第二十八話 現実での一コマ
今回の話で、『マオのリアルチート』『ミイを2日目で仲間にしたわけ』など、少しでも伝われば嬉しいです。
リアルワールドの時間を1日15分→三〇分に変更しました。
6月22日 文章の変更をしました。
7月24日 誤字の修正をしました。
【リアルワールドよりダイブアウトします】
そんな声と共に現実世界に戻ってきました。時間は昼過ぎで丁度お腹が空いています。
自室からリビングに向かうにつれ、美味しそうな匂いを感じます。
リビングに入ると、キッチンの方で妹の遥奈が昼食の準備をしていました。
「お兄様、おはようございます」
「おはようございます。──少々遅いですが」
「遥奈は今日はどうするのですか?」
キッチンから出てきて椅子に座った遥奈の頭を撫でながら、ボクは今日の予定を確認します。
気持ち良さそうに目を細め、撫でられています。遥奈の髪はサラサラで、手グシをするのが気持ちよくほぼ毎日撫でています。
よくユウキから『シスコン』と言われますが、そんなつもりはないです!
「わたくしは、今日の内に夏休みの宿題を終わらせます」
流石、遥奈です。中学生になって、しっかりしてきましたね。
遥奈の作った昼食を食べ、ゲームの話になりました。
「それで、お兄様は雄兄から受け取った『リアルワールド』をプレイしていたわけですか?」
「はい。その名に恥じぬ、もう一つの世界でした!」
「羨ましいですわ……」
「ボクも遥奈と遊びたいですが、VRギアの入手自体が難しい以上──お母様にお願いしてみましょう。上手くいけば手に入るかもしれません」
ボクはそう言うと、胸ポケットからスマホを出そうとした時、タイミングを計ったようにコールが鳴りました。
「──噂をすれば、お母様ですね──」
「──おはようございます、マオです。いかがなさいました?」
『おはようございます、マオさん。今日からVRゲームの『リアルワールド』が始まりますよね?』
「はい。遥奈には昨日話して、少し前までプレイしていました」
電話向こうのお母様は、笑っています。
『もうそろそろ届くと思うのですが──
ピンポーン♪
──タイミングよく届いたようですね? マオさんのことです、ゲーム用の最新ギアと言っても『一般人に合わせたスペック』では、誤差が生まれるでしょう。優一さんとも話して、マオさん専用のギアを作製し、送りました』
お母様には頭が上がりません……。
「よろしいのですか? 運営側がその様なことをして……」
いくらボクの体質上の問題とはいえ──
『問題ありませんよ♪ マオさん専用のギアの性能に近くなるように、公式アップデートを今夜二十四時から始めます。
そのときに、『ブラッドシステム』に『エモーション・アクション』の解放を行います』
「なるほど──現実の才能とかをゲーム内で『解放』させるわけですか?」
『そうですよ。マオさんは私達夫婦の血を、太古の才能を与えられた─"絶対英雄体質"─数十億人に一人の異才。
マオさんの身体は生まれたときより、『最強』を背負わされたものです』
そう──ボクの身体は、一三〇㎝という小柄にして、『世界ウェイトリフティング─チャンピオン─』ですら持てない重量を軽く持てます。
ボクの体重が三十六㎏なので、推測上では十倍以上の三百六十㎏……恐らくそれ以上、持てるでしょう。それ故に、幼稚園にも通えませんでした。
ボクの肉体は常人の数十倍──下手をすれば百倍近い『筋肉密度と柔軟性』を持っています。骨に関しても同様です。
『私達夫婦の愛しい息娘に、寂しい思いはしてほしくありません。あの世界でなら、アバターに『己の才能を加え』、スキルという『才能の補正』を使えば……マオさんに少しでも近付けると思います』
本当に素晴らしい両親ですが……
「──先程の言葉に、何やら不穏な響きを感じたのですが ?」
『気のせいではないでしょうか? マオさんの事です。遥奈のように年下の娘が困っていたら、見過ごせないと思いますが、ほどほどにしましょうね?』
見付かっていたようですね(汗) 運営として監視している以上、情報は集まるでしょう。
「色々とやり過ぎた感はありますが──」
『──それにしても、マオさんのあの姿も、隣にいる娘たちの姿も……可愛かったわ~♪ これはスクショアルバ──』
ピッ
条件反射で通話を切ってしましました。
「お兄様──お母様からの荷物が届きました」
遥奈は荷物を取りに行ってくれてました。
「ありがとうございます。お母様の話では、ボク専用のギアらしいのですが……」
箱が大きいです。嫌な予感しかしませんが、開けてみます。
「──VRギアに……これはVR専用のベッドパッドでしょうか?」
ユウキの話では、VR時に身体にかかっている負荷を、軽減するものがある話でした。これがそうなのでしょうか?
中にはボク宛と遥奈宛の手紙が入っていました。内容はボクの予想通りでした。
「──ふむ。ユウキから貰ったギアが空きますが、遥奈はどうします?」
「もちろんわたくしも、ご一緒させて下さい!」
遥奈の参加が決まったので、ボクは部屋に戻りギアを持ち、遥奈の部屋に向かいます。
「大体十分でセットアップは終わるので、先に済ませて下さい」
ボク自身もセットアップを行います。
その頃、遥奈はあるものを見ていたのを知りませんでした。
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わたくしは今、お母様が手紙の中に忍ばせてくれたものを見ています。
「──これは!! ああっ!! …………堪りません。
これ以上の我慢は、身体に毒です。早く──ダイブしたいです!!」
わたくし遥奈は、お兄様のスクショを見ています。
お母様!!グッジョブです!! そのスクショの中には『天使が二人』いました。
お兄様と小さな娘が──桃源郷はここにあります!
「──待ち遠しいです! あ、お兄様の下にいきましょう」
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遥奈はVRギアを持って来ました。
「お兄様の隣で寝て、いいですか?」
「ええ、構いませんよ」
断る理由はないので、一緒にダイブします。




