2
創世区域の扉の前で、出会うバトラー、真紅郎、猫飼。
扉を攻撃する真紅郎に、警戒されぬよう二人目の人格で接する猫飼。
しかしバトラーは警戒する。真紅郎が去った後も一人、猫飼を見張る。
そこには蛭子が合流し。
轟を堕落させたのは猫飼か?と、問う蛭子にこう答える。
「前にも言った通りあれはいちど堕落した・・・。私はそれを助けたに違いない。籠の中にいた鳥のために、ドアを開けただけよ。飛び出して・・・逃げたのは・・・・あの子自身。」
そう言い、扉を開けた。
その様子を見ていたバトラーと、デューク。
しかし、扉は蛭子と猫飼だけを中に入れて閉まった。
轟は扉が開いたことに反応するも、何もできずにいた。
創世者に近況報告をした猫飼は、命令を受ける。
「轟・・・・狐の家系に組する怨霊は消せ」と。
命令を聞いた二人はそのまま森林へと向かう。
無論、轟をかばっていた蜘蛛を殺すためだ。
一方、創世区域に入った二人について、思想を巡らせていたバトラーだったが、あきらめたのかその場を去った。
その頃、轟のいる湖は今にも戦闘が始まろうとしているところであった。
真紅郎、乃唖、轟、クロウ、蜘蛛、守也、あとから来たバトラーそんな危険な状況を止めたのは轟であった。
これで安心かと思いきや、猫飼と蛭子が轟の前へ姿を現した。
警戒する轟、蜘蛛、乃唖。それを見た猫飼は乃唖も轟に組するのかと尋ねた。乃唖は言い放つ。
「人を操り最終的に捨てる・・・あなたが嫌い。」と。
「捨ててなどおらぬ!できればあのまま・・・何も知らず、
私のもとで・・・生きてほしかった・・・・。」猫飼は告げるその言葉に揺れる轟。怨霊のときの記憶が・・思いが・・・彼女にこんな言葉を言わせた。
「やめて・・・」
自分でも驚く轟。
それほどまでに彼女の中には猫飼がいた。
しかしもう戦闘は始まってしまっていた。あとから来た衛も加わり、大乱闘へと発展していく・・・。
猫飼VS守也 衛VS蜘蛛 蛭子VS乃唖
飛び交う剣激 争う怒声 地を這う炎と雷泥沼と化した湖。
その横ではクロウが轟にあることをしていた。
轟に毒を浴びせたり、毒を飲ませたり、血清を渡したり、と。
不可解な行動ばかりする男。
目的は「この毒でどれだけの毒が消せるか」だったという。
しかし、轟の事を九尾に匹敵すると告げ、もっと自分を磨くようにとも言った・・・・腹の知れない男。
この先どう出るかわからない・・。轟はフッと笑った。
その頃、衛は蜘蛛に洗脳を開始していた。守也と猫飼の戦闘は猫飼の方が優勢であったが、乃唖は逃げたため乃唖と戦っていた蛭子とは散り散りになっていた。
洗脳が終わった衛はそのまま飛び去り、お互いダメージの強かった守也と猫飼は一時休戦。
そのまま6人で繰り広げた大乱闘は終息を迎えた。
去り際、守也を看病する轟に呟く。
「詠稟・・・」「夢亜様・・・・」二人の想いは交わらない。
さて、その後蛭子と合流した猫飼の前に現れたバトラーが告げる。
「真紅郎を排除するのを手伝ってほしい。」
「それ相応の代価が欲しい・・・・蜘蛛を抹消しろ」
また、人嵐きそうな神の世。
平安の世まではまだ遠い・・・
バトラーとの契約を果たすため、猫飼、衛は創世区域へと向かう。
そこで扉を攻撃する真紅郎と会う。
猫飼の計画通りに事が進んでいく。
創世者に仇なす行為をやめさせるため、契約を果たすため、真紅郎と戦闘を開始する。
そこには蛭子も混じり、実際には1対3の戦い。
傷つき・・それでも創世者に仇なすことをやめると言わない。
一体なぜだ・・・・?猫飼いは問う。
「創世者を殺すことが、存在意味だから・・・。」
それを聞き、猫飼いは蛭子に言う。
「殺すなとのことだったが、存在理由をとめることが依頼だった・・・・それは殺さずには無理な話。矛盾だな・・・・真紅郎、死んでもらおう・・・」
