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ありえない生産職~あんたが生産職なワケがない!!~  作者: 四宮 皇季
序章 生産者 マオ冒険します!
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第二話 選んだスキル

 6月2日 御指摘いただいた部分の修正をしました。


 6月7日 性別自動補正─について御意見がありましたので、補足文を足しました。


 6月16日 マオたちの姿の描写を加えました。

      誤字の修正をしました。


 6月19日 誤字の修正とマオの身長に関する一文を加えました。


 6月22日 時間の設定を『15分→三〇分』に変更しました。


 7月2日 本文の改稿と、加筆を加えました。


 7月20日 誤字の修正をしました。


 8月31日 修正をしました。


 H28年12月7日 本文の改稿を行いました。


 H30年4月20日 誤字の修正と改行を行いました。

 光が収まったとき目の前にあったのは、噴水のある広場です。


 大きさは学園の校庭くらいで、広場中央にある噴水からは水が吹き出し、アーチを描きながら周囲に飛沫を飛ばしに虹を生み出しています。


 ボクは周囲を見回すと、今いる場所は広場の奥に当たる高台であり、背後にはとても大きな建物……"ザ・お城"がありました。


 イメージとしては、某ネズミの国にある"シン◯レラ城"が近いです。


「──たしか王城の反対側に”教会”があるのでしたよね?」


 ボクはお城を背にして、噴水から向こうの景色を眺めました。


 1本の大きな街道が走り、ここからは見えませんが城門まで続いているのでしょう。


 高台の端により見ている広場は、たくさんの人がいて、彼らがプレイヤーなのか、NPCなのかはわかりませんが、休日の繁華街を彷彿させる光景です。


 噴水を囲む地面は石のレンガで敷き詰められており、小説などでよく時代背景として使われる"中世ヨーロッパ風"なのでしょう。


 広場と街を別ける区切りは腰くらいまである植木が仕切っていて、その奥に建物が並んでいます。


 広場内にある芝生の近くには出店が並び、美味しそうな匂いで人を呼び込み、縁日の様な活気を生み出しています。


 ギュウギュウに人の詰まった広場を見ていると感心のあまり「──流石、初日だけはあります」と呟いていてしまいました。


 その感動を邪魔するように、不粋な音が響きました。



 ──ピピピ……



 ──電子音です。ボクの胸の辺りにウィンドウが開き、そこには"コールマーク"……『受話器マーク』が出ています。


 ボクは教わった手順を思い出そうとしたのですが、感動のあまり"ド忘れ"してしまい、指はフラフラと空中をさ迷います。


 どうにでもなれ!っと『ポチッ!』ウィンドウを押すと、画面が切り替わり『ユウキ』の文字が表示されました。


 その文字をもう一度押してみました。



『──おう! 無事にキャラメイクが終わったんだな。俺たち三人は今、教会に着いたところだ』



 ボクが見ている範囲には教会の『き』の字すら見当たりません。


 ユウキから教わった特徴は、『屋根の上の十字架』だったハズです。


「どこ行けばいいのか……わからないのですが……」


『「マップオープン」と言ってみろ』


 ユウキの言葉に従い「マップオープン」と言ってみると目の前に、A4サイズのマップが現れました。


 このゲームには音声認証もあるようです。


『”検索:教会”で目の前に矢印がでるから、その方向に向かえばつくぞ』


「”検索:教会”……場所が分かったので、そちらに向かいます」


 ボクの目の前には赤い矢印が浮かび上がり、行き先を示してくれます。


 道中、いろいろな露店に目を向け眺めたり、美味しそうな匂いに釣られそうになりました。


 広場から歩いて5分、教会らしい建物が見えてくると、見知った顔が立っていました。




「──ユウキ、リオ、サキ………お待たせしました!」


 3人はリアルの顔より、ランクアップしているように見えます。まあ、元々イケメン、美少女といわれる彼らです。


 ユウキの姿は燃える様な紅い短髪、整った顔立ちには『爽やかさ』がプラスされ、さらにイケメン度が上がってます。


 防具はおそらく皮の鎧でしょう。茶色のレザーっぽいです。



 リオはライトグリーンの肩にかかるくらいの長さ、ショートボブ? という髪型です。


 学園外まで知られているその美貌は静かさを加えた、クールなイメージです。


 防具は皮のドレスっぽく、丈は膝上くらいです。ズボンは綿でしょうか?



