第十一話 可愛いは正義!
予定より遅れてしまいましたが、投稿致します。
6月22日 誤字・脱字の修正をしました。
7月20日 誤字の修正をしました。
8月20日 本文の改稿を行いました。
9月1日 修正をしました。
完成した装備を着たボクたちは、ユウキに呼び出されて教会に向かっています。腕に抱き付いて、心配そうな顔をしています。
「あのぉ~私も一緒で大丈夫なのかな?」
ミイは今まで『死にスキル』のせいで、誰も相手にしてくれませんでした。少しずつ自信をつけてきていますが、このように怯えてしまいます。
まあ──ミオにサキがどのような行動に出るのかは『完全に理解』しているので、問題はスキルより現在の姿の方が───問題になります。
「大丈夫ですよ。ボクの友人は、ミイのことを見下すようなことはしません──」
見下したなら、地獄を見せてやります!とその顔には書いてあります。
「──うん。マオがそう言うんだから……大丈夫だよね?」
ミイがさらに強く腕に抱きついてきます。感じるのは『温かさと柔らかさ』……コレが本当にゲームなのを、忘れそうな気がします。
ボクは心配そうにしているミイの手を握ります。少し震えているようです。
「マオのお話が終わったら──どうしよう?」
「ギルドで依頼を受けてみましょうか?」
教会の反対側にある建物が、ギルドになります。このギルドには運営側の人が居て、ゲーム内でのトラブルに対応してくれるらしいです。(あくまでも"ある程度"と聞きました。:ユウキ談)
クエストの斡旋も、お願いすればスキルLVに応じて紹介してくれます。指名依頼もあるようです。
クエスト自体はボードに貼られていて、それを剥がすことで『仮受注』になり、受付で登録して『受注』されるそうです。
「私たちだけで、受けられるかな?」
ミイの心配事は、二人の姿です。ミイの頭の上では『うさミミ』がピョコピョコ動いています。──ボクの姿ですか? 現在はフードをかぶっているので、頭の上のうさミミもピョコピョコと動いてます。
「大丈夫だと思いますよ」
「そだね……試してみようか?」
二人笑いながら教会に向かって歩くのですが、先程から周りの人たちから視線を感じます。何というのか粘つくような感じです。いやらしい視線もありそうです。
「もう到着していたようですね……」
教会の前には、見知った顔が知らない防具を着ています。金属鎧を着ているのはユウキでしょうか。
「皆さん! お待たせしました」
二人の姿を確認した瞬間、リオはものすごい速度で近づいてきました。金属、おそらく鉄の軽鎧でしょうか? このままだと抱きつかれ、痛そうです。(金属鎧で)
「──────はあ─────」
ボクはミイと手を繋いでいない反対の手を、リオに向けました。思考操作を練習していたことが、こんなところで役立つとは──少々納得がいかないです。
ドゴン!!
リオはキレイに頭から丸太に突っ込んでいきました。大きな音を出した本人は、気絶しているようです。
「何処から出したんだよ!? その丸太は!!」
叫び声の主は、ユウキです。丸太を出したマオを指差して騒いでいます。
「何を驚いているのですか? このポーチから取り出しただけですよ?」
そう言ってボクは、腰に着けているポーチに手を当てました。可愛くできた自慢の一品で、触り心地も最高です。
「へ~可愛いじゃない! 何処で手に入れたの?」
サキは物欲しそうに、ボクのポーチを見ています。買ったものと思われたようです。プレイヤーメイドの装備アイテムは、ほとんど作っている人はいません。
「このポーチもボクたちの装備も、ボクが作った作品です」
その言葉を聞いたサキは、装備をじっと見つめています。本当のことなのですが、信じられないようです。彼の非常識さも、このゲーム内ではどう現れるか、親友たちといえども分からないでしょう。
「なるほどな……そのポーチには『ストレージのもと』を使っているのだろう? そうじゃなきゃ、さっきのようにパッと出せないからな」
ユウキには今の話で、大体のところを理解したようです。まあ、聞いた本人である以上、簡単に分かるでしょう。ボクから視線を逸らすと、その腕に抱き付いているミイを見ました。
「マオ──そちらのお嬢さんは、誰かな?」
「ボクのパートナーのミイです。ミイ……彼はユウキ、ボクの幼なじみにして親友です。ミイと出会えたのも、ユウキのお陰なんですよ──」
ユウキの視線から逃れるように、ボクの背中に隠れます。
「───ミイです…………」
ミイは緊張してしまったようですね。
「俺の名前はユウキだ。後ろの二人とパーティーを組んでいる。マオはああ見えて結構暴走するから、注意してくれよ?」
コン!
ユウキの兜に石が当たりました。当然その主はボクです。
「変なことを言わないで下さい。あまりそのようなことを、言わないでください」
ボクの「夏休みの宿題を手伝わない」と言うと平謝りしてきました。ユウキ自身はボクと違い現状では宿題に触ってもいないはずです。夏休みの宿題を提出しない場合、うちの学園では強制補習が冬休みまで毎日続きます。
「それで今日呼び出したのは、何かあったのでしょうか?」
ボクの言葉にハッとしたのはサキでした。
「実はエリアボスを攻略しようとしているのよ。ただ──回復アイテムがたりなくて……」
サキの言葉で、今回の呼び出した理由は分かりました。詳しく話を聞くと、草原のボスはあちこちに移動するようです。
「素材は準備してありますか? 流石に材料もないのに、すぐの準備は不可能ですから……」
そう言って確認をしました。サキは素材をアイテムボックスの中から取り出します。薬草や毒消し草など──色々混ざっています。
材料は有るのはよいのですが、流石に<技能スキル>や<鑑定スキル>がないと根こそぎの採取になってしまうのでしょう。
「──ふむ。ある分を調合してしまいますね──」
鑑定し、素材の量を確認したボクは、ショートカットの機能を使い、一括で作成しました。
「完成しましたが、ポーションが40個に毒消しが25個、麻痺消しは20個になります。
ポーションが1個50Gの2000Gになります。材料持ち込みで、半額にしましたが問題はないですか?」
「おっし。問題なし! ポーションはすべて購入だ。毒消しと麻痺消しはいくらになる?」
DOGEZAから復活したユウキが確認してきます。ボクは、ポーチから手帳を取り出し確認します。
「毒消しが店販売が60Gなので、半額の30Gで750Gになります。麻痺消しは80Gの半額で40Gの800Gですね。
総額3500Gになります。問題ないですか?」
「OKだ! 余った素材はプレゼントする」
残りの素材は『使える/使えない』を置けば、200個に及びます。──まあ、その二割は『雑草』なのですが……
「分かりました。その分を引いて、3000Gポッキリです」
【ポーション40個・毒消し25個・麻痺消し20個を3000Gでトレードしますか?】
「ほいっ……と」
ユウキが「YES」を押して、トレードが終了しました。
「これならマオたちは、何をするんだ?」
「ギルドに行って、クエストを受けるつもりです」
ボクは、これからの予定をユウキに話します。少し考えたユウキはアドバイスをします。
「なら、クエストを受け『スキルスロット解放』は必ずしろ。それが四つ目の解放ミッションになる」
「わかりました。クエストを受けます」
三人と別れ、ボクたちはギルドの前に来ています。ギルドの大きさにボクたちは圧倒されています。ちなみにリオはサキに背負われています。
「────ミイ、行きますよ」
「──────わかったよ」
二人手を繋いで、教会の反対側にあるギルドに到着しました。両開きのウェスタンドア?を開けて、建物の中に入ります。




