表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/101

第三十話 ハルはどこかズレている

 6月24日 誤字の修正をしました。


 7月24日 誤字の修正をしました。

 妹のハルの武器はコレでいいでしょう。

 先ほど出来上がった包丁を見て、頷きます。


【万能包丁】 ATK+40 ランクB レア ★★★★


 モーギューのドロップの牛皮を使い、鞘を作り完成です。取り敢えずの装備で申し訳ないですが……ハルなら許してくれるでしょう。



 ボクが鍛冶スペースから出ると、3人は何かを食べていました。


「──お待たせしました。仮の武器で申し訳ないのですが、コレをハルに渡します」


【ハルに『万能包丁』をプレゼントしますか? Y/N】


『Y』を押すと、ハルの手の上に万能包丁が現れました。


「──まあ! 包丁ですか? これは料理人として、『頑張りなさい』と言う訳ですね?」


 実際のところは違いますが、兄として胸を張って頷きます。


「ハルには申し訳ないですが、防具の方はもう少し待ってください」


「心配には及びません! モンスターの攻撃など、避けてしまえば問題ありません!!」


 ハルは張り切ってますが──実際にやりそうに感じるのは、兄妹故なのでしょうか?


「今日の計画を考えましょうか? 何かを狩りたいとかはないですか?」


「ギルドのクエストを受けないか?」


「そうだね。登録しただけで、全く受けてないよね♪」


 ハルの登録もあるので、丁度いいですね。


「では、ハルの登録とクエストを探しに、ギルドに向かいましょうか」


 3人が頷いて着いてきます。



 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□


 ギルドに入ると、ハルに向かう視線を感じました。

 ボクが睨み返すと、つぃ……っと視線を逸らせます。


 空いていた受付は──何時かの受付嬢でした。


「本日はどのような御用ですか?」


「彼女の登録をお願いします」


「──あら? お姉さま(・ ・ ・ ・)でしょうか?」


「彼女は妹です(・ ・ ・)──」


「「「「──────────────」」」」」


 ギルド内から音が消えました。


 パン!


「問答はなしで──登録を進めてください」


 ボクはそう言うと、クエストボードに向かいました。


「何かいいクエストはありましたか?」


 ボクはミイたちに近づきます。ミイは頭のうさミミを揺らしながら、振り返ります。


「あ、マオ。えっと……こんなのはどうかな?」


 ミイが渡してきたのは、採取・討伐系クエストになります。対象のモンスターは、オークです。ファンタジーでよくある王道のモンスターです。


「私はこれをしてみたい」


 シアが見ていて、差し出したのはラウンドトータスの討伐クエストでした。

 頭に乗っているリュオが、何かを訴えるように『キュルル……』と鳴き声を上げ、見上げる先にあるのは──竜域のある街の北門を出たすぐにある草原のクエストでした。


「シア、すみませんがあの紙を、取って貰えませんか?」


 ボクはギリギリ届かない位置にある、クエストシートを呼び指します。


「──任せろ」


 シアはヒョイとその紙を取り、ボクに渡してくれました。


「リザードの討伐ですか──」


 このリザードは『大きなトカゲ』で、以前出会ったロックリザードの原種になります。全長は大変長く平均10mはあります。


「リュオはこれの肉が(・ ・ ・ ・ ・)食べたいのですか?」


 リュオは元気よく頷きます。ミイは頷き、シアは顎に手を置き考えてます。


「──お待たせしました。何をお話しされてるのですか?」


「今回受けるクエストについて、話し合っているのです」


「もしかして──わたくしが足を?」


 顔を俯かせ、手を握っているハルの頭を撫でます。


「───たく……そんなわけないでしょう?」


「私達だって、まだまださ」


「そうだよ。だからハルお姉ちゃんも落ち込まないで!」


 ミイとシアが励まし、ハルはミイを抱き締めています。


「(こう見ていると、姉妹に見えますね──)」


 シアがボクのことを、見ていたのを知りませんでした。


「オークとラウンドトータスは『西の森』ですので、今日はコレを狩りに行きましょう」


 今のハルの装備では、流石に不味いと思うので今日のところは、『豚と亀』を狩りに行きます!



 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■


 サクッと西の森です。ここ西の森は樹木が長く、高く伸びています。樹は先にいくほどに広がりを見せ、薄暗くジメジメした感じを受けます。

 木漏れ日が地面を照らす、清閑な雰囲気の中『カーン! カーン!』と音が響いています。


「アーツ『樹円斬』!!」


 カァコーン!!


 ボクは先程から、木材の伐採に精を出しています。ここの樹木は『真っ直ぐ、長く、太い』と三拍子が揃っています。

 そんな素材を見逃せるハズがありません。当然回収です。


「ネタアーツかと思ったが、その『樹円斬』は木工特化スキルとしては、優秀だな」


「そうですね。〈木工〉LV15のアーツとしては優秀な部類でしょう!」


 このアーツの性質は、『樹木を一刀両断にする』と言うものです。言葉にすると単純ですが、実際に使ってみると解ります。

 アーツを使うと『真っ直ぐ』伐ってくれるのです!!

 しかもこの技には意外な利用法もありました。


「お姉様!! お逃げ下さい!!」


 ハルが叫びますが、『樹木に属するモンスター』は現在のボクには、雑魚同然です。

 ボクは木の幹を蹴り、三角跳びでウッドゴーレムの上を取ります。


「アーツ『樹円斬』!!」


 カァコーン!!


 ウッドゴーレムは左右対称に割れました。声なき声を上げウッドゴーレムは消え去ります。

 ボクは斧を振り回した反動で、空中をクルクル回っています。フードのウサミミが揺れ、しっぽもボクを追いかけてきます。


「ここは樹属性のモンスターが多くて楽ですね!」


 スタっと地面に着地したボクは、ユウキが聞いたら怒りそうなことを言いっています。ボク自身は今回、意外にも戦闘で使えるアーツに感心しています。


「流石──お姉様です……が、何なのですか!? あの戦い方は!!

 お姉様の御御足(おみあし)を、凡夫に見せるなど!!」


 また始まってしまった、ハルの小言に苦笑するしかありません。


「ハルの方が危険ですよ! 単身オークに突っ込んで行って……殲滅するなんて──」


「わたくしの装備では、肌をほとんど見せておりません!!」


 平行線な話ですが、ボクの心は『ケガをしてほしくない』その一点だけなんですが……。ハルの考えだけがナナメにズレています。


「ハルお姉ちゃんはマオを、独り占めしたいのかな?」


「さあな……あの姉妹に関してはわからないな──」


 ボクたちが話している間、ミイたちがそのような会話をしていたのは、ボクの知らない話です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