第十話 お揃い
6月17日 誤字の修正をしました。
6月22日 誤字の修正をしました。
7月20日 誤字の修正をしました。
8月20日 本文の改稿を行いました。
9月1日 修正をしました。
ミイに初期装備を脱いで貰い、インナーだけの姿になって頂きました。許可を得て彼女と向い合うと、その顔が朱くなっていますが、マオ自身も「顔が負けないくらいに朱いでしょう」と思っています。
昨日の内に獲得したスキル<服飾>で必要な<裁縫初期セット>からメジャーを取り出します。
「それでは、測りますね……触ってしまった場合は、その……すみません」
ドクドク心臓の音が五月蠅いです。
「そのぉ~私は、マオのこと信頼しているから、ちょ……ちょっとくらいなら……いいよ?」
このドキドキはアバターの方か、本体の方か……どうでもよいことを考えてしまってます。
「それでは………いきますね?」
「──ん」
ピクッと動くミイに、ドキドキしながら採寸をします。
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ある意味拷問と言える時間は終わりました。ちょっとしたハプニングはありましたが、想定内です。
「今から作成するので、リラックスしていて下さい。寝ていただいても構いませんよ?」
ボクは断りを入れて、裁縫作業に取り掛かります。
最初に作るのは『頭装備』の予定です。ウサギの毛皮はそのままでは小さいので、4枚ほどに<錬成>をかけてみます。
結果:ウサギの毛皮×四=ウサギの毛皮(中)になりました。
それを隣で見ていたミイの頭に当て、大まかな形を取ります。少し大きめにカットし、それを形になるように縫っていきます。
出来上がった形は、飛行帽のような耳が大きく垂れ下がった形をしています。もちろんミイの耳を塞がないように気を付けます。
フードの前面に購入した紅いガラス玉を付けます。頭頂部分に視界の邪魔にならないよう少し後ろに、レアドロップの『ラビットのミミ』を縫い付けたら完成です!
【ラビットフード】 貴重なラビットのミミを飾りに使った、贅沢な一品。 DEF+15 INT+15 セットボーナス??? ランクC レア ★★★★
結構な逸品に仕上がりました。しかし、セットボーナス???とは何でしょうか? NPCの店でも見たことがないです。
次に作るのは、肩のないワンピースです。太ももの半分くらいの丈のワンピースですけど……。それだけでは守備力に不安があるので、胸・お腹・お尻の部分は〈錬金術〉を使い、強度をあげます。
襟の部分(胸元)には、デフォルメしたウサギさんを付けます。最後にお尻の部分にウサギのしっぽを付けて完成です。
【ラビットワンピース】 ウサギの毛皮をたくさん使って仕上げた一品。可愛さ爆発!! DEF+20 MDEF+10 セットボーナス??? ランクC レア ★★★★
次に作成したのは、下半身防具でレッグウォーマーっぽいものです。脚の部分はふくらはぎから膝上までを毛皮で包むタイプになっています。
構造自体は簡単だったので、サクッと作ります。完成品を見たら「ゲートル?」少し不思議に思いましたが、「まあ、そんなものでしょう」と気にしないことにしました。
【ラビットゲートル】 ラビットの毛皮が脚を覆い、ケガを防ぐ。膝上少しまでしか長さがなく、ワンピースと一緒なら絶対領域が眩しい。 DEF+10 MDEF+8 セットボーナス??? ランクC レア ★★★★
ブーツの作成です。<錬金術>を使い鉄鉱石から鉄を取り出しインゴット化します。それを靴底として使い、ラビットの毛皮で足を包み込むようにします。
【ラビットブーツ】 ラビットの毛皮だけで出来ているように見えるが、中には鉄板を仕込まれているので、防御力は意外と高い。 DEF+8 MDEF+6 セットボーナス??? ランクC レア ★★★★
最後の防具はアーム部分になります。この部分は手を加えるところが、極端に少ないですがこれは現状では仕方がないので、そのままです。鉄を細長くした鋼糸を網目状にし、毛皮に〈錬金術〉で融合させます。
アームの長さは、手首から脇の下くらいまでにしました。
【ラビットアーム】 鋼糸を編み込んだラビットの毛皮で作られた、見た目以上に丈夫なアームカバー。 DEF+7 MDEF+6 セットボーナス??? ランクC レア ★★★★
これで頭・上半身・下半身・靴・腕と完成しました。毛皮はまだまだあるので、自分の分も作成します。マオの頭の上には狐ミミがあるのでフードタイプでは、少々問題があります。そこで思い付いたのはローブのように、ワンピースとくっつけることです!
【ラビットワンピース・ローブタイプ】 フードがワンピースと一体化した可愛いらしい一品。 DEF+30 MDEF+18 INT+15 セットボーナス??? ランクC レア ★★★★
コレですべて完了と言いたいですが、毛皮がまだまだ余ります。そこでユウキに相談してみたところ、アイテムボックスより限定的ですが、思考操作で簡単に使える『即席鞄』があることと、それ専用のキットがあるそうです。
寝ているミイを起こさないように、そっと宿を出て魔導具屋に行きました。名前はそのまま『ストレージのもと』でした。一枠100Gのモノで『五枠』のものを二つ買いました。買い物が終われば、速攻で宿屋に帰ります。
余っているラビットの毛皮を利用して、ミイとお揃いの腰につけるポーチを作成します。
まずは道具屋で買った冒険者用の丈夫なベルトにラビットの毛皮を縫い付けます。お互いのウェストも測ってあるので、ちょっと長いくらいでカットします。
次に毛皮をポーチ状に形を整えます。フタの部分にはデフォルメしたウサギを付けます。
「意外とポーチの方が簡単ですね……」
完成したポーチに『ストレージのもと』を置き、説明書にある合い言葉を唱えます。
「<融合>」
ピカッ!と光り、光が収まれば完成です。
【ラビットポーチ】 ポーチタイプの即席鞄。腰にベルトを回し止めるタイプ。 内容量 五枠×九十九 セットボーナス??? ランクC レア ★★★★
またこのアイテムにも『セットボーナス???』が出てきました。何なのかは……装備したら、わかるのでしょうか?
「う、うぅ~ん…………」
どうやらミイが目覚める時間だったようです。
「おはようございます……ミイ、完成しましたよ」
「──本当!?」
ガバァ!!と勢いよく起き上がりました。
「お着替~え♪ お着替~え♪」
嬉々として着替えるミイに驚かされながらも、お互いに手伝って着替え終わりました。作った本人が言うのもなんですが……当然ながら異常の一言につきますね……。
装備した後のステータスはこうなりました。
total DEF+60 MDEF+30 INT+15
*セットボーナス発生!! 速さ上昇・中 器用さ上昇・中 どれか一つでも外れると、セットボーナスは無効になります。
【マオとミイは称号 <可愛さと絶対領域の支配者> を入手しました】
インフォメーションが流れてきました。称号を入手したようですね……。初めての称号です。
内容は『MP回復速度UP・小』で、ミイにとっては生命線ですから、丁度いいモノをいただきました。