真紅郎は使い魔を召喚し、応戦するも蛭子の一撃により多大なダメージを受け、逃走。
衛もいつものようにどこかへ行ってしまい、残った蛭子と猫飼は、依頼主バトラーの元へと足を向ける。
さて・・・それとはまた別の場所では、轟とクロウが相対していた。
クロウは轟に謎かけのような問いかけのようなものを出しそれに殺生石をかけていた。
見事答えを見つけ出し、殺生石を手に入れた轟。そこにかくされた、クロウの妹の秘密。
金毛九尾の秘密。
ますます深まる九尾の謎。
轟の想い。
そのすべてが明かされるのはまだ先の話・・・・。
一方、契約者バトラーにあうため、墓地へとたどり着く猫飼と蛭子。
真紅郎との戦闘について報告するためだった。
しかし、バトラーはすべて知っているかのように言う。
「殺しましょう・・・・一度死なないと治らないようだ。」
それを聞いて猫飼は笑う。
「侮れない男・・・・。真紅郎、次会ったら殺すから。」
そう言って墓地に背を向ける。
そんな猫飼と蛭子をつけていた者たちがいた。
轟と守也である。クロウが去った後、轟の前に現れた守也は、血のにおいを追い轟とともに怨霊区域まで来たのだった。
しかし、猫飼と蛭子はその二人には気づいていた。
ここぞとばかりに戦闘をしかけにいく二人。蛭子は守也を。
猫飼は・・・・・・・・轟を。
怨霊のときの想いからか、攻撃にキレのない轟。
「どうしたの?腰が引けているわよ?・・・そうよね・・親は殺せないものね・・・・」
そう言って笑う猫飼。それを聞き、攻撃を開始する轟だが、猫飼にかなわないと悟ったのか、九尾になってしまう。
なんとか守也とともに逃げ切った轟だが、九尾であることを知られてしまう。
残された猫飼は小さく蛭子に呟く。
「さすが創世者様・・・・・九尾に目をつけていただなんて・・・・・」
一人で笑みを浮かべる猫飼。
その笑みは淡く深く妖艶で 月夜に照らされ一層妖しく・・。
それはまるで 蜘蛛に囚われた蝶のように。
これから起こる終わりの世界をあらわしていた。
何も知らない白尾に、轟と話をさせるようにしかける。
話しているうちに、轟がまた聖霊に昇天したのだと知り、猫飼に激怒する。
その頃、森林で擬人化したところを乃唖に見られた猫飼。
乃唖は猫飼の目的を聞きだそうとする。しかし、猫飼はもちろん口を割ろうとはしない。
そこへやってきたのは白尾だった。
先ほどの轟とのことを問いただしに来たようだ。
「なぜ話すように仕向けた!たくらみは何だ!」
「いちいち説明したくなかったのよ。轟が昇天したって。」
乃唖がまだいることに気づき、目的を離せない以上、乃唖と関わるのは無駄だと判断した猫飼。
もう一人の人格を呼び出し、白尾に乃唖を排除するよう命じるそのまま森林へと入る猫飼。蛭子と合流する。
もう一人の人格と蛭子は初対面だったようだが、問題はなかった。
そして二人の前に現れる衛と白尾。
険悪な雰囲気になり、危うく戦闘になるところを猫飼が止め、創世者区域へと、真紅郎抹殺に向かう。
バトラーと真紅郎を見つけた猫飼達。
戦闘を仕掛けていく。真紅郎と戦う猫飼、衛、蛭子。
バトラーと相対したのは白尾だった。バトラーが白尾に攻撃したのを見て猫飼は勘違いをする。
「バトラー!貴様が私たちを裏切るのであれば!私たちもそのようにさせてもらう!」
しかし、バトラーは本気で白尾を攻撃してはいなかった。
猫飼はその日は何もばらさなかったものの、いまいちバトラーを信じてはいないようだ。
激戦を繰り広げていくうち、蛭子は倒れてしまい、白尾も戦いに熱が入ったまま命令を聞かなくなる。
それを見て猫飼は撤退。
その後、神社で衛の紹介である常盤を新たにそばに置く。
蛭子に血を上げていたころ、神社に轟とバトラーが来る。
二人共の秘密を知る猫飼はここぞとばかりにゆさぶりをかける。
