表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

SS 「生きてるんだ」

作者: tonebon

              生きてるんだ


「背骨は生きているんだ」


 俺は弟子にそう一喝した。


整体で飯を食ってきてはや30年。一応、ベテランを自負していたがー


「でも、どうしてもお客に文句言われるんですよ~」


 弟子一人満足に育てられていない状況では自慢できやしない。

 まったくこいつはいつまでたっても芽が出ない。


 俺の名前は滝。たきのぼる。


 そして、こいつが、三津地。みずちって読むのだが、名前だけは立派だ。

 まったく、なんだその頼りない目は。俺の「技」をこいつに伝えなけりゃな

らないなんて悲しくなってくる。


「先生、僕、どうすればいいんでしょう……」


 まあ、やる気だけは認める。いまだに破門にしてないのはやる気だけは一人前

だからなのだ。


「しょうがねえ、身をもって教えてやる。寝な」


 一昔前のブームのころにゃ、ちょっとはTVで名前の知れた俺だ。

 「背骨の声を聞ける男」と言われた技を見せてやる。


「ほ、ほんとですか!?」


 三津地は喜んでベッドにうつぶせた。うきうきと。


「なに喜んでるんだよ」

「だって先生に診てもらうのはじめてですから」


 そうだっけ? まあ、いい。

 背中をまずさすり、背骨の位置をたどる。

 両手の親指を背骨の脇にそってこねて行く。

 背骨の状態から、こいつの体の全てが伝わってくる。

 背骨が語ってくる。年月が俺にさずけた技だ。


「ほれ、背骨が語り出したぞ」

「きもちいいですよ先生~、さすがです」

「そんな事言ってる場合か、語ってるのは不満だらけだぞ」


 曲がっている、かたよっている、ととのっていない。

 背骨が不満をベラベラ語り出す。ベラベラ百連発だ。

 その不満の一言がはっきりと聞こえた。


「わたしは、もうたえられません」


「ああ、こんな奴の背骨やってないで飛んで逃げちまえよ」


 その時、ばっくりと背中が左右に開いた。

 バリバリと肋骨の戒めをふりほどいて空中に踊り出た背骨は首から上もくっ

つけたまま、

「まったく、おっしゃられるとおりです。さすが先生」

 と、首から上で「礼」をし、窓から夕日色の空へ飛んでいってしまった。


「……背骨って生きてるんだ」


 俺は背中にむずかゆさを感じながら、龍のように空をゆく彼を眺めた。


超昔書いたSSです。

リハビリと精神修行で晒します。

うひゃー


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点]  オチのぶっ飛び具合に驚いた。 「ねーよ!」と笑いながらに思った。なのでこれは楽しかったのだ。 [一言]  ああ……私の背骨は確実に逃げていく曲がりっぷりだ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