第十二話 可愛いは正義! その二
6月17日 誤字の修正をしました。
6月22日 誤字・脱字の修正をしました。
7月20日 誤字の修正をしました。
ボクたちはギルドに来ました。この世界でのギルドはどこか役場の受付を思わせます。一番近い受付に向かいました。
「いらっしゃいませ。ギーリス支部にようこそ!」
元気のいい受付嬢ですね。しかし── 何でしょうか? 狙われているような視線を感じます。
「ギルド登録をお願いします」
「それではこちらをご確認の上、サインをお願いします」
ボクの目の前には、ウィンドウが浮かび上がっています。
────利用規約を二人で確認し、『了承』のボタンを押します。
「登録の確認をいたしました。お客様のランクは『F』になります。ランクFは街中の依頼だけになります。街の外での依頼は、ランクEからになります。
ランクEへの昇格は、戦闘試験をクリアで昇格します。試験を受けますか?」
ミイの顔を確認したら頷いたので、試験を受けることにしました。
「──試験をお願いします」
受付嬢から白いプレートを預かりました。コレを持っていれば、試験官の方が来てくださるそうです。
「私たち……大丈夫かな?」
「何とも言えませんが、大丈夫ではないでしょうか」
昨日行ったラビットの乱獲?が脳裏に浮かびます。あの三百を越えるラビット狩りに、少々遠い目をしてしまいます。
「お前たちが、受験者か? 俺はダーツ、お前たちの試験官になる」
パッと見『ヤ』の付く人のように思えました。顔がゴツくてキズがあります。ミイは震えて、ボクの後ろに隠れています。
「はい──ボクがマオで、彼女がミイです。試験よろしくお願いします」
ボクはそう言って頭を下げました。ミイも釣られて頭を下げます。
「俺の後についてこい」
ダーツさんの後についていったら、ギルドの裏手側にある訓練所に着きました。
「ここでお前等の、適性を審査する。落ちるヤツはほとんどいないから、全力で来い!」
試験の順番は、ミイが先攻になりました。
「ミイ! がんばってください!」
「かかってこい‼‼」
ダーツさんミイに対して大声を上げ、ミイを威嚇します。ミイはその場で動かず、一息で三本の矢を放ちました。その事にダーツさんは驚きながらも、回避しました。
すかさず反撃に移ろうとして、またも回避するしかなかったのです。理由は簡単で、ミイは杖を抜き<精霊魔法>を放ったからです。
「そこぉ! 『アクアボール』‼」
「うお━━りゃぁぁ‼」
ブオン!
音を立て、ミイのアクアボールを真っ二つにします。
「そこぉ‼」
『キュイ』
そんな一進一退の数分続き、時間が終了しました。ミイに近づき話しかけます。
「文句なしの合格だ! お前の力量だとランクDでもやって行けそうに思うぞ!」
ダーツさんはミイに対して、太鼓判を押します。昨日のラビット狩り中に、才能の片鱗を感じていただけにそれほど驚きませんでした。
ダーツさんはボクの方に視線を向けていました。
「次はお前の番だ! 準備しろよ?」
ダーツさんはボクに準備をするようにいいます。
「ボクの方は問題ありません。このまま始めていただいて、構いませんよ?」
ボクは訓練所の中央に向かいます。
「装備はどうした? 着けないのか?」
「ボクは武器スキルを持ってないので、この姿でも問題はありません」
ダーツさんは何やら、つぶやいています。
「それではボクの先制攻撃で行きます」
そう言うとボクは、右手を振りました。
ダーツさんの目の前で、投げたモノは元の大きさに戻りました。
「なんてモノを──投げるん!!」
そのようなことを言われても、どうしようもないのです。ボク自身は生産職なので、使えるモノは使わないと──、いけません。
「それがボクの戦い方──なのです」
さらに追加で石を投げました。
さらにダーツさんの顔にいくつか礫を投げつけます。
「くそっ!!」
ダーツさんは剣を振り、投げた石を弾いています。同じ動作で、石の中に丸太を混ぜ投げました。
そうこうしている内に、制限時間になりました。
「二人とも文句なしの合格だ! これからもがんばってくれ!!」
「「ありがとうございました!」」
どうやら無事、二人ともクリア出来たようです。ボクたちは訓練所を後にします。
「クリア出来て良かったね♪」
「はいそうですね。これで、討伐依頼も受けられますね──」
「でもマオはいつ、あの戦い方を考えたの?」
ミイが先程のボクの戦い方について聞いてきます。
「昨日の狩りで、ミイの補佐をしていましたよね?」
ボクがそう言うと、ミイは頷きます。
「昨日の夜、装備を作成している時の休憩時に、偶々『ログ』を見てみたのです」
「もしかして─────」
「その通りです。ダメージを与えていたのです」
そう言いながらボクは「たった『一』ですけどね」と、苦笑しました。それでも大きな前進です。
戦えないと思っていたボクにも、自衛手段が見つかったのですから。このことは意外と大きいです。
「そうだったんだ~。ねえ、これからどうする?」
ミイが今日の予定を確認してきます。実のところ……何をするか考えていないのですよね────。
「そうですね──依頼で何かないか聞いてみませんか?」
ボクはそう言って受付を指差します。
「わかったよ♪ そうしようかな?」
二人して、受付に行きます。ミイは、試験が終わって直ぐから、ボクの腕に抱きついています。
二人仲良く受付に向かうと、登録をしてくれた受付嬢が丁度空いていたので向かいます。
「すみませんが、何かクエストはありませんか?」
「どのようなクエストを、お探しでしょうか?」
ミイと少し顔を合わせ、ボクは討伐系のクエストを聞きました。
「そうですね─。お二人に勧めるなら、この『ボア討伐』は如何でしょう?」
「ボア……イノシシのようなものですか?」
「はい。ただ魔獣になりますので、気性が荒く、狂暴です」
「住人に狩られたりはしないのですか?」
受付嬢は少し考えた後、こう教えてくれました。
「──そうですね『罠』を使って捕まえる、猟師の方もいらっしゃるそうです」
ボクはその言葉『罠』と聞いて、ピカッと閃きました!
次のスロットが解放されたら、技能スキル<罠士>を取ろうと思います。
「ボアは何処を住処としているのですか?」
「この南門を出て一時間ほど進んでいただきますと、平原に繋がります。その平原が住処となります。
クエストをお受けになりますか?」
隣で楽しそうにボクの腕を抱き締めているミイに、確認すると問題ないそうです。
「そのクエストを受けます」
「かしこまりました。クエストの受付をいたしました」




