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ありえない生産職~あんたが生産職なワケがない!!~  作者: 四宮 皇季
第一章 マオはペットが欲しいです!
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第十七話 マオ、服で革命を起こす

 6月16日 誤字の修正をしました。


 6月18日 誤字の修正をしました。


 6月22日 誤字・脱字の修正をしました。


 7月20日 誤字の修正をしました。

 ギルドを出たボクたちは、噴水のある中央広場の右手の商店街で、開かれているバザーを見ています。夕焼けが通りを照らしてある意味、幻想的です。


 「結構お金が入ったのは、嬉しい誤算ですね」


 クエストの『ボア討伐』では、五体分の証明部位でも一万Gにしかなりません。それが──運よく南の平原のボスモブを倒したことにより、十一万もの大金を手に入れました。

 ミイにお金を半分渡そうとしたのですが、「装備の代金とか──」と言われ受け取ってもらえませんでした。それでも、無理矢理一万Gは受け取らせました。


 「うん♪ うん♪ そうだね!」


 ギルドを出てからのミイは、何故か上機嫌です。──なぜでしょう?


 「しかし……この通りには沢山のお店がありますね~」


 くだものを売っていたり、野菜を売っていたり、布を売っていたり……目移りしてしまいます。


 「──布? そうです! 寝具……寝巻きを作りましょう!!」


 「──ん~じゃあ、布を買うの?」


 ミイの言葉に頷き、布を置いている露店を見るのですが──。


 「……肌触りが悪いですね……」


 ボクの言葉を聞いていた店主は、「露店で売っているのは、簡単に手に入るものばっかりさ! もし、もっと上質な布が欲しければ家の店に来い! 納得するかわからんが、上等なものもあるぜ!!」と言ってお店の場所を教えてくれました。

 ミイと共にその場所に行ってみたら……。


 「これって貴族向けのお店ではないのでしょうか?」


 「なんか……すっごく、派手だね……」


 場違い感がかなりあります。このまま入って……いいのでしょうか?


「おや! 先程露店にお伺い頂いたマオさまですね。お待ちしておりました」


露店の店主のお父上でしょうか? どこか似た雰囲気を感じます。


「はい。露店の店長さんより紹介に与りました、ボクはマオ、隣の彼女はミイです」


ボクたちは一緒にお辞儀をします。男性は豊かなアゴヒゲを撫でながら、笑いました。


「これはこれはご丁寧に。わたしはこの店『ランドリーク』の店長リークスと申します。

お二人のことは息子より聞いております。どうぞどうぞ店内にお入りください」


ボクたちはリークスさんに案内され、お店に入りました。このお店の外見ですが、赤いレンガを積み重ねたヨーロッパぽいイメージです。大通りに面する側には大きなガラスがはまり、外からの光を取り入れています。

店内に飾られている服は、金糸の刺繍がしてあったりして──パッと見豪華です。──まあ、値段も相応ですが……。


「ボクたちがこちらに来た理由の方は……聞いていただいてますか?」


「ええ! 息子より、手触りのよい布地を、お探しだとか──」


「露店の方で見せていただいたものは、コスト優先のもので──今回こちらにお伺いしたのは、肌着──正確に言うなら『寝巻き』夜寝るときに着る服を作るためです」


ボクの言葉を聞いたリークスさんは、不思議そうに顔を傾けました。


「──あの~もしかして、リークスさんの奥様はこうダボッとして下の方がキュっとしたものを着ていませんか?」


名前を思い出すことが出来ませんが、中世ヨーロッパはそのような服を着ていたように思います。


「ええ。その通りです。それ以外の服は知りませんね……」


ボクはリークスさんに近より、こう聞いてみました。

「その服装で『夜の営み』を迎えて……昂りますか?」と囁くと、リークスさんは「──あははは……それはその──ゴニョゴニョ」と言葉を濁していました。


「──という訳で、女性の魅力を引き出す衣装があれば! 女性のみならず、男性の方も張り切って(・ ・ ・ ・ ・)しまうのではないでしょうか?」


ボクの言葉にリークスさんの瞳は、商人のソレになっていました。


「どのようなモノですか?」


「釣れた!」そう心の中でガッツポーズをします。


「この店で『手触りのよい生地』で極薄のものがあれば持ってきていただけますか?」


ボクの言葉を聞いたリークスさんは、店員に指示をだしました。


「作業場にご案内いたします。一通りの道具はあるので、作業はすぐに出来ると思います」


「──感謝します。出来ましたら奥様か、人妻の店員を呼んでいただけませんか? 完成したものを女性視線で、見ていただきたいのです」


「妻は後ろの方で作業を行っていますので──」


そのとき丁度、生地を持った店員さんが見えました。


「──ミリンダ、君にマオさまがお作りになった服を、旦那のいる女性の視点で見てもらいたいのだ。オリーブも聞いておったな?

二人の眼で、使えるものか判断してほしいのだ。二人の意見次第では、マオさまにお願いして──この店で販売しようと思うのだ」


ミリンダと呼ばれた女性と、奥様らしいオリーブさんがボクの前に来ました。


「──夫のリークスに、新しい衣装のアイデアを教えていただけるようで……感謝いたします」


優雅な夫人と言うべきでしょうか?隣にいる女性は──


「リーバスの妻のミリンダです。お義母様共々感謝いたします」


リーバス?とクエスチョンマークのボクにリークスさんは、「息子の嫁です」と教えてくれました。


「ご丁寧にありがとうございます。ボクはマオ、彼女はミイです。──それでは持ってきていただいた生地を見せていただきますね」


ボクは生地を触ります。ツルッとした、滑らかな触り心地──生地の向こう側が朧気に(輪郭くらいですが)見えます。

──うむ。予想以上のものが来ました。


「次は採寸ですが……オリーブさんにお願いしてもよろしいですか?」


オリーブさんは、快く引き受けてくれました。


──────────────────────


採寸し『魔導ミシン』なるもので縫い合わせます。二時間程で完成しました。


「この下には何も履かないのですか? これは少し恥ずかしいですね……」


「そうですね……お母様。同性である私もドキドキしてしまいます……」


ボクは声を潜めお二人に、この服の使い道を教えます。


「──!! そうなのですか? 信じられませんが……その可能性はすごく高いと思います」


「──では、リークスさんを呼びますので、覚悟を決めてください!」


ボクはそう言うと、オリーブさんの返事を聞かずに、外にいるリークスさんを呼びました。


「───────────────」


言葉が出ないようです! 大成功ですね‼


「──どうです? リークスさんたちが今までどれ程、彼女の魅力に気付いてなかったか……わかりました?」


リークスさんの隣でニヤニヤと笑いながら、話しかけます。


「────いや、脱帽です。これを夜まで我慢するのは……拷問ですね──」


思惑通り事が進み、笑いが止まりません。


作成したのは、何処にでもある『ネグリジェ』です。この後の話し合いで、この服の報酬は『魔導ミシン』と他になりました。

──風の噂で、貴族たちは此処の夜着を持つのがスタンダードになったのを聞いたのは、それから一月後のことでした。

ちなみに目測の品ですが、ミリンダさんにも渡したので、頑張って下さい。

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