「狐、いや・・・詠稟、兄は元気か?」
「バトラー・・・報酬は早くもらいたいな」
バトラーと契約していること。轟が神であること。お互いにばれるように。
そして、一人になった蛭子を狙う目この先は誰も予想できない。
この神の世がまだ混沌の世と化していなかったころ。
猫飼たちが死闘を繰り広げている時空の、ほと8年くらい前まで話はさかのぼる。
創世者の誕生祭と称し、各地でにぎわいを見せていた。
怨霊も聖霊も関係なく笑いあっていたこの時・・・・。
この時に出会った彼女たちがまさかその8年後、神の世をまきこむ大波乱の中枢にいるなど、この時はまだしるよしもない。
「ふぁ~おいしそ~!!」
りんご飴に目をキラキラさせる猫飼。
買おうとしたところ、500円玉を落とす。
頑張ってとろうとする猫飼のもとへバロンが来て代わりに買ってくれる。
嬉しそうにほおばる猫飼それと同時刻、衛と白尾がけんか腰の言い争い。
それにぶつかる轟。
そのおかげで喧嘩は回避。
そのまま白尾と轟は人ごみの少ない方へと向かう。
りんご飴を食べていた猫飼は、8年後の世界からきたバトラーと出会う。
そして、食べ物をおごってもらう。
「外に出たことがないし、食べたことないから嬉しい!」
という世間知らずな猫飼を、令嬢かという。
「なら祭りの醍醐味を教えてやる!金魚すくいだ!」
という二人の前に、大量の金魚をもったクロウがあらわれる。
ほとんどの金魚をすくったというクロウ。
うなだれる猫飼に鮎の塩焼きを上げる。それにかぶりつく猫飼そんな猫飼を見て、バトラーは小銭を渡し自由に使うように言う。
そのお金でさっそくタイヤキを買う猫飼。バロンは最後に
「まぁいい、何れお前とは何処かで会う気がする。その時は創生者についてゆっくり語りながらお茶でも飲もうぜ?」
と言い、立ち去った。
その話を聞き、バトラーは未来での秘密を探ろうとする。
しかし、クロウから券をもらった猫飼はそのままアイスを買いに走る。
バトラーに転ぶなよ。
と忠告されたにも関わらず転ぶ猫飼慌てて駆け付けたクロウは、つぶれたアイスの代わりを買ってやる。
こんなに良くするのは、妹と姿を重ねたからだろう。
転んだ時の声を聞きつけた猫飼と轟。
狐を見たことがない猫飼。犬だ猫だ狸だと珍回答を繰り広げるそのうえ、白尾も犬だと断言。
あまりの物の知らなさに、一同が半ばあきれかけていたその時
「リ・・・・・・・リリン・・・リリン」
どこからか鈴の音が聞こえてくる。それに反応した猫飼は、どこかへ走り去る。
それを追いかける轟と白尾、バトラー。
しかしその三人が、この先出会うことはなく。
時は流れ、8年後・・・・出会うまではお互いを思い出すこともなかった。
にゃ!!小さい頃聞いた鈴の音!いつもここから聞こえるのに!どうして扉がひらかにゃいの!お母様が持ってたこの鈴と同じ音!!(腕の鳴らない鈴を見ながらうなだれる。)
その時、創世区域の扉が開き始めて扉の中へと入っていく。
すると創世者の声が聞こえてきた。(以下 創)
創は私の名を知っていた。あなたはお母様なの?そう聞いた。
でも創は「コレはお前の母だ。正しくはこの体が・・な」
よくわからなかった。創はゆっくりと話しめた。
創「この神の世は、何百年、何千年、何億年と続いてきた。それなのに創世者はほろびない。おかしいとは思わぬのか?・・・体が朽ち果てるとき、我は思ったのだ。体を変えようと。そうすれば永遠に生きられる。とな・・・・。その時目に入ったのは怨霊であった。代々怨霊の中から体に使えそうなものを選び、のっとってきていた。だから聖霊にしか統治権を渡さなかったのだ。怨霊に統治権を渡せば、扉の中に入れる。そうなれば体を使い捨てていること、気付く輩もいるであろうからな。家族、友達など。」
なら・・・?お母様はその体になったのか?