 サキは薄いピンク……サクラ色に近い髪を肩の辺りで左右に分け、肩の辺りで結んでいます。長さは胸くらいです。


 顔に関しては、普段より二割増しでポヤポヤ、現実より天然さんが強調されてます。


 まあ……ある1部も──ゲフン!  防具はローブで、薄い緑色をしています。




「「「………………………」」」


「どうかしましたか?」


 ボクは固まって動かない三人に声をかけます。


「なあ、マオ……何時から”女の子”になった?」


 ユウキがいきなり失礼なことを言い出しました。確かにボクは高校1年にしては低く、135cmくらいで、童顔……少々、女顔ですが……歴とした『男』です。


 でも何故か『男の娘』と言われてしまいます!!



「ユウキ……あまり「ねぇねぇ! コレみてよマオ!!」……何ですか?」



 リオがマオに見せたのは、”美少女”いえ”幼い美少女(・ ・ ・ ・ ・)”の写った写真? でした。


その写真に写っていた姿は、腰まで届くストレートの長い銀髪、その銀髪から飛び出した銀毛のキツネ耳、リアルと寸分違わない丸みを帯びた顔、大きな瞳に小さな唇……パッと見、女の子と言われても不思議ではありません。


 ボクは特殊な体質の持ち主で、それが原因となり背が低いらしいです。もっとも、これほど幼い少女に見えるのは予想外だったです。


 振り向くと、お尻では銀色の尻尾が所在なさげに揺れてました。

 

「………………………………」


 現状のボクは”開いた口が塞がらない状態"を実演しています。


 妹のハルなら、この姿を見て納得……いえ、飛び掛かってきたでしょう。ボクは、納得しませんからね!!


「さっき、スクショで撮ったけど……どこから見ても『女の子』よ♪」


 清々しいキメ顔で言うリオに、ボクは orzになってしまいました。凛々しい雰囲気を出そうとしている顔と正反対に、ワキワキと動く手をどうにかして欲しいです。(ハッキリ言って、怖いです!)


 地面に突っ伏しているボクを放置して、3人は”ある仮説”を話しています。その内容は”自動補正”についてです。


────自動補正────────────


 このゲーム【リアルワールド】では、性別という概念は外見(・ ・)レベルの認識でしかありません。


 登録時に使用する顔写真から自動で読みとり、AIが管理・判断するそうです。


 従って、ボクのように『女性顔』とAIに見られると、外見が女性に近づきます。逆に『麗人』といわれるくらいイケメンっぽい女性も同様に男性っぽくなるそうです。


 これは、全年齢対応のゲームなので、18禁的な要素は存在しないことが原因の1つであるそうです。


 ボクのアバターが"男の娘(・ ・ ・)"になっても、そのことが人体──主に、脳が過剰なストレスを感じたりはしないそうです。その点には安心しました。


 ちなみにネカマなどは不可能とのことです。唯一の例外がボクのようなタイプだけという話です。


 この様なことが起きてしまうのは、医療用機器をゲーム仕様にシステムチェンジした際、先ほども上げた"18禁要素"を不可能にした方が、サーバーにかかる負荷を半減させられることが要因らしいです。


 ちなみにボクの体型は"ストン"としています。決してドラム缶ではないです! 若干……膨らんでいます。

──────────────────────


 「だから多分”自動補正”がかかったのだろう。

 ──それが、思いっきり『女』の方に。

 ───身体には影響がないらしいから、楽しんだらどうだ?」


 ユウキがそう言いますが、そう簡単に立ち直れないです。


□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■


 あれから10分ほど凹みましたが、何とか『諦め』ました。自動でかかるなら『どうしようもない』と思ったからです。


 おそらく、何度やり直しても、結果は変わらないでしょう。


 「すみません……もう大丈夫です。時間を無駄にさせてしまいましたね」


 「「「気にするな(しないで)」」」


 3人のお陰? で立ち直ったボクは、本日の目的の確認に取り掛かりました。


 「今日は、何をするのですか?」


 「まずは、基本の確認からな──

 この世界『リアルワールド』は、以下の通りになる。


 1・この世界の1日は、現実の『30分』である。


 2・ステータスというパラメーターはなく、スキルによって力が上がったりする。


 3・この世界では、『プレイヤーキラー(PK)』や『モンスター()プレイヤーキラー(PK)』は不可能(・ ・ ・)である。


 4・この『リアルワールド』にはメインとなる”グランドクエスト”とかはなく、自由に行動できる。


 他にも細かいところがあるが、この4つは覚えとけよ?」


 この4つを覚えておけばいいそうです。ユウキが覚えられる以上、楽チンでありがたいです。


 基礎的な設定の話がすめば、次はスキル構成の話です。


 「まず、俺からだな。スキル構成は、<槍術> <盾術> <STR上昇> <VIT上昇> <鎧装備>で、タイプとしてはディフェンダー寄りになる」


 ユウキはそう教えてくれました。『盾』もしくは『肉壁』という判断でいいのでしょうか?


