメージが入らないのか?」


「『スキルが無くても、ダメージは入る』のです。

 シアは知らないでしょうが、ギルドでのPvPでも〈戦闘系スキル〉が無くても倒せましたし……」


 その言葉を聞いたハルの目が、ヤバイ光を放った気がしますが、ガンツ自身の頑張りで回避してください。


「ミイは接近戦が出来るような武器でよかったですか?」


「うん♪ 出来たら、弓の邪魔をしない武器がいいかな……」


 そうなると暗器を、イメージします。後は、アクセサリーでブーストすれば現時点では問題ないでしょう。


「残るはハルの装備ですね。ハルの言葉を取り込んだ(・ ・ ・ ・ ・)装備をプレゼントします」


「────お姉様?」


 そうと決まればここに用はないので、街に帰ります。

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