第十八話 〈調教〉というスキルについて
6月16日 誤字の修正をしました。
6月22日 誤字・脱字の修正をしました。
7月20日 誤字の修正をしました。
洋服店『ランドリーク』で僕自身知らないうちに、服革命を起こした翌朝、僕とミイは朝のバザーを見に来ていました。
「──人で溢れかえってますね……」
「ホントに凄い人だね♪ 私初めて見るよ──」
この街は王都と言うだけあってか、東京などの街中みたいにたくさんの住人がいます。
「ねぇ──マオ、あれを見て──」
ミイの指差す先には、魔獣の『モーギュー』がいます。その隣には、白い髭のお爺さんがいます。ミイを見ると頷いたのでお爺さんに近付いて行きます。
「──すみません」
「どうしたのかね? お嬢さん方……」
「ここにいるモーギューって魔獣ですよね?」
そう言うとお爺さんは、納得したように頷きました。
「──確かにモーギューは魔獣の一種だ。しかしの、モーギューはとても大人しい魔獣で、昔から飼われていたのだ……」
そしてお爺さんは、「手を出さん限りはの──」と笑っていました。もしかすると、モンスターテイムの方法がわかるかもしれません……。
「お爺さん──もしよければ、テイムの仕方を教えていただけませんか?」
ボクの言葉にお爺さんは、笑いだしました。
「本当に面白い嬢ちゃんじゃな! ワシに聞かずとも──ギルドで教えてくれるぞ?」
そうお爺さんは言いますが、ボクには何故か『お爺さん以上のテイマーはいない』と分かってしまいました。
しばらくお爺さんはボクたちを見つめ、一息つきました。
「何故……知りたいのだ?」
ボクは心のうちを打ち明けました。
「ボクは『ペット』が欲しいのです! 強い子や、可愛い子、モフモフした子とか欲しいのです‼」
ボクの言葉にお爺さん、は面食らったようです。
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お爺さんから『テイム』の仕方を教えていただけることになりました。
「──まず、お嬢ちゃんたちはスキル〈調教〉を持っておるか?」
お爺さんの言葉に二人とも頷きます。ボク自身は持ってなかったので、SPを消費してスキルを獲得してあります。
「次に必要なのは──鞭か笛が一般的じゃな──」
二人とも両方持ってません。ボクたちの反応を確認したお爺さんは、質問してきました。
「お嬢ちゃんたちは、〈魔法才能〉というスキルを知っているか?」
その質問は頷きます。ボクは生産のために、ミイは魔法で必要なので持っています。
「──実はこのスキルは、LV15で『魔力視』、LV20で『魔声』を覚え、このアーツが笛の代わりを務めるのだ。
まだレベルが足りないなら、鍛えておくといい」
お爺さんはそう言って笑っています。
「その『魔声』というアーツですが、どのような使用感なのですか?」
そうお爺さんに聞いたら、簡単そうな感覚でした。『喉元に魔力を集め、声にその魔力を乗せる』感じらしいです。
試しに、イメージをして行ってみます。
『座りなさい』
ボクがそう言うと、モーギューはその場に座りました。
「おう。お嬢ちゃんは若いのに才能あるんだな!」
才能じゃないんです──チートな存在なんです(汗)
「こうやって、命令をするわけですか?」
「そうだ。ただ……モーギュー以外の魔獣は強いものにしか従わない。魔物も同じじゃ。『強さで従え、力をもって服従させる』ことになる。
だから、常に研鑽することだ」
お爺さんはそう言うと、帰り支度を始めました。ボクたちはお爺さんにお礼を言いました。
「──マオ、これからどうする?」
「それですが、一度ギルドに行って情報を入手しようと思います」
現在はギルドに向かって、移動しています。テイムするモンスターについて、ミイは何か決めているのでしょうか?
「ミイは、何をテイムするのか決めているのですか?」
「私は空を飛ぶモンスターを、テイムしたいの……」
空を飛ぶモンスターですか──
「ハーピーや、バード──あとは、ドラゴン系でしょうか?」
結構早くギルドに着きました。お爺さんの露店が中央広場に近かったからでしょう。
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「すみません……街の近辺で空を飛ぶモンスターはいますか?」
受付嬢はまたも登録をしてくれた女性でありました。
「飛行系モンスターの生息場所は、西門から出た先にある岩山にハーピーが、山の麓にはゴーレムが現れます。
ただ、十個のスキル平均が十五~二十が適正となりますので、低いうちはお気をつけください」
「有難うございます」
ボクはお礼を言うと、ミイと一緒に西門に向かいました。
「岩山の方に向かうの?」
ミイは心配そうに、ボクに聞いてきます。
「岩山は平均が十五になったら、行きましょうか? 今回は山の麓で『ゴーレム狩り』をしようと思います」
「ゴーレムのドロップが目当てなの?」
確かにゴーレムのドロップも魅力的です。
「ドロップより、ゴーレムそのものが目的になります。今回の目的は『ゴーレムのテイム』です。
まあ、可能だったらの話ですけど──」
ボクはミイにそう話しながら、ポーチの中身を準備しました。
目的地に向かう間、話をしながら公式サイトの『スキル詳細説明』やプレイヤーの立てたスレッドを見たりして、〈調教〉の事について情報を集めました。
「ミイ、〈調教〉がなぜ不遇の扱いなのかわかりました──」
「それって──やっぱり『テイムしにくい』とかかな?」
「それもあるのですが──一番大きい短所があったんです」
ボク自身も落ち着くため、深呼吸します。
「──パーティーメンバーの枠を使うことです。ミイも知っているでしょうが、メンバー枠は六名までです」
「うん。知っているよ、規定人数を超えると、ぺナルティが発生するんだよね?」
ミイの言葉にボクは頷きます。そのペナルティが不遇扱いされる理由なのですから。
「もう一つ、レベルが上がりにくいそうですよ」
ボクとミイは話しながら、のんびりと歩いています。




