第十九話 岩山での出会いと共闘
6月16日 誤字の修正をしました。
6月22日 誤字の修正をしました。
7月20日 誤字の修正をしました。
あれから一時間ほど歩き、岩山の麓に着きました。現在いる場所は、森と岩山の麓の丁度境目になります。
「結構大きな岩が転がっていますね……」
目に見える範囲で一mほどの大きさの岩が、十数個目につきます。ただ……ボクの目には異常に映ってしまったのです。
気になってしまった以上、確認をしないと気持ち悪いです。
「ミイ、すみませんが『あの岩』に〈鑑定〉をかけてもらえますか?」
そう言いボクたちに一番近い、五mほど先の大きい岩を指差しました。
「──わかったよ。──〈鑑定〉──」
鑑定していただいた内容がこちらです。
【ロックス】 攻撃手段を持たないモンスターだが、その外皮は岩のように硬く、簡単には倒せない。攻撃できない反面、守りは堅い。 ランクC
やはり、モンスターだったのですね……。感じたのは、見落としそうなほどの小さな違和感でした。おそらく、このエリアに来たプレイヤーは最初はなにもない場所と勘違いし、目に見えるモンスターに意識を奪われてしまうのではないか──そう仮説を立てました。
「これってモンスターだけど……動かないね──。どうする?」
ミイが確認してくるので、ボクはあることを試してみました。
「ミイ、ボクにスキル〈付与〉のアーツ『アタック』を、かけてもらえますか? あることを試してみます」
「──いくよー『アタック』」
ボクの身体を光が包み込み、ほのかに光っています。
「──よっ!」
目の前にいたロックスをなんとか、持ち上げて別のロックスにぶつけました。
ガコォォン!!
ぶつかったロックスたちは、大きな音をたてて割れました。結構簡単に、持ち上げられましたね……。
【ロックスを撃破しました。それぞれ50CP獲得しました】
「案外……簡単に終わりましたね。ぶつければ一回で戦闘終了ですか──」
「──弱いモンスターなのかな?」
ミイはそう言いますが、普通に戦ったら……苦戦するように思います。
「ランクCであるくらいです。守りに関しては、強いモンスターであると思います」
ボクの言葉の通り、後日ユウキに確認したところ……強いモンスターで、〈武器スキル〉のレベルが上がりやすいそうです。
【ロックスの核石を入手しました】
早速入手した【ロックスの核石】を調べました。
【ロックスの核石】 その名の通り、ロックスの核であり、心臓となる要石。さまざまな鉱物が核石となる。※鉄鉱石 (ランダム) ランクC レア ★★
「──ミイ──ロックス狩りです‼」
キョトンとしているミイに、理由を話すと喜んで探し始めました。アレ・コレ・ソレ・アッチも──ロックスを発見次第ぶつけて倒します。
ボクは鉱物が手に入り美味しく、ミイもスキル〈付与〉を使い続け──スキルレベルも鰻登り、〈魔法才能〉のレベルも今日だけで結構上がりました。テイムしようとしていた、ゴーレムの存在を忘れたまま……ボクたちは、ロックスを探し続けます。
【ロックス百体を一撃で倒しました。称号と特殊能力を贈ります】
「…………………………………」
【称号〈投げる人〉 特殊能力〈身体能力強化・微〉を入手しました】
「マオ、どうしたの?」
「称号とスキルを入手しました。何かしらの補正でもあるのでしょう──」
確認した称号とユニークスキルは、かなりのものでした。
称号〈投げる人〉 スキル〈投擲〉を持たずに、モンスターを百体倒した者に与えられる称号。〈投擲〉と同様の効果がある。
ユニークスキル〈身体能力強化・微〉 身体中から力が溢れてくる。 この効果は重複する (現在は一%)
これは役立つものを、手に入れられたようですね。ボクは入手したモノを眺め、ミイに入手した称号とユニークスキルを話しました。
もちろん、他の人に話さないように注意もしています。
それからも、『ロックスを見つける→倒す』の流れで、不安定な足場でバランスを崩さないように、注意しながら倒していきました。
それは、遠くにいました。本来の目標を見つけました!
ゴーレムの大きさは大体五~六mと言ったくらいでしょうか?頭だけでも一mに近く、腕は三m、足も2m近いです。そのゴーレムの手も、ボクでは簡単にペシャンコになってしまいそうです。
しかしゴーレムの行動をよく見ていると、何かと戦っているように見えます。
ゴーレムはその大きな手を握り締め、とても大きなトカゲと戦っています。戦っているのは、体高五m・全長は七mくらいの大きさになります。
よく見ると、トカゲの姿は図鑑で載っていた『恐竜』のように見えます。ミイに確認して貰いました!
【ロックリザード】 リザードの亜種に当たる。皮膚が通常のリザードより硬く、その皮膚は皮鎧にピッタリである。 ランクC+
「ロックリザードですね。皮鎧にいい素材らしいです」
「それはいいですね! ソレで作った防具をユウキたちに、高値で売ってやりましょう(笑)」
そうボクは笑いながら、意識を戦いに向けました。ミイには、なるべく離れた位置から援護に徹するように、お願いしました。
「じゃあエンチャントをかけるね♪ 『アタック』『ディフェンス』」
ミイが今回のロックス狩りで上がった、スキル〈付与〉のアーツ『ダブル・エンチャント』です。
ボクは身近に転がっていたロックスを持ち上げ、ゴーレムの頭に向かって投げました!
ゴガァァァァン!
大きな音と共に、ゴーレムにぶつかったロックスは倒れ、ゴーレムにも少なくないダメージが入ったようです。
ボクに向いた意識の隙をロックリザードは突き、体当たりをかまします。ひょんな所からボクとロックリザードの共闘が、始まりました。
『ガアアアアアァァァァ!!』
ロックリザードは、咆哮をあげ気合いの入った一撃を、ゴーレムに繰り出します。ゴーレムは前後より、隙を突いた攻撃を受け徐々に体力を減らしていきます。
ボクがロックスをぶん投げ、ロックリザードが此方に意識が向いたゴーレムに一撃を加え、ロックリザードに意識が向いたらボクの攻撃が当たる────ある意味では、正に『悪夢』と言えるのでしょう。
ミイに関しては、ボクにかけたエンチャントが切れる度に『ダブル・エンチャント』をかけてくれました。
静かな岩山に広がる重低音……
「¥#~@%$+¥-$#>}~>#¥~#¥}$」
ゴーレムから変な音が響きました。徐々に動きが遅くなるゴーレム。
体表にヒビが入り、それが少しずつ広がっていきます。ゴーレムの姿が消えたときには、戦闘開始から二十分以上経っています。
ボクが投げたロックス──百体くらい?
ミイのかけたエンチャント──MP回復薬三十本分くらい?
得たモノ
ボク──称号〈投擲王〉
ミイ──称号〈支援王〉
絆
ロックリザードの信頼?
戦闘終了後に、ロックリザードは息を引き取りました。その際、ボクの目をロックリザードが見つめた……気がしました。
彼女?の消えた跡には、卵が一つありました。