 「私は<剣術> <鎧装備> <回避> <ステップ> <STR上昇>よ!」


 リオは、一撃離脱のアタッカーの仕様ですね。現状の服装では"暗殺者(アサシン)"が近いイメージですね。


 「次はわたしね! <火魔法> <光魔法> <杖装備> <服装備> <魔法才能>になるわ」


 サキは、マジックユーザー? もしくは、マジシャンのようですね。最後はボクです。


 「ボクは<木工> <調合> <鍛冶> <細工> <魔法才能>です」


 ボクの言葉を聞いた3人は、声を合わせてこう言いました。


 「「「ありえない!!!!」」」


 何がいけなかったのでしょうか? 首を傾げながら聞いてみると、こんな答えが返ってきました。


 「生産職はお金がかかりすぎるんだ」


 と、ユウキが教えてくれました。そんなにかかるモノなんでしょうか?


 そう思っていたボクが浅はかでした。


 支給金:2000(ギータ)


 木工初級キット:300G


 調合キット:400G


 鍛冶初級キット:500G


 細工初級キット:600G


 残金:200G



 キット購入だけでこの値段でした。


 唯一の救いは”キットに耐久度がない”という点でしょうか? 


 これに素材費を入れてたら、もっと酷いことになりそうです。


 「結構Gがかかるのですね……」


 「もう……説明書を読まなかったの?」


 リオの言葉が痛いです……。まあ、読んだ上でこのスキルを選んだので、言い返せないのが辛いところですが……


 「仕方ないさ。マオの突拍子のない行動は、昔からなんだからなー」


 突拍子もないの代表格、ユウキにもこんなことを言っわれました。その言葉をそっくりそのまま、言い返したいところです。


 「生産職ってことは、わたしたちのバックアップもしてくれるのよね?」


 「一応ですが、その予定です。ただ、マイペースで進めるつもりなので、現状パーティーやクランなどは入らない予定です」


 「そうなんだ~。ちょっと残念だけど、たまにパーティーを組んだりはしてくれるよね?」


 サキはボクの考えを理解してくれたようですね。3人ともボクの妹のことを知っていますから。


 必要なことを確認しながら、リアルでは出来ない”ものづくり”を楽しみたいと思いました。


 「ええ。材料を手に入れたら、リングや杖とかを作りたいですね」


 「スキルの上昇は無いだろうが、戦闘を体験しておく方が、いざという時に役立つだろうから行こうぜ」


 ゲーマーである以上、少しでも早くレベル上げをしたいのでしょう。うずうずしている空気を感じました。


 「そうね。行きましょ♪」


 サキは楽しそうに、杖を弄っています。ユウキからパーティー申請が来たので「Y」を押し加わりました。


 「あっ! じゃあ、先にお願いしておこうかな? 今日の冒険で材料を集められたら、『杖』を作ってくれないかな?」


 そういうサキの杖を見せてもらうと、説明が出てきました。ユウキに確認すると、対応したスキルを持っていると、見えるそうです。この場合は〈木工〉が、それに当たるのでしょう。



 【杖】 何の変哲もない、木の棒を削っただけのもの。 ATK+1 MATK+1 レア ★



 こう出ていました。武器だけは<武器スキル>を選ぶと、初期装備が貰えるみたいです。


 二人に聞くと、威力は最低ですがそれでも『ATK+2』はあるそうです。


 そんな風に色々な話を聞き、確認を加えながらスキルに関しての情報を仕入れます。


 「わかりました。材料が手に入ったら、作ってみます」


 そう言いながら、街の入り口に向かい歩きます。


 このときのボクは、戦闘方法が『変わった』ものになるとは思っていませんでした。

 マオ


 スキル <木工> <調合> <鍛冶> <細工> <魔法才能>

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