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ありえない生産職~あんたが生産職なワケがない!!~  作者: 四宮 皇季
第一章 マオはペットが欲しいです!
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第二十七話 マオ、戦い悩む

 6月22日 誤字・脱字の修正をしました。


 7月24日 誤字の修正をしました。


 8月15日 誤字の修正をしました。

 周囲の警戒をしながら歩きます。初めてのベア戦は予想以上に大変でした。

 少しして先頭を歩くミイが止まりました。


「マオ──ベアがいるよ」


 小声でボクに話しかけてきます。ボクはミイの見ている方向を見ますが……距離があるようで、見えません。


「結構距離が、ありそうですね──」


「う~ん──二百五十mはありそうかな?」


 それでは……見えなくて当然ですね。三人揃って、音をたてないように──ソロリソロリ、と歩きます。

 誰もスキル〈忍び足〉を持ってないですが、静かに歩くように気を付けています。


「それではトラップを作りますので、周囲に異変が起きたら教えてください」


 二人が頷くのを見て、作業にかかります。


 先のベア戦で、ベアの身体能力の高さを感じ、簡易すぎると抜け出しそうと感じました。もしもを考え、カスタムウィンドウを呼び出し、じっくりと罠に作製をします。


 まず、深さと広さは限界の十mにします。底には木の杭を等間隔で並べます。入り口の向こう側に五十㎝の溝を掘ります。これはボアのときに使ったモノを流用します。

 もしもを考え、こちら側から穴に向かう木の杭をナナメに配置します。

 此処は天井?部分が枝や蔦で隠れていて、落下系のトラップが設置可能なようです。この部分にアイテムボックス内の石を錬成した大岩を、仕掛けます。これで、上下が罠で埋まりました。

 念のため、アーツ『弩流砲』の準備もします。


「お待たせしました。こちらの準備が整いました」


 ボクが二人を見つめ、合図をします。

 ミイは静かに矢を取り、つがえます。


「今です! 」


 キュイ!


 矢がベアに向かって飛び、その背に刺さります。

 それと同時に、ベアが周囲を見回し、ボクたちを見つけます。


『ガアァァァァァァ!!』


 ドタドタドタ……ベアは、こちらを睨みつけ駆け出します。

 ビビってしまいそうですが、怯え・逃げ腰になれば失敗してしまう危険性が高くなってします。


 シアはベアを誘導するため、両手の斧をぶつけ、大きめの音を出して、注意が自分からそれないように仕向けています。

 ミイも弓でベアの顔を狙います。ボクもそれに負けまいと石を投げます。

 ──もちろん、タイミングを見逃さないように注意しています。


 仕掛けた溝に、ベアの前足が着く瞬間に──


「──『トラップB 発動!!』」


 罠を発動させ、体勢を崩します。当然、ベアは前方に向け転がります。本命の落とし穴の上に来たとき、勝負を決めにいきます!!


「──『トラップA 発動!!』続いて『トラップC 発動!!』」


 ヤツの身体が地面に着く瞬間に、落とし穴のフタがなくなります。──そこに追い討ちで、大岩が穴に落ちていきます。


 穴の中から、ガン! ドン!! と大音を周囲に響かせます。

 ヤツも叫び声を挙げているのでしょうが、大岩と大岩がぶつかる音が五月蝿くて聞こえません。


 大岩のぶつかる音が消えたとき、ベアは瀕死の状態でした。


「ベアって……しぶといのかな?」


「さすが──強い肉体と、生命力です。──シア、この大石をベアの頭に『力一杯落として』くれますか?」


 ボクは取り出した大石を、シアに渡します。


「あれ? 〈投擲〉のスキルがないと、当たらないのじゃない?」


「別に投げるわけではありません。ただ──落とす(・ ・ ・)だけです」


 ボクはそう言うのは理由があります。落とすときは、スキル(補正・補助)の修得は関係ないのです。ただ、真っ直ぐ(・ ・ ・ ・)落ちるだけです。


 シアは両手で大石を持ち、バスケのパスの応用で、 手首のスナップを活かし落とします。


 ゴガン!!


 キレイな音を立てて、ベアに止めを刺しました。


「今回の方法は、楽でしたね!」


「たしかにそうだけど──準備に時間が必要だと、大変じゃない?」


「シアの考えは間違っていないです。でも今回の作業で作ったトラップは、『ショートカット』出来るので安心して下さい」


 ミイは顎に手を当て、何かを考えてしています。


「──? どうかしましたか?」


「この森には、他にどんなモンスターがいるのかな?」


「ギルドの資料では、モブモンスターはビー・ベア・アント・ビートルになります。強モブはキラービー・レッドベアになります」


 ボクはミイの質問に答えました。この森はモンスターの層は、『モブ・強モブ・エリアボス』の三層で分かれています。今のボクたちのレベルで、強モブの相手は厳しく──現在のスキルレベルでは太刀打ちは出来ないそうです。

 ユウキたちもここの森の中層──今ボクたちのいる上層の平均レベル二十より高い、平均レベル二十五~三十のレベル帯で戦っているそうです。


「強モブに出会ったら──私たちは、どうなるんだい?」


 シアが話に加わってきます。シアの緊張は顔に出ているので、ある程度の予想はついている様ですね。


「ボクたちのスキルレベルは平均十五くらいになります。

 もし──出会ったなら、その時点で終わりの可能性が高いです」


 ボクたちはそんなことを話ながら、森から出るために移動しています。その間に何とか、クエスト分のベアを狩ることが出来ました。


「ベアより強いモンスターと出会うと不味いから、街に帰らない?」


 ミイとシアの顔色が悪いです。恐らく本能的に、危険を感じているのでしょう。


「そうですね──いくらゲームとはいえ、恐怖を感じれば精神的に疲れます。帰りましょうか──」


 ボクは二人を引き連れ、素早く森から出ました。今回のこの判断が正しかったのは、夜にユウキからコールが届いた時に分かったことです。

 中層のレッドベアが上層部に来ていて、自身の群れを形成していたそうです。偶々ユウキたちが出会い、辛くも勝利したそうです。

 余談ですが、ユウキから今回の討伐(ドロップ)で防具の作製を頼まれました。そのため、現在はミイたち(リュオも)は宿の部屋でゆっくりとしています。


 作業場の個室でボクは悩んでいました。このリアルワールドは、全年齢対象で、ミイやシアと同年代の少年少女たちが多くプレイしているはずです。

 この世界のリアルさは、善くも悪くも大変なのです。

 たくさんの楽しさがある反面、同じくらい苦労するのです。中学生の男の子なら、意外と現存のクランに入れるのでしょう。

 バイタリティーのある少女はグループを作るでしょう。しかし、大人しいタイプや引っ込み思案の子供たちは困っているかもしれません。

 ボクは妹のことを考えます。色々と強かで、それでいて甘えん坊な……。


 ボクはユウキの作製依頼を終わらせると、連絡を取り装備を渡すついでに『クラン』について聞きました。

 何でも効率厨の廃人様が『第二の街』でクラン解放イベントをクリアしたそうです。

 宿に帰ったボクたちは、一度昼食にするためログアウトしました。集合時間は、リアルの一時間後です。

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