そう考えた私だったが、それは違った。創は言った。
創「お前の母は心神深かった。毎日のように我の扉の前まで祈りに来ていた。それはもう物心ついたときからな。興味が出た。怨霊で我が扉に入ることは叶わぬのに毎日来ていたその女に。扉に入れてみようと思った。最初は全くの気まぐれだったがな・・・・・。その女は面白かった。姿の見えない我を・・・・体を入れ替えていると知ってもなお慕っていた。その当時の我の体はもう使い物にならなくなるまですぐそこだった。姿を見せた私に女は言った。」
「悲しい目。ほんとは優しい人なのに。だれかを愛することもだれかに愛されることも許されなかったのね我は泣いた。すがりついた。始めて思った誰かを愛しいと。一度の過ちをと言った我を拒まなかった。溺れたのだその女に。その日から女は来なくなった。待ち続けたが来なかった。
ある日、突然現れた女はこう告げた。
「私は禁忌を犯した。私をあなたの体にして」
もちろん我は拒んだ。しかし泣いてすがる彼女を我のものにしたかった。
その何年か後、お前を知った。お前は小さい頃の女に似ている。そう、女の犯した禁忌とは、我との間の子・・・お前を産んだことだ。」
そういう創を信じられなかった。しかし揺るがない証拠があった。
それを聞き、私はある決意をする。
「聖霊に・・・統治権は渡さない。お母様は統治権が聖霊にあるから、創のために体を渡した。お母様は創のために死んだならそれを知らない聖霊どもに・・・制裁を!!!!!!」
久しぶりに猫飼達の前に姿を現した零。さっそく零に仕掛けにいく猫飼。
轟が怨霊に堕落したことを伝える。
しかし、零はそれにまったく動じなかった。
そんな時、轟が兄に会いに、零と猫飼の前に姿を現した。
轟と会いたくなかったのか、猫飼は兄妹の前からいつの間にか姿を消していた。
創世区域で蛭子と合流し、扉へと向かう。そこにはやはり、扉に攻撃をする真紅郎の姿があった。
猫飼はもう無駄だと言う。
しかし聖霊を連れてきてでも創世者と会うという真紅郎。
「なら、今から創世者様を呼んでやろうか?聖霊の力なぞ借りずとも、選ばれし者ならば創世者は答える。」
猫飼はそう言う
そしてとうとう扉を開けた。真紅郎は躊躇なくその中へと。
それを陰で見るバトラーがいたとはつゆ知らず。
創世区域の中に入った真紅郎。彼が見たのは・・・・・。
巫女服に白い耳白い尻尾。さっきまで話していた猫飼とよく似た女だった。
一言二言かわす暇もなく、真紅郎の体は赤く染まる。
真紅郎が最期に見たのは不敵に笑う女の笑顔だった。
その頃、バトラーは扉の前で主人を心配していた。蛭子はいまさらもう遅いと諭す。
その通りだとうなだれるバトラーの前に真紅楼の死体をもった猫飼が。
それを見たバトラーは猫飼を殺すと宣言する。
同時刻、轟のいる神社へとお参りしに来たイーリス、アベル。
二人の家に招待される轟。この出会いは吉と出る?凶とでる?
とつじょ現れた黒猫の男。猫飼の婚約者と名乗り、猫飼を探しまわっていた。
初めに衛と出会うその男。
猫飼の恋人だと言いはる衛と、不穏な気配に。
なんとかその場は収まり、その男はまた猫飼探しを始めた。
一方、バトラーは真紅郎を人形にするべきとひそかに心に決めていた。
同時刻、轟の元へ不審な男が現れる。
その男の名は狂音。
「あの子たちを生き返らせるため」そう言いながら、轟との戦闘へ持ちこむ。
その男、今までに何人もの聖霊を殺し、轟もその犠牲者へとするつもりだった。だが狂音は聞く。
「お前に守りたい者はいるか?」その質問に答えた轟。それ以降狂音は刃を向けようとはしなかった・・・・・。
さて、衛は一足先に猫飼の家に行き、婚約者と名乗った男の事を報告した。
心当たりがあったのか、一つの名前をつぶやく。
瞳夜 番・・それ以上は関わらないと決めた猫飼で会ったが、守也や不知火などの助けもあり、番は猫飼の家に着く。
しかしあっけなく門前払い。相当邪見にされているようで・・家の中で蛭子は猫飼に問う。
「また厄介なのが現れたものだ。計画の妨げには?」
「妨げにはならぬだろうが、もし邪魔なようなら斬る。」
