第二十六話 ベア戦
6月22日 文章の修正をしました。
7月20日 誤字の修正をしました。
6月1日 ご指摘を受け、『ボーガン』の表記を『ボウガン』へと変更し、『ラビットボウ』との統一を行いました。
ベアの討伐に東の森に向かうボクたちは、道中で発見したモーギューを狩ってリュオのご飯にしたり、のんびりと歩いています。モーギューは以前狩った牛です。
「今夜はバーベキューにしましょうか?」
「さんせー♪」
「それはいいんだけど、誰も〈料理〉持ってない……」
「それはそうなのですが、ミイは別としてもシアは料理をしたことがないのですか?」
ボクの言葉に「うう"……」と言います。
ボク自身も料理は得意ではないので、強く言えません。『空腹度』が導入された以上、本格的にスキル〈料理〉の取得を視野に入れなくては、余計な部分での出費が増えそうです。
幸いにも今回のクエストをクリアする頃にはSPが入るので、そのSPで修得しましょう。
「店売りの料理は確保してから出てきたので、スキルを取るまでは料理は諦めましょうか……」
結局、購入した出来合いの料理を食べました。料理を美味く作れるように……頑張ろうと思います。
「料理をしたことない、私が言うのはどうかと思うけど……マオにも苦手なことがあったんだね~」
ミイは笑っています。ボク自身もサンドイッチくらいなら作れます。──挟むだけですが……。
「──可能なら料理が得意で、スキル〈料理〉を取ってくれる娘を探さない?」
「そうですね。苦手なことでムチャをするよりはいいですからね」
「さんせー♪ 私も美味しい料理を食べたい‼」
簡単に次のメンバーに求めるスキルが決まりました。
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そんなことを話しながら歩いていると、目的の森に着きました。
「クエストでは、ベアが大量に繁殖しているそうです。薬草とかの採取をしながら、ベアを探しましょう。
ミイは敵が出たら先制攻撃をしてください。シアはミイの攻撃が当たって怯んだ敵に、突撃をして殲滅をしてください。
ボクは二人の攻撃のサポートをします」
「いつも通りだね♪」
「そうね。殲滅は任せなさい!」
いつも通りなのは、仕方ないでしょう。基本的にヘイト管理できる、タンクがいないのですから……。
二人はワイワイ話しながら、周囲の警戒をします。
歩き始めて五分で、ベアと遭遇しました。
この森の中で、ベアは上位の捕食者です。故に、ベアは油断していました。
「──ミイ!!」
「~えいっ!!」
キュイ
矢がベアの頭に向かって飛びます。
『グギャァァァァァァァ!!!!』
「!? やった! 目を潰したよ♪」
「シア!! 今です!!」
「ハアァァァァァ──!!」
シアが気合いと共に、ベアに向かい駆け出します!
駆け抜けるシアの援護に、ボクは石を投げ、ミイは矢を射かけます。
『グガアァァァァ!!』
ベアが雄叫びと共に、シアに向かい腕を振ります。
ブオォォォォン!!
しかしその一撃は、〈ステップ〉で避け腕の下をすり抜けます。
「セイ!!」
シアの振る双斧が、すり抜けた腕を斬り飛ばします。
ヤツがシアに向かって振り返ったとき、ボクの待っていた瞬間が来ました!! そう……ヤツが『一歩』動いたのです。
「──!! 今です!下がって下さい!! 『トラップ発動!!』」
土壁が地面から現れます。〈罠士〉がレベル一〇になったときに、覚えたアーツです。
「アーツ『弩流砲!!』」
正面から見ると壁のようですが、上から見れば『ボウガン』のように見えるでしょう。〈罠士〉にある唯一の攻撃系のトラップアーツです。
装填するのは『なんでもあり』の鬼畜仕様で、岩から鉄の杭までなんでも使えます。いえ、そうでないと──とてもじゃないですが、使いたくないです。なにせ『装填したモノは使い捨て』という、使用者泣かせのアーツだからです。
グサッ!!
ベアのお腹に『木の杭が刺さり』ました。
『グギヤァァァァァァァァ!!!!』
ベアは大声をあげますが、もう体力的に限界が近いでしょう。
「ミイ!! トドメを!!」
「任せて! ──風よ、我が矢に集い 一迅の風となれ! 『疾風』!!」
ミイの放った矢がベアの口の中に飛び込みます!
『ガアァァァァァ…………』
ベアの声が萎んでゆき、とうとう地面に崩れ落ちました。ベアの身体が光に包まれ、粒子になって消えました。
消えると同時に、アノ声が聞こえます。
【ベアを討伐しました。各五十CPを入手します】
皆でガッツポーズを取ります。
【マオはベアの毛皮・ベアの肝臓・ベアの手を入手しました】
今回のクエストでの証明部位は『ベアの肝臓』になります。それ以外がドロップアイテムになります。
ミイは『ベアの毛皮』を、シアは『ベアの手』を入手しました。
「結構──大変な戦いだったね」
シアも今回の戦いで、結構な経験を積めたようです。
ボクも結構考えることが増えました。第一が、ヘイト管理の難しさです。
ボクの攻撃?でもダメージが入るのですが、直接攻撃するシアのヘイトを塗り替える?ことが出来ないので、結局のところ『注意を逸らす』のが限界となります。
「そうですね。ボクも今回の戦いで、タンクの重要性を実感しました。〈料理〉のスキルを取れること、重装備が出来ることですね……」
「そうだよね~。リュオが成長するまでは大変だよね」
確かに……リュオが成長すれば──一瞬、背筋がゾクッとしました。
パーティーの最大人数が六人です。ボク、ミイ、シア、リュオ現在のメンバーが四人ですから、あと二人─タンク・魔導士─そのどちらかが〈料理〉を持っているor修得出来るプレイヤーがいればサイコーです。
「そう言えばミイの『従魔』はどうします?」
ミイは少し悩んだあと、リュオを撫でながら──。
「リュオがいるから、持たないよ。マスコット的な子は、リュオだけで十分だよ♪」
そう言いながらリュオを撫でるミイの顔は、にやけています。
撫でられている、当のリュオも気持ち良さそうです。
「どうする? もう少し休憩する?」
シアが聞いてきます。先程までの会話で、十分な休憩を取れたようで、呼吸も落ち着いています。ミイを見ると、頷いてます。
「大丈夫ですので、ゆっくりと行動しましょう。ミイはベアを見付けたら、教えてください。
ビッグボアを狩ったときのように、落とし穴に落とします」
ボクは次の作戦を言います。
「ミイはボクの合図で、ベアを攻撃してください。
シアは落とし穴の手前で、すぐ動けるようにしておいてください」
ボクは二人にそう指示しました。
「「──はい 」」




