第二十五話 シアの武器とクエストに行こう
6月19日 誤字の修正をしました。
7月20日 誤字の修正をしました。
シアの武器を見せてもらったのですが──ちょっと性能が低い気がします。
【片手斧】 扱いやすく、林業の人たちにも人気の斧。 ATK+10 ランクD レア ★★
材料は鉄でしょう。このリアルワールドは変なところで『ファンタジー』です。その証拠が『鉄に五鉱あり』です。内訳は……
軽鉄鉱・重鉄鉱・鋭鉄鉱・斬鉄鉱・砕鉄鉱
の五種類になります。この五鉱は鉄のみで、他の鉱石では見つけられてません。これを発見したのは、βテスターたちです。
主な使用先は、軽鉄鉱は軽戦士、重鉄鉱は重戦士の防具が主な加工先です。
鋭鉄鉱はレイピア・槍などの突き刺す武器に、斬鉄鉱は剣・斧などの叩き切る武器に、砕鉄鉱はハンマー・メイスなどの鈍器に使われています。
シアの武器は片手斧をベースにしようと思います。〈鍛冶〉をほとんど行っていないので、きちんとしたモノを作れるか心配です。
カンカンカン──
個室内に金属音が響きます。〈鍛冶初級キット〉を使う作業は、初めての気がします。
肌に感じるのは、今までにない熱気。金属武器を作るのは、思った以上に大変です。
【斬鉄のインゴット】 斬鉄鉱を鍛錬したインゴット。斬ることに特化した武器に向いている。 ランクD- レア ★★
これは──一応成功しましたよね?
それから、いくつものインゴットを手作業で作ります。最終的にはなんとか満足いくモノが出来ました。
【斬鉄のインゴット】 ランクC レア ★★
これ以上の品質のモノが出来ないのは、ボク自身が鍛冶に慣れていないからでしょうか?
頑張ってインゴットを叩き、斧の形に成るように叩きます。
「ふぅ──結構大変な作業ですね」
形作るのも大変ですが、叩くのにかなりの力が要るので、鍛冶職人が〈力上昇〉などのステータス上昇スキルを持つ理由が分かりました。
悪戦苦闘しながら完成させたのは、お世辞にも立派とは言えないものです。
【片手斧】 ATK+12 ランクD+ レア ★★
市販のモノより少し性能がいい程度のモノでした。
これは納得出来ないので、自己流でいこうと思いました。
まずは、アーツ〈粉砕〉で斬鉄鉱を砕きます。鍛冶場は個室内で別に分けられているので、大きな音を出しても周囲に迷惑はかけません。
次に砕いた斬鉄鉱を、更に粉々になるまですり鉢でゴリゴリします。粉にしたモノを水に入れ混ぜ合わせます。すると浮き上がるモノと、沈むモノの二つに別れました。
使うのは沈んだ方の斬鉄鉱になります。そちらの方を選んだ理由は簡単で、少しでも質の良いものを使うためです。
〈錬金術〉ですれば楽に思われますが、錬金術の純化は──『単純にする』──だけなのです。
そのようにして回収した粒を〈錬金術〉でインゴット化して、高純度インゴットを作成しました。
【斬鉄のインゴット・高純度】 さまざまな方法で高品質上昇を試みたインゴット。 ランクC+ レア ★★★
〈錬金術〉のアーツの一つ『再構成』を用いて、武器を作ろうと思います。この再構成には幾つか制約があり、『素材の性質を引き継ぐ』と言うものがあります。これは簡単で、『鉄は金には成らない』というものです。
一番大きな制約は『詳細なイメージが形作る』というもので、具体的に想像しないといけない点が、錬金術が嫌われている理由の1つです。
ボクは限界まで集中し、斧の作製をします。二十分ほど集中して完成しました。
【片手斧・斬】 特殊な技法で作られた、真似の難しい作品。刃の部分と軸部分が一体となっているので強度が高い。 ATK+50 ランクC+ レア ★★★☆
先に作製した斧と比べると、四倍以上の数値になりました。それでもATKは、プレイヤーメイドのものより+5高いくらいです。もう一本作製出来たら、シアに使い心地を聞きながら、微調整しましょう。
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「シア、斧が出来たので最終チェックをしてもらっていいですか?」
「本当!? 持ってみるわ!」
シアは膝の上で撫でていたリュオを、ミイに渡しました。鍛冶場にいないと思えば──大人しくしていたのを五月蝿く言う必要はないですよね。
両手に持った斧を縦横無尽に振り回しています。ステップやジャンプを使い、攻撃時の違和感がないかを念入りに確認しています。
「~!! マオ! スゴくいいよ♪ 前のと全然使い心地が違うわ!」
「それでは、持ち手の微調整をしましょうか──」
シアに何度もグリップを握ってもらい、微調整は終われば残していた鋼糸布をグリップに巻いて完成です!
【斬撃斧 マオ印】 片手斧・斬を個人特化させた為、使い心地アップ! 左専用と右専用になっている 。 ATK+55 シア専用 ランクB- レア ★★★★
ユニーク装備──二つ目です!! オーダーメイドなら当然なのでしょうか? 今度、ユウキに聞いてみましょう。
「これでバッチリですね! ではギルドに、クエストを受けに行きましょう!」
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ギルドに向かう道中、シアに『ギルド登録』の確認をしたところ、まだでした。
ギルドに入ると、一瞬ボクに視線が集まります。ガンツとのPvPが原因でしょう。
シアにクエストの確認中に登録するように言うと、掲示板に行きます。
「今回はどこにいくの?」
「──そうですね、ん? コレは良さそうです!!」
ミイの質問に答えようとした時に、ボクの目はあるクエストを見付けました。
「東の森に行きましょう。これを見てください」
ミイに渡したのは『ベアの討伐クエスト』です。
「ベア? クマだよね?」
「はい、そうです」
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【ベアの討伐】 東の森で繁殖しすぎたベアを討伐して欲しい。
五体で八〇〇〇G 以降一体毎に千Gを支払う。五体毎にクエスト一回のクリアとする。
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「クマと戦って、大丈夫かな?」
「ユウキたちも、その森で戦っているそうです」
「~ん? なら、大丈夫かな?」
ボクたちが相談していると、シアが戻ってきました。
「早かったですね。試験はなかったのですか?」
シアは頭を捻り、こう言いました。
「マオたちのパーティーに入るって言ったら『なら大丈夫ですね♪』って返事だったの──」
悩むより『まあいいか』と考え、クエストの受付を済ませギルドを出ました。
「それでは、東の森に向かいましょうか」
「「は~い‼」」
二人の返事を聞き、街を出ます。