そう言った猫飼の声には迷いが生じていた。彼女らしくない。
ふと蛭子はそう思った。
「夢亜、また悲しそうな目しとったなぁ。なんであいつがこないなことせなあかんのや」
狂音はまたもや聖霊を狙う。今回の聖霊はマリー。激闘の末、負傷したマリーが逃走した。
その頃、神社で番は轟と出会う。猫飼との事を相談していると轟が猫飼のところへ案内してくれることに。
同時刻、森林で猫飼は狂音と出会う。初対面の狂音に興味を示した猫飼は攻撃を仕掛ける。
その身体能力や、内に秘める闇を気に入る。
しかし狂音は聞く。
「守りたい人はいるか?」
「守りたい人?いない。そんなもの失いすぎて私の手元にはなにもない。 あるのは忠実な部下 契約された共に闘うもの それに目的だけ。」
猫飼はそう答えた。
同じ種類の奴を殺す気はない。
と狂音は雷切をしまう。
その後仲間にならないかという猫飼の言葉にも耳を傾けなかった。
いつの間にか猫飼の後ろにいた蛭子は、狂音は望みが薄いと言う。
しかし、猫飼はあきらめる気はないようだった。
その後、狂音に近づく衛。
「見事な演技をありがとう。マジ最高惚れちまいそうだよ。」
なにが演技で何が本当?衛の思惑とは・・・。
さて、湖に移動した蛭子と猫飼の前に現れたのは、意外な神だった。
轟に番。轟と話す猫飼。相手にもされていなかった番が突然叫ぶ。
「なぁ夢亜!もうやめろよ!お前、まだいろんな神傷つけてんねやろ!」
それを聞き、猫飼は機嫌を悪くする。
「何を根拠に!だいたいお前もおかしいんだよ!2年前からいきなり現れたくせに、昔の私を知っているかのような口ぶりでな」
「違う!夢亜忘れてるだけや!そんな性格になる前から!俺は夢亜を知っていた。」
元の夢亜に戻ってほしいと叫ぶ番に、猫飼は私の目的を邪魔する奴は、すべて消すという。
しかし、それでも番は目的を潰してでも、元に戻すという。
その言葉が戦いの火ぶたを切った。
すでに戦闘準備をしていた蛭子に、戦闘命令を出す。
たちまちそこは乱闘となった。
蛭子は轟と。
猫飼は番と。そこで猫飼はあることに気づく。属性が対になっていることに。
猫飼は炎を身にまとい、剣に雷をまとわせる。
番は水を身にまとい、刀に風をまとわせる。
だが、猫飼はそれも気にせず闘う。
しかし番への怒りで猫飼は
「お母様の命を奪った。それを知らないこの世を!聖霊が憎いんだ!!」と、轟の前で叫んでしまう。
蛭子と戦いながらもしっかり聞いていた轟。
猫飼はもうそのことすら気に掛けず、番にとどめを刺した。
轟は番に気を取られながらも蛭子に応戦する。
隠れて見ていた不知火に番を託し、轟も戦闘へ専念した。
結果は痛み分け。
猫飼と蛭子はそのまま怨霊区域へと帰った。
さて、神社に戻った轟が番を治療しようとすると、番は目を覚ました。
「俺・・・だれに斬られた?」「お前のいとしの人だ」
湖で猫飼と出会う守也。番と会ったか聞く守也に平然と猫飼は答える。
番は私が殺したと。
しかし、守也は笑いながら言う。
あいつは死なない。
恋はそんなもので終わりはしないと。
その言葉に見え隠れする感情を押し込め、衛の元へといく猫飼。
一方守也は、番が生きているとふみ、探すことにした。
意識を取り戻した番は、轟に言う。
「夢亜が俺を斬ったのか?おかしい。傷が浅いしずれてる。」
そんな話をしているうちに守也は番の元へとたどり着く。
守也は番が生きていることに安心し、猫飼の所へ番を連れていく。
その頃、猫飼は衛から衝撃的なことを言われていた。
「僕はあなたの過去のほとんど知っています。」
それは、衛の中にできた人格の能力でできることであり、その言葉通り、猫飼の過去を知っていた。
軽蔑しないのか?と問う
彼女の言葉に、相変わらずの笑顔で応える衛に、猫飼は小さく笑っていた。
さて、そんな猫飼達の所へ守也と番がやってくる。番が来たことに驚く猫飼。
しかし、猫飼に番の呼びかけは届かず、今度は殺してやると大剣を抜く。
猫飼をとめるために刀を抜いた番の元へ轟が駆け付ける。
戦闘にはならぬまま引きその場は終息を迎える。
その後、猫飼は衛の他人格、嘉故に頼む。
「私の過去の中に先ほどの男はいるのか・・・?」
