第二十九話 妹は可愛いものが好き
妹が参加します。
只今、本文の修正を行っていますので、皆様に表記などで迷惑をお掛けするかも知れません。
6月23日 誤字・脱字の修正をしました。
7月24日 誤字の修正をしました。
ボクがダイブすると、既にミイとシアが室内にいました。
「すみません──待たせてしまいましたか?」
「大丈夫だ。私もミイも先ほどダイブしたばかりだ」
「それは、よかったです。
あの、妹がこのゲームをプレイすることになったので、チームに入れてもいいですか?」
ボクはリュオを召喚しながら、二人に確認を取ります。
「私は構わないよ。楽しい方がいいからね」
「私もいいよ! マオの妹ってことは……小さいのかな?」
ボクはミイの言葉に、何も言えません。
「それでは、中央広場に向かいましょうか──」
ボクは二人を先導し、中央広場へと向かいました。
メールボックスに二件新着があるので確認すると、一つは運営で、もう一つはユウキからでした。
運営からはお母様から聞いた内容で、ユウキからは防具作製の感想でした。
「二人はメールは読んだのですか?」
ボクが確認すると、二人は頷き今夜のアップデートについて「楽しみだ」と言っていました。
その視線がボクのお尻に向かっていたのは……気のせいなのでしょうか?
中央広場にある噴水に近づくと、飛び込んできた人影があります。確認するまでもなく、妹の遥奈です。
「マオねぇ様~~~~!!!! お待ちしておりました~~~!!」
さすがのボクも避けるわけにはいかず、正面から抱き締められました。
「───・「→…;@・@:;`・*+・>、」
ボクはいきなり遥奈が抱き着いてきたせいで、呼吸困難に陥りました。
なんど遥奈の腕をタップしても、離して貰えず……プレイ初の死亡が『妹の胸の中』という黒歴史を刻むところでした。
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シアがなんとか遥奈を説得し、ボクを離してくれました。
「申し訳ありません……興奮のあまり」
遥奈は先程からペコペコ頭を下げています。ボクは先程のことに恐怖を感じています。
「───まあ、いいでしょう。自己紹介をしましょうか……。ボクはマオです」
「私は、ミイです! よろしくね♪」
「私はエリシア。シアと呼んでくれ!」
「わたくしは、ハル……お姉様の妹です。猫の獣人になります」
遥奈──いえハルの頭には、黒い猫ミミがピョコン!と飛び出しています。黒く長い髪と合わさって、上品さを感じさせます。
「それにしても……大人っぽい、妹さんだな」
確かにハルの顔は、小顔で鼻筋がスッとしています。身体にしてもボクとは正反対で、140後半の身長に加え──その胸元には、ボクを殺しかけた2つの巨に──ゲフン! どう見てもシアより年上に見えますが──。
「因みにハルは今年、中学に上がったばかりです」
その言葉に過剰な反応を示したのは、シアでした。
「──はい? 嘘だろ……?」
残酷な現実ですが、目を逸らさないで下さい。
「──ハルお姉ちゃんですか?」
ミイの不用意な一言に、ハルの目にヤバい光を感じたので──そっとしっぽを掴みます。
「──お姉ちゃん……」ハアハアと少し荒く、怪しい息づかいをしています。
「──ミイちゃ……『グイッ!!』 ひゃぁん!! ……お姉様?」
「先程した失敗を──また繰り返す気ですか?」
ボクは溜め息をつき、ハルを嗜めます。ボクたちは二人兄妹なので、ハル自身が妹が欲しそうにしていたのを知っています。
「ハルのスキル構成を聞く前に、共同作業場に行きましょう」
三人とも元気よく返事します……しかしハル、ボクを抱き上げようとしないで下さい。頭に乗っているリュオが警戒しています。
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作業場の個室に着いたら、恒例のスキル構成を確認します。
「ハルは、どんなスキルを選んだのですか?」
「わたくしが選んだスキルは〈料理〉〈食材知識〉〈観察眼〉〈身体能力上昇〉〈魔法才能〉の五つです」
コレまた偏った取り方をしてますね……。
スキルの内容は以下の通りです。
【料理】 完成した料理に、レベルに応じた補正が加わる。
【食材知識】 フィールド上で食材の採取が出来、完成した料理に僅かだが補正が加わる。
【観察眼】 見つめている対象の違和感を感じ取れる。レベルが上がるほど、より詳しくなる。
【身体能力上昇】 魔力を除くステータスを満遍なく、強化する。レベルによって補正値が変わる。
このようなスキル構成をしているとは──
「──とりあえず、ハルが使えそうな装備を作ります。完成するまでの間三人は話していてください」
そう言うとボクは、鍛冶スペースに向かいました。
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「防具を作ろうと思っても……」
材料が足りません‼ 防具に関しては、材料が揃ってからですね。
「武器はどうしましょうか? 包丁ってのもありでしょうか?」
〈料理初級セット〉にも包丁は入っているでしょうが、切れ味が良いとは限りません。
どちらにしても必要な道具なので、作ってしまいましょう!
刃の部分に使う金属は、銀がいいでしょうか?
魔法銀はこのゲームにあるらしいので、見付けたいです! ミスリルの包丁とか──一見ムダっぽくて、ネタアイテムには面白いかも知れません‼
試作品にいきなり銀を使って、失敗するには嫌ですのでまずは、鉄鉱石を使って作りましょう。
シアに作った斧と同じように、斬鉄鉱を高純度のインゴットにします。その作業中に『金属は混ぜる』ことが出来るのか気になりました。
軽鉄鉱を取り出し、高純度のインゴットにしたらその二つをコネコネ混ぜ合わせます。
【軽斬鉱】 軽鉄鉱と斬鉄鉱の合金。軽くて切れ味のよいものに向いている。 ランクC レア ★★★
このような鉱石が出来ました。今度はコレを使い、包丁のかたちに成るようにゆっくりと成型します。
【万能包丁】 軽斬鉱を使い、作られた軽くて切れ味がよく、扱いやすい包丁。 ATK+40 ランクB レア ★★★★
これで暫くは使える武器の完成です。