「ならお前が行って確かめるといい。」
猫飼が目を開けた場所・・・・・ここはどこだ・・・・・
そして教授から猫飼の暗殺を命じられる不知火。この先どうなるのか・・・・
八年前の過去へと飛んだ猫飼が初めに出会ったのは、衛だった。
もちろん衛は猫飼の事を知るはずがないのだが、何の縁か一緒に幼い猫飼を探すことになる。
そして猫飼は森林の中に小さな小道を見つける。
慌てて駆け寄りその先へと進んでいくと、そこには洞窟があった。
その洞窟を見るにつれ思い出す。
「そうだ。私はここに住んでいた・・・。」と。
洞窟の中には、盗んだものなのか少しの生活用品があった。
昔の事を少しでも思いだそうとした矢先、誰かが洞窟へと来る慌てて隠れる衛と猫飼。
洞窟にはまさしく幼い猫飼がいた。
「今日もだれにも相手にされなかった・・・・」腕の傷を見ながら呟く幼い猫飼。
お腹すいたと言いながらも、手元にはなにもなくうずくまってしまう。
同情して幼い猫飼を助けようとする衛を必死に止めながらも、その様子をじっと見ていた。
そんな中。一つの影が洞窟へとやってくる。
「はい!今日のご飯お母さんが少なくなっちゃうけっどて。」
そう言って、食べ物を渡す少年。
「いつもごめんね」という幼い猫飼に少年は言う。
「これくらいいんや!だって俺は夢亜ちゃんの婚約者やし!」
その言葉を聞いて、猫飼は衛の前だと言うのに泣き崩れる。
その少年こそが、番だったのだ。
いっそのこと番の嘘であってほしかった。番のおかげで生きてこれたなど知らなければ、殺すことができたのに。
そう悔やむ猫飼の前で、幼い二人は約束する。明日の創世者の生誕祭は二人で行こう・・・・と。
生誕祭当日。猫飼は幼い自分を追っていた。
幼い猫飼は番を待たずに、市場へといってしまう。
そんな幼い自分を見て、猫飼は驚く。
バトラーに轟、白尾にバロン・・・たくさんの神たちと出会っていた自分。
それなのに、どうして記憶から消えてしまったのか。
自分でもわからないまま、幼い猫飼を見ていた。
その時、リ・・・リリン鈴の音とともに幼い猫飼は走り出す。
慌てて追いかける猫飼。
その後ろを追うようにひそかに衛も、幼い猫飼を追っていた。
扉へと入っていく幼い猫飼を追うように、扉へと吸い込まれる衛。
衛の事も気になったが、先に出てきた幼い猫飼を追いかける猫飼。
幼い猫飼が洞窟へと帰った時、そこにいたのは番だった。
いつものように笑いかける番を、幼い猫飼は振り払う。
そこにいたのは先ほどまでとは違い、冷たい表情をした幼い猫飼だった。
森林へと消えていく幼い猫飼をおいかけることができず、あまりの出来事に呆然とたちつくす番。
その場面を最後に、猫飼は現代へと戻っていた。
「いずれ猫飼に組する男よ、そなたが知るにはまだ早いことだ」創世者はそう言い、衛の記憶を消した。
そんなこと、猫飼は知る由もない。
衛も猫飼も・・・・ただ創世者に踊らされたにすぎなかった。
この八年後に起きる日劇の幕開けに・・・・
八年前 タイムスリップバージョン 完
もう一度猫飼を説得しに行くという番。轟は止めたものの、そのまま森林へと行ってしまう。
そこで出会ったのは、意外な人物・・・白尾であった。
白尾は問う。
猫飼をどうしたいのか番は躊躇なく答えた。
「昔の夢亜を取り戻したい」と。
昔の猫飼を知る者がいたことに驚く白尾。
しかし、番がそんなことをすれば、白尾の目的もまた遠ざかってしまう。
その上、猫飼の目的が頭だと勘違いした番は、自分も頭になると言いだす。
それを聞いた白尾はついに言った。
「俺の邪魔になるものは 消す。」
その言葉で二人の乱闘が始まる。
このまま泥沼と化すのかと思いきや、轟と守也が止めに来る。
最期、白尾が消える寸前で番はさけぶ。
「夢亜は俺が取り戻す・・・・」
その頃、教授は猫飼の目の届かないところで動いていた。
不知火では飽き足らず、真紅郎や沙塚にまでこう命令する。
「猫飼およびその周りの物の殲滅を・・・・・」
それは密やかに甘美に・・・・その奥に隠した毒を悟られぬよう・・・
猫飼と教授・・・・どちらが上手を行くのか・・・・